(懐)381系電車 最終確認時期:2003年1月

383系ですっかり影が薄くなってしまいましたが、末期は臨時の「しなの」や「ちくま」で活躍していたのが国鉄営業車初の振子車両381系です。グリーン車のパノラマ改造はJR化後のものですが、国鉄塗色との連続性に重きを置いたものになっています。一部車輌は無事博物館入りを果たしたようですが…。

そういえば、振子車両=酔うと言う方も少なくありませんが、振子車両の場合は設計上では全員着席を想定して重心設計をしているそうです。つまり、着座して頭の来るラインが振子動作時に最も上下方向の移動距離が少なくなるようになっているとか…故に立ったり床にへたり込むとその軸線からずれるので酔いが倍加するとか…。

普通席はR52Dが910mmピッチで並んでいます。この形式名に「!」と思った貴方は既に危険です。アナタは急性座席症候群かもしれません(笑)。

R52と言えばR51をベースにした381系オリジナルのストッパー付き簡易リクライニングシートのことになりますが、何を血迷ったか一見してR55Gに迫るこのデザインをしてR52一族に加えてしまった担当者、あなたはタダ者ではありません。

おまけに、ただ似ていればカワイイものを微妙な部分がチョコチョコと異なっており、事実上のオリジナル品となっています。メーカーは日本発条・小糸工業です。

まずは、背面テーブル。テーブルとの接続部に妙なカーブを持った造形がなされています。そして、一時期は振子車両のアイデンティティだった手摺りもモケットに合わせて青く着色されています。それでいて、妙に張り出したヘッドレストでアクセントを付けるなど、妙にマニアックでなかなかにいぶし銀なキャラクターとも言えます。

国鉄時代のグリーン席と言えば、R15に起源を持ち、R29までの在来線優等車輌における流れを継いだいわゆる「グリーン席」のスタイルがあまりにも有名です。

381系は、振子車両という車両の特性か、カーブでも遠心力に体を持って行かれないような発想があったのか判りませんが、ソデ体が独特の造形が特徴になっています。R30と呼ばれたこの座席は後の並み居る重装備グリーン席をほのかに予感させるデザインと、やはり国鉄グリーン席のアイデンティティとも言える横引き出しの小型テーブルがポイントと言えるでしょう。但し、小テーブル裏面にセットされている「脚」はありません。

表地については、既に交換されており、詰物もバケット基調となっています。リクライニングさせると、まるで寝ているような錯覚に陥るほど傾きます。写真上ではそう見えないのですが、座面がリクライニングに連動して動くことが大きく作用しています。

さて、パノラマ席です。シートピッチ1125mmと、料金バランスの象徴なのかいきなりピッチ短めのトレードオフ(単に設計寸法の問題ですよね、ええ)。座席自体はセミハイデッキ構造になっており、少々高い位置から景色を楽しめます。前方は遮るモノがない超展望が展開します。

座席自体はピンと来られるかも知れません。JR九州185系気動車中間にある元ロザ、R36Bの系統です。但し、横引き出しテーブルなどはありません。背ズリも独特の形状になっており、後の席の人が前の席の隙間から前方が眺められるような配慮がされています。

座り心地ですが、硬め基調の詰物ながら、長時間座っても割とイケてるのではないかと思っています。普通席もなかなかに硬いのですが、最近の通勤形車両のそれではなく詰物を奢ったそれと感じます。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2R52D910mm
グリーン(一般席)2R301160mm
グリーン(展望席)2不明(R36類似)1125mm