E3系電車(とれいゆつばさ) 最終確認時期:2016年7月

秋田新幹線から蹴り出され、ややダブ付き気味のE3系を何に使う?となって、地域ジョイトレ=在来線という図式は古いと言わんばかりに新幹線車両で再活用してみたらこうなった…どうしてこうなった…。

乗ってる間に流行の足湯もイイじゃない、と地域色を反映してるんだかガン無視してるんだか判りませんが、足湯新幹線とのネームドが先行した「とれいゆつばさ」。観光シーズンの土・休日を中心に旅行パックも組み込んでなかなか好評の様子。

カラーリングは、独特のウェーブラインを織り込んださわやかなもので、傍目には結構カッコイイ感が漂います。

普通指定席オンリーでマルスによる一般売りもされてますが、話題性は高いせいか、早々に満席になりやすいかと。

側面のロゴマークは、フルーツを筆頭に山形の名産品を詰め込んだもの。結構大きいですよね。

上り方向、新庄駅で見られる乗車位置案内。通常の「つばさ」が自由席のところ、この列車は「足湯」この表示が結構ジワリティ高い。なお、後述の通りで、ここから一般客の乗下車はできません。

さて肝心の座席は2種類。1つは、元グリーン席をそのまんま普通席に格下げたもの。

強いて言えば、床のカーペットと窓カーテンがデザイン変更共々交換された程度。現美新幹線のような、座席表地、床面の大規模リフレッシュ等も特に行っておらず、なんか懐かしさがこみ上げてきます。

なので、座席自体も以前のまんまシロキ工業製のE3型となっています。既稿の通り、グリーン席を普通席に…とは言うものの、元々在来線サイズの座席であり、大きな感慨とはならないところがアレ。

座り心地はなかなかなモンですよ。フットレストとか、アームレスト等に経年の草臥れ感が漂ってますけど。

席番レベルの座席指定は、窓口でのみ。「えきねっと」や駅のMV(指定席券売機)等では、窓側か通路側か指定できるだけ。窓口の撤去が進む昨今、地域や駅によっては、なんか不条理感というか不公平感が漂います。

もう1つは「とれいゆ」化で登場したボックス席。扱いとしては「お座敷指定席」とされており、先の元グリーン席がいわば単ピン向けとすれば、こちらはカップルやグループ向け。1&2の3アブレストですが、実態としては2人掛・4人掛として活用が想定されています。

主に旅行会社がパック枠で押さえていますが、一部一般売りもされており、タイミング次第では微妙に気まずい相席もありえます。

天井照明部分、装飾が施されており、元々の内装色+照明とのコントラストが印象的です。

座席配置は元の窓割りを活かしたもので、単純に考えれば、ボックス間ピッチは1960mmとなかなかのワイドサイズ。

背面は赤の大質量がドーン、みたいな形容表現になりそうな固定背面。クッション感はありますが、形状としては、割と上半身の重量が腰にダイレクトに乗っかってくるもので、長時間になると疲れを感じるでしょう(故にエリア限定という考えも)。

で、座面はクッション性ゼロですが、畳敷きにギリギリ座布団がある程度で、ゆったり座る意図は感じられません。横幅は従来の座席より1人分を座席に還元してるのでゆったりしてますが、肘掛がありません。出入りが頻繁になることを想定しているといったところでしょうか。

4人掛側も、グループでの語らいを想定した設えです。ボックス中央には、カバ材の折りたたみ大テーブルがあります。このテーブル、脚が無駄にしっかりしてる件。

1人掛の側で、おおよそ2列おきに背面上端に、握り手とは別にフレームアートが設置されています。

また、ヘッドレストリネンが背面表地と同色で、ビミョーに保護色化しています。デザイン意図としてこうなったんでしょうね。

2人掛側でも。窓のカーテンは、それまでの横縞基調のものから、縦縞基調のものへ交換されています。

最近は、そんな長期でなくともスーツケースやキャリーケースで荷造り詰め込むことが多いですね。

前述の通り、この車両で大荷物を座席近くや荷棚に置くのは、通路や取り回しで難が出ることを見越してか、各車両のデッキ近くに、従来座席で1〜2列分の荷物置場が設定されています。

