300系電車 最終確認時期:2006年12月

100系はアコモデーションの因習を破りました。300系は速度の因習を破りましたが、軽量化を是とし、当時としては限りなき切り詰めを強いた反動は接客設備的に大きくはね返ったと思います。

では、この形式のプロジェクト自体が全く悪かと言われればさにあらず、その設置間隔などに精密さが要求されたため、結果的に常用単位を「cm」から「mm」のレベルに引き上げた(その後700系で完全にmmの領域へ)功績があります。しかし、その功績は居住性の評価で100系のインパクトを超えた時に輝くモノ、ひっそりと伝わる内輪受け・自己満足の範囲を脱せないネタだろうな、と思います。南無。

比較的初期の普通車に装着されたTR58A。クッション部の詰物がすぐに経年劣化を起こしてしまい、フレームにだらしなくへばり付くような底突き感満点の使えない座席として知られています。300系初期編成・ヘッドレストが妙に丸っこいものについては、その着座感は100系を知っている者にとっては決して良いとは言えません。

座面形状に加え、材質が滑りやすいことも災いしているのか、座っている間にズルズルと前に滑ってしまいます。まぁ、トップスピードの時の揺動を考えると宜なるかな。

3人掛席のTR71Aです。かねてから3人掛の真ん中(B席)は不人気席でした。そのため、ここだけ座面幅を3cm拡大して居住性を向上させています。背面から見ると、その大きさの違いは良く判るところです。

2人掛席でも共通ですが、窓キセ形状をテーブルのようにして缶やちょっとしたボトルであれば置けるようになっています。

室内ですが、100系までの直接照明から間接照明になり、照度がかなり落ちています。本を読むにはちょっと厳しいかも知れません。

マイナーチェンジ版、主に3次車以降に装備されたTR58Bです。大きめに張り出し改良されたヘッドレストと、全体的に硬めの座り心地はそれまでの問題点を改善した結果といえますが、やはり生まれの悪さか、どうにも寒々しい印象を受けます。

3人掛席のTR71Bです。新幹線、ことJR東海のメンテナンスは一言で言えば「キッチリ」という形容が似合う揃い方(視覚的にも現物的にも)だと思います。

それでも、時折メンテナンスの関係で資材が上手くやりくりできなかったのか、初期車の中にこの後期形の背面を装備した車両が顔を出すことがあります。最も、JR他社は勿論、私鉄各社でもよく見られる現象ですが、日頃の東海の姿からすると「あれまぁ」と思わされる一幕です。

グリーン車です。新幹線のG席は基本的に2&2配列になっています。窓上には読書灯が設置されています。

車端部には恒例の電光広告がありますが、こればかりは認められません(笑)。アクセントでも暇つぶしでもなく、タダ「安息の邪魔」と言い切ってしまいます。

東京駅で東海道新幹線と言われると300系ばかり、というのが一番多かった時期もありました。大所帯故、投入時期も長期に渡りました。その中で、投入次数によってグリーン席も若干タイプが変わっています。

画像は初期車両に設置されていたTR37Aです。座席軽量化の反動か、フットレストは台座固定式のコンパクトなモノになっています。インアームテーブルこそありますが、シートバックテーブルは無くなりました。

後期増備編成のグリーン席、フットレストが座席付属の跳上式となったTR37Bに変更されています。やはり(?)以前のフットレストの評判は芳しくなかったようです。

その他、背面形状がTR37Aに比べて彫りが深くエッジの立ったモノになっています。台座もフットレスト支持方式の変更に伴い、大きなカバーが掛られているような形状になっています。フットレストの脇には利用方法の印刷されたシールが貼られています。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通車(試作車)2TR58/59/601040mm
普通車(試作車)3TR71/72/731040mm
普通車(量産初期車)2TR58A/59A1040mm
普通車(量産初期車)3TR71A1040mm
普通車(量産3次車以降)2TR58B1040mm
普通車(量産3次車以降)3TR71B1040mm
グリーン(試作車)2TR371160mm
グリーン(量産初期車)2TR37A1160mm
グリーン(量産3次車以降)2TR37B1160mm