75系気動車 最終確認時期:2005年7月

伊勢地方へのアクセスといえば、永らく近鉄特急と相場が決まっていたそうです。何でもJR:近鉄の輸送シェアが1:20だったとか…そんな貧弱極まりなかったJR側路線に、競争力強化の切り札として投入されたのが75系気動車です。

大出力エンジンと伊勢鉄道の高規格軌道にも恵まれ、所要時間で近鉄特急に迫るようになり、最近は名古屋〜松阪間などで慢性的に混むことも知られるようになっているとか…。

そんな車両の座席は転換クロスシートが並んでいます。311系をちょっと豪華にしてみた感じと言えば良いのでしょうか?もっとも車内見付は後の313に通じていると言った方がイイかも知れません。

シートピッチ940mm、東海道本線筋の117/311系より広めのピッチとその配色がやや格上の印象を与える座席です。近鉄のアコモデーションに対し、対抗意識があったのでしょうか?

背もたれのランバー部分が少々扁平気味でフィット感については少々どうかと思う局面がありますが、それでも許容範囲かな?

JR東海クオリティ、とでも言いましょうか、この会社の「抜け目無さ(良いサイド)」がコレ。窓キセをテーブル代わりに使えることもあるので、窓枠が重なる区画には小テーブルがセットされています。

新幹線の営業面での色々というダークサイド(笑)はさておくとすれば、おおよそ対照的すぎる気遣いの妙の1つかと評価しています。

ちなみに、3ドア転換クロスシートの宿命(?)でドア脇が固定席となっていますが、実はこの席が角度・落ち着き共に一番良かったりします。

ドア戸袋の影響で窓が少し小さめですが、後ろは仕切の衝立があって、そこそこ落ち着けますね。

車端部はスペースの関係でボックス席に。ヘッドレストのカバーが穏やかなピンク色なのは優先席であることを意味し、さらに車端部通路との関係がココにも。通路幅の関係で、妻面側の席はやや幅が狭くなっています。

トイレ側の車両。こちらの車端席はここにあり、車椅子用ブロックとの共用になっています。まず、座面が少々扁平気味に見えますが、事実ここは他の席より扁平になっています。

そして、隠れ機能とも言うべきなのがこれ。座席下の小さいペダルを踏んで「よっこいせ」と座面を持ち上げると座面が跳ね上がります。これ、結構重かったりします。

京急2100形も、車端部が荷物置場を想定して座面が跳ね上がりますが、あちらは特にロックも何もなく、軽く手でポコンと上がります。

では、前者が劣っているか?いえいえ、前者の場合は手すりにかかる重量を全て引き留める必要があります。求められる機能は自ずから異なることは自明。

ドア側の座席。やはり座面下のロープが気になるように…。

同様に座面が跳ね上がります。

ドア脇の様子。半自動ボタンがあり、ドアと客席の間には自由席・指定席を見分けるプレートが掛かっています。

しかし、快速「みえ」などではあまり役立ってない気がするのは私だけでしょうか…。

トイレのドア側外壁にはカード式の公衆電話。この辺は最近の東海の車両らしい設えです。

武豊線には後に200番台が投入されました。初代の利用状況を踏まえて様々な改良点があります。外見的にはヘッドライトが特徴でしょうか?

一応、武豊線用増備だったそうですが、その実は0番台ともどもゴチャ混ぜで運用されているようです。

これが200番台の車内全景です。ドア部分には仕切のパーテーションが設えられ、座席が整然と並んでいます。JR東海の車内デザインは特急用・近郊用ともデザインポリシーがかなり一貫したモノを持っているようで、色や微妙な形の違いを除くとどの車両もかなり似通ったデザインになっています。

ヘッドレスト部分が曲がるダブルリンク機構を装備しています。これによって着座姿勢がよりラクになるだけでなく、ささやかながら後席の人が出入りし易くもなっています。カーテン色とヘッドレストのカバー色を薄いピンクで統一しており、色彩の調和についても工夫が盛り込まれています。

惜しむらくは床材が滑りやすいことでしょうか?これはJR東海の車両のかなりにまんべんなく言えることなのですが…。

車端部のボックスシート(トイレ無し車両側)です。座面角度が転換席よりもきつめになっています。しかし、揺れる車内では座面への座りを考えるとこのくらいの方が実は良かったりするのですが…。

こちらはトイレ対向側のボックスシート。先ほどの席とはアームレストの形が違いますし、座席下の形状も違います。座面についても転換席・ボックス席に比べてかなりフラットな作りになっています。

アームレストと座面をパコン!と跳ね上げると、車いす対応の設備に早変わりです。しかし、この角度で車いす利用の方が入ると、手摺りの向きの関係でどうしてもトイレのドアに対向するか窓の方に向くかしか取り回しができません。

2006年3月のダイヤ改正で消えた急行「かすが」運用としての1コマ。

ちなみに、鳥羽の方まで足を伸ばすと名古屋に向けて右側はこんな眺めが楽しめます。走行写真でも結構よく見ますよね。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普 通2付番無し940mm