…ま、1列分ってのは、ボックス席にできないから、その調整って感じではありますが…。

新庄方向2両目、15号車は「湯上がりラウンジ」と題されたフリースペース。売店もあり、沿線名産品・お土産品の購入やお酒のテイスティングができるようになっています。

また、後述の足湯後の落ち着きスペースも兼ねています。掘り炬燵調の畳スペースとチョイ座り用の木製ベンチ的なスペースがあります。デスクはサクラ材との由。

内装は黒を基調に、天井にはお座敷指定席と同様に、大きなフレームアートが組み込まれています。よく見れば、フルーツ柄になってるところもチラホラ…。

座敷部分は、あくまでも掘り炬燵「調」でして、その実は居酒屋のように靴のままスルーで行けるタイプ。

イベント列車や地域ジョイトレあるあるの、乗車記念ボードですが、乗車日が入らない顔出しフレームというちょっと簡略なタイプです。

また、お気づきの通り、この車両は元自由席車なので、窓間隔が少し詰まり気味(元々のシートピッチが910mm)になっています。

バーカウンターは15号車の新庄側。ドリンクからお弁当、お土産まで、色々揃ってて、見た目に賑やかですね。

そして、このカウンターで購入できるのが…。

あ、今日は枠がありました。この列車のコア的お楽しみ、足湯利用券。

通常はパック旅行枠限定ですが、売れ行きというか空き状況次第で当日券が出ることがあります。お値段380円ナリ。出るか出ないかは運次第。

購入時に利用時間枠が指定されるので、楽しみたい人は座席に荷物を置くよりこっちを優先する向きもあるとか。準備時間や足のクールダウン時間と下車駅とをご相談の上。

指定された時間になったら、自主的に16号車の集合地点まで来ることになります。ここが16号車デッキとなるので乗下車ができない、ということ。

ここから先は足湯券を持っている人のみ入れるコーナー、入口で立ってる湯守さんにチケットを渡して、入ります。

エントランスはこのような縦格子が続く通路を抜けていきます。

エントランスを抜けてすぐ左後ろには更衣室。

ブーツのような靴であれば、予め脱いだり、女性であればストッキングも脱ぐことになりますので、ええ。

で、このソファで順番待ちをすることになります。フツーの靴や靴下程度であれば、こっちで脱いで袋に入れることになります。

待合いのソファから足湯を見通すとこんな感じ。足湯エリアは一段小上がりになっています。

足湯の向かい側は足湯の順番の人向けソファ、手回り品とか脱いだ靴を入れた袋などを入れておくエリアともいえます。

あと、入浴後の足ふきとか、ええ、そういう取り回し用でもあります。

さて、本番の足湯船。エントランスあたりから、すでになかなかなオゾン臭がしてまして、不特定多数相手でかつ閉鎖空間内でもあることから、消毒にはかなり気を遣っている様子(保健所の指導なんかも相当あったんじゃないかと)。お湯は1往復ごとにちゃんと抜いて交換しているそうです。

湯船は画像であれば、最大1-2-1人の割付で入ることになります。乗車日は何のタイミングか利用者が少なく、ワタシ1人でこの浴槽独占という…(笑)。

揺れる列車内なので、浴槽は様々な検討がなされたそうで、フチの裏側にノウハウがあるんだとか。間仕切りは波消しのためでもあります。それでも、大形動物の飛び出しや安全上の問題で急停車すると、返し波で浴槽外に零れることがあるそうです。なお自己責任と運次第。

ストロボを炊かずに、たぶん、フツーの目線でここを眺めるとこんな感じになります。浴槽下のライティングがムードに一役というか、ちょっと色使いとの対比で、なんともR18で怪しげ(妖しげ…かも?)なお風呂感を醸し出してる気がします(笑)。

駅停車中だと、目の前にお客の好奇の目…はい、そういうこともあるようです。脱ぎすぎと角度にはご注意を(殴)。なお、お湯は40℃程度に設定されているとか。これより熱いとクールダウンが掛かって大変らしい。

通路部分は、黒と白を基調とした空間になっています。

この辺、登場順は逆ですが現美新幹線と同じ風合い。

ドア周辺も、基本的には登場時のスタイルをそのまんまとしています。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1E3(シロキ工業製)1160mm
普通2E3(シロキ工業製)1160mm
普通1形式不詳(ボックス)1960mm
普通2形式不詳(ボックス)1960mm