311系電車 最終確認時期:2005年7月

1989年、世界デザイン博・金山総合駅開業に付合して(?)登場した車両です。120km/h対応の足まわりによって、一頃は新快速専業とも取れる運用をこなしていました。今は普通列車の運用も多いのですが、新快速や特別快速として走ることも少なくありません。

車内は転換クロスシートをベースとした造りとなっており、吊革もドア近くのブロックに限定されています。故にラッシュ時は少々…となるようですが。

内装板の色の使い方などはJR東海初期の「全般的に明るい」を感じることができます。現在の700系や313系などは壁面こそ白ですが、床面との対比では締まったコントラストを志向していますからね。

座席は、転換クロスシートC-W16Dがベースになっています。直前に投入された213系5000番台のソレより背ズリの高さが少し高くなっています。

転換クロスシートは宿命的にヘッドレストの角度が「のけぞり」となってしまいます。これを解消するためにダブルリンク方式などが後に開発されているわけですが…。座り心地ですが、お尻の着座ポイントにこの手の転換シートでは避けられないズレを感じますが、取り立てて文句を言うほどのモノではないでしょう。

ドア脇は固定クロスシートとなっています。戸袋窓処理のあり合わせに見えますが、この座席は結構凝っています。何より注目すべきは背面。キチンと背ズリ角度のナナメに沿った成形カバーが被さっています。ヘッドレスト部分も少し引き起こし気味になっており、着座体勢の不自然さをカバーしています。

凄く惜しむらくは窓側が戸袋窓だ、ということとその為にほんの僅かですが横幅が犠牲になっていることです。もし、これで側窓がノーマルポジションだったら人気席にのし上がっていたことと別の意味で悔やまれます。

転換席と固定席を向き合いにしてみました。一般的な転換席は窓枠が少し張り出しており、ここにジュースなどを置く用途を想定しています。

戸袋窓部分はその枠がないため、小さいテーブルをセットしています。85系気動車でも類似例を紹介していますが、この辺の徹底ぶりは何といわれようと会社のカラーと言えます。

車端部です。ドアに近い側は先のブロックと同類ですが、貫通扉に近いブロックはこれまた別設計です。背面角度もちょっと切り立ち気味で寸法に無理さを感じます。それでも、ヘッドレスト相当部分の手すりを壁面に移設してのトーンの統一を図る点に東海イズムを感じます。

ちなみに、近郊形車両のご多分に漏れず、貫通扉に近い席は横幅が狭くなっています。

先頭車の更に先端ブロックには座席を取り外し、車椅子ブロックが設置されています。窓側には大きなヒーターが見えます。

先頭車には更にトイレがあります。このトイレ、壁面にはカード式の公衆電話…。

そうそう、バブル期登場の車両の象徴として「公衆電話搭載=ビジネスにも対応」と言うモノがありました。新幹線のように呼出があるワケじゃありませんが、やはりあのイメージがイメージの根底になっていたのでしょうね。

そして、文字放送ニュースなどに対応した電光表示装置。今は主に停車駅案内と自社グループ商品の宣伝コーナーになっています。新幹線100系のそれに倣ったプラズマ表示が今となっては懐かしさを誘います。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2C-W16D910mm