一畑2100系(楯縫) 最終確認時期:2014年5月

出雲への旅でお楽しみと言えば、神話スケールの神社廻りと一畑電車に乗ること。並立するかはさておき、バラエティの面ではなかなか目を離せない鉄道会社です。

登場当初はイベント用車両としていた2103編成ですが、後に「楯縫」と命名されています。鉄道会社のウェブサイトで予告されている運用を見ての通りなかなかレアものでして、隠岐から戻ってきた翌日、臨時で運用に入っていたものをキャッチ。

この名前、調べると杵築大社の神事道具を云々と出てきますが、杵築大社って要は出雲大社のこと。

編成は2両1組ながら、両車で様相がガラリと異なっており、こちらが大改造を受けたイベント車両側。ロングシートが基本のフォーメーションですが、詳細は後ほど。

こちらがカラーリングはともかく転入当時の雰囲気を残した方。ワンマン運転対応の整理券発行機が目に付きますが、京王時代のシルエットもかくやのロングシート。

後述のイベント対応車と共通させた濃い緑のシート表地が印象的ではあります。色合い、違うんですけどネ。

イベント車両側の運転台直後は車いす対応の折り畳みロングシート。

手前の運賃箱は、横にスライドできるよう壁面にレールがありますね。

車端部はバケットタイプのロングシートですが、ドア脇の袖仕切が雲や松のようにも見えますが、これ、ハートをイメージしている由。

座面が詰物をドーンと奢ったものになっており、少々ヒップポイントが高くなってしまったことから、人によって膝裏に負担感が残るのと、重心が上がって背面に心許なさが少々。

着座時の腰回りの食いつきは良いんですけどね…。

ドア間のロングシートは、松江しんじ湖温泉発で宍道湖を眺める向きにセットされています。ここのロングシート部も先の車端部と同じ。

ただ、イベント利用に備えて通路部分にテーブルがセットされています。元々のイメージスケッチでは、脱着式になっているようですが、実質的に固定の模様。

手前にパタンと開くとカップやボトルを挿し込めるようなカップホールが見えます。夏の納涼ビール電車で活躍しているそうです。

この区画は、2人毎に仕切板兼アームレストが備え付けられています。壁面窓間にはムードアップ用のライトが設置され、荷物棚もフレームはともかく板面を木ベースとしています。

さて、気になる区画その1となるソファ調シート部分です。松江しんじ湖温泉駅発が基準窓から宍道湖を一望するフォーメーション。

通路からシート背後から見てみると、通路側に握り手があり、窓枠の下に細長くテーブルが設置され、カップホールを埋め込んでいます。

見るべきはその台座、ソファ調なら1本脚にする必要が取り立ててない訳でして…左下に見えるペダルを踏んでみると…。

はい、回転しちゃうんですね。この座席は、西日本では多用されており、こんなのとかこんなのでお目に掛かることができます。

改造手法的にも、「みすゞ潮騒」のそれの親戚さんとする立ち位置と評価されます。

窓のカーテンは、従来からの引き下ろしタイプです。窓間のライトは、先のロングシート部に準じています。

ちょっぴり気が利いていると言えば、収納型のコートフックが壁面の随所にセットされています。

さて、グルッと廻ってオーラスはここ。運転台助士席側に見えるソイツハナンダ…。

グッと一段高く、まさにお立ち台ポジションのような場所にそそり立つシート、カバー部やソデ体からピンと来る人も多いのではないでしょうか。

正解は南海10000系のオリジナルタイプの席なんですね。

何で?という疑問もありますが、現に南海10000系については12000系への置換が進んでいることから、発生品をどこかでキャッチしてきた、ということなんでしょうね。

リクライニング機構も健在ですが、窓側に寄せすぎており、引き下ろしカーテンはアームレスト干渉不可避となっています。

一品・一点モノの設え、どうしてここでおマヌケたことやるかなぁ…。干渉回避に1cm程度で済む故、通路側席の視界がアウトになる感じはしないのですが。

ドアは以前からのまんま。床面は木目調となり、天井もルーバーで視覚的に整えられているところですね。

ドコが手がけたこの改造…って、考えるまでもなく関東が誇る(?)秘密工場から、西日本屈指の魔改造工場へというご来歴。

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