100系電車(グリーン車) 最終確認時期:2002年6月

100系を100系たらしめる最大の特徴は、ダブルデッカーになったグリーン車に有ると言っても過言ではありません。デッキから入り、スモークが貫かれた自動ドアを開け、数段の階段を昇った先はまさにリラックスフロア。

まだ「のぞみ」が無かった頃、様々な意味で日本の特急列車の頂点に位置した設備でもあります。私も、ビジネスマンがこの2階席に腰掛るCMの描写にあこがれた時期がありました(笑)。

大分見慣れたR35Aです。2階席にあることから重心が低く抑えられています。フットレスト・インアームテーブル・シートバックテーブル・オーディオユニット・大型センターアームレスト…とG席に求められるであろうアーキテクチャを満載した欲張り仕様の座席でもあります。

2階席には階段配置の関係で両端に1人掛席のR6があります。隣に人が来ないことと、階段の仕切でちょっとした個室気分が味わえることからこの席を「指名買い」する人も居るようです。ただし、東京側には電話室兼更衣室があるので、時たまその静寂が破られることもあります。

全展開してみました。席の隣にあるのはスツール(またはオットマン)と言って、この前の2人掛席が反対方向に向いた際、通路側の人がフットレスト代わりに使うものです。

大阪側の仕切部分です。号車案内・情報表示用のプラズマ方式による表示装置の脇には電照広告が設置されています。現在の500系・700系・300系にも受け継がれているこの広告ですが、利用する側の意識としては不可解きわまる1つと言っても過言ではないでしょう。

つや消し処理を行い、照度も控えめになっていますが、理屈としては眼前を常時照らされているようなものです。あまり気分が良いわけはありません。むしろ、エクストラチャージを払って利用しているグリーン席にしてこの設備は不要と言った方が早いでしょう。

大阪側のデッキから入って、個室へ通じる通路を歩きます。右側の大きな窪みは大型荷物を置くためのラゲージスペースですが、治安に不安が無いわけではない昨今ではちょっと置くのをためらわれます。

ここもJR九州787系よろしく、繁忙期には荷物の代わりに人間が収納されている時があります(笑)。しかし、ここはあくまでもグリーン料金を払っている人のための設備。そのまま居続けるためにはグリーン料金を支払わなければなりません。

喫煙グリーン席を選択すると、ノーマルデッキの10号車に案内されます。こちらはベージュ・ブラウンをベースとした落ち着いた空間が提供されています。車内色は喫煙によるヤニ汚れを意識したものとも言えるでしょう。

喫煙席のR35Aです、G編成初期にはシートバックテーブルのないR35もありますが、それはJR西日本の項に譲ります。肘掛の先端に灰皿が付いている他は2階席のR35Aと殆ど差異がありません。

いよいよ個室に入ってゆきます。まずは、登場時から絶大なインパクトと存在感を知らしめた1人用個室です。ドアを開けると、大きな机とハイバックが特徴的なR5・R5Aが出迎えてくれます。

この座席、「走る書斎」の重要な要素でもあります。深々と倒れる電動リクライニング・前後移動による様々な利用形態の実現を図っています。リクライニングを倒し、スツールを使えばフルフラットに近い居住性が得られます。室内灯もすべて手元で制御が可能であり、鍵・カーテンを閉め、電気を消せばそこは車掌以外に誰も邪魔されることのない究極のプライベート空間です。

座席の下にはレバーがあり、これを操作すると方向を変えることも可能です。卓上には9号車売店に繋がる内線電話とアラーム機能が付いたラジオ付き時計が備わっています。内線電話はこの編成が東海道新幹線のフラッグシップだった頃、いちいち個室から出なくても注文などができるように、という配慮から付けられているものです。しかし、今は売店にスタッフが居ること自体がほとんど無いので無用の長物と化しています。

こちら、G編成後期の1人用個室です。一見、上記の各部屋と差異はありませんが、窓側時計ユニットと反対側にAC100Vコンセントが取り付けられています。R5A本体も、リクライニングと前後スイッチが肘掛下に収納されています。以前のダラリとした感じが無くなり、全体的にスッキリした印象を受けます。座席下の可動ユニットもカバーが増設され、ストッパーが付くなどの小変化が見られます。

2人用個室です、座面スライドが連動するリクライニングソファが2脚備わっています。その真ん中には大きなテーブル。それだけと言えばそれだけですが、昔は(今でも?)商談などが行われていたんでしょうね。

3人用個室です。2人用個室と同じ座席が窓側2、通路側1の3脚備わっています。インアームテーブルも備わっています。しかし、リクライニング量やカラーバランス的にはあまり私の好みではありません。

4人用個室です。電動リクライニング機能を備えた大型のソファーシートが据え付けられています。ヘッドレストはボタン操作で上下し、好みの位置で固定できます。しかし、写真のように可動部のレールが枕移動範囲に収まっている(金具で怪我をさせない為)ので、その可動シーンは非常に不気味かつシュールでもあります。

カラーコードが非常に明るくも落ち着いた色調になっており、家族での移動や知り合い同士での旅行など様々な需要に応えられる逸品といえるでしょう。両脇ともにリクライニングさせると座面同士がかなり接するので簡易ベッドにもなります。

隠し機能もなかなかに多い室内で、オーディオユニットがセンターアームレスト(これ自体もかなり目立たないように工夫されている収納式)の下に隠れていたり、そのセンターアームレストにはテーブルが仕込まれていたり…。部屋入口には大きなミラーがありますが、この裏側にはクローゼットが隠れています。

偶然、X1編成に乗り合わせたときに撮ったものです。写真は10号車(喫煙席)です。R33と呼ばれ、見慣れたR35Aとフレームカバー形状が少々異なっています。シートバックテーブルもありません。

これもX1(禁煙席)です。R34と呼ばれ、R33より軽量化が施され、重心も低めに押さえられた席になっています。登場当初はレッグレストが装備されていたのですが、後にフットレストが増設され、シートバックテーブルも備えられました。結果、機能的にはR35Aと同様の座席になっています。

しかし、焦っていたせいか撮り方がメタメタです(泣)。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
グリーン(試作車・ 9号車)2R341160mm
グリーン(試作車・10号車)2R331160mm
グリーン(量産車・ 9号車)2R35A1160mm
グリーン(量産車・ 9号車)1R61160mm
グリーン(量産車・10号車)2R35A1160mm
グリーン(個室)1R5/A----mm