183/189系電車(普通車1) 最終確認時期:2002年3月

E257系の登場で中央本線の定期特急からは引退したとはいえ、ある編成は中央ライナーに、ある車両は房総特急に組み込まれて今なお現役活躍中です。写真は松本駅で発車時刻を待つ急行「アルプス」のM1編成(1999年当時)です。今、この番線には急行「ちくま」が到着しています。

中央本線系統の列車は併走する高速バスに対向するため、果敢なリフレッシュ・DX化を推進してきました。しかし、それはグリーン車や指定席相当部分の話で、自由席はモケットを張り替えたり座席をバケット化したりする程度のものでした。そのため、良くも悪くも登場当初のたたずまいを良く残した車内になっています。

関東地方で特急の座席と言えば、「簡リク」ことR51がイメージされます。これはその中でも比較的後期のリフレッシュを受けたR51AN改(リクライニングロック機構付設・座面/背面バケット改造済・着座高の若干ダウン・難燃化改良済…その他色々)に属する部類の典型例です。

R51のリクライニング角度ですが、座面スライドを考慮すると実は一般的な回転油圧リクライニングシート(R55・RS380系統)に充分比肩する角度だったりします。しかし、シートピッチは910mmと古くは「こだま形電車」から変わっていない寸法は足下のヒーターカバーと相まって窮屈になってしまいました。

さて指定席です。こちらは「これでもか!」と言わんばかりの改造・改良のオンパレードです。天井はルーバーを付けて照明効果を落ち着いた物にしています。しかし、クーラーの吹き出し口はそのままというのが何ともイカしてます。そのほか、センサーによるデッキ仕切扉の自動化、座席部分のハイデッキ化、読書灯の増設などは後のJR各社が行った在来車両のリニューアルに多大な影響を及ぼしたモノばかりです。

当初、後述のブルーとグレーの2色がイメージカラーだったモノの、1998年冬からリニューアルが始まって、パープルとグリーンがベースになった模様柄に変わっています。

そして、これが改造当初のカラーリングを残した指定席部分の座席です。形式はR55E、R55系列の中では背ズリがやや高いことでスマートに見えます。シートピッチは先頭車(クハ)が970mm、中間車(モハ)が960mmとなっています。同一時期に行われる改造でシートピッチが異なるのは案外珍しいのかも知れませんが、これは客室有効長の関係によるものと思われます。ヒーターも壁側に寄せたことで脚台下がスッキリしており、ゆっくりと足を伸ばせます…窓側以外は(悩)。

R55Eはしっかりしたセンターアームレストが備わっており、座席回転についても2人掛中央部に引き起こしレバーを設け、これを操作することで回転を可能にしています。均整の取れたデザイン、コントラストのハッキリしたカラーリング、必要にして十分な付帯設備と大きな窓で多少窓枠が重なってもご飯3杯は軽いと感じるのは…私だけです。

「あずさ・かいじ」時代の9両編成の場合、4号車が季節によって自由席になったり指定席になったりします。その4号車部分の座席は、自由席運用時に備えてシートピッチを変えられるよう、座席脚台にレールを敷いてネジ固定をしています。この辺は航空機とそっくりですが…果たして、この機能が実現したと言う話は寡聞にして聞きません。しかし、レールがあって座席が増設できると言うことは…所属する電車区の倉庫には、未使用のR55Eがいくつかある…と言うことなのでしょうか(笑)。

さて、碓氷峠の主役が新幹線になってからそれまで「あさま」として活躍していた189系は半ばバラバラにされてある車両は直江津へ、ある車両は中央本線で「あずさ」に…と回されました。189系も「あさま」現役時代に相当数がDX改造やリフレッシュを受けています。これが当時、自由席部分のR51ANです。薄いベージュとグリーンという落ち着いているのか薄色ボケしているのかよく判らないカラーリングです。

189系の指定席部分のDX改造は183系DX改造をノウハウとして進められた経緯もあり、座席交換・読書灯設置・側窓巨大化・ハイデッキ化・LED情報表示装置の設置など、大筋では変わっていません。唯一大きく変わっているとすれば、天井がルーバーをかぶせたものからFRPによるツルッとした天井に変わっている点です。しかし、これ、見た目以上に安っぽいんです。列車走行中の振動で天井もビリビリとふるえると光を忠実に反射してこれも良くふるえます。この点ではメンテは面倒くさいのですが、ルーバーの方が私はお気に入りです。

そして、指定席部分のR55Eも若干モデルチェンジを行っています。大筋ではオリジナルのR55Eと変わらないのですが、座席回転がそれまでのレバーから従来のペダル方式に戻っています。そのほか、背面テーブルの枠処理など、若干の差異が見られます。

そして、これが指定席部分の別の例です。一見、先のR55Fと変わっていないのですが、センターアームレストの形状が異なっています。これはR55Hと呼ばれ、後にリフレッシュ改造車・185系リフレッシュ車などにも採用されています。座席的にはヘッドレスト形状がより明確になり、座り心地もかなり硬めを意識したモノになっています。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(DX/リフレッシュ・自由席相当)2R51N/R51AN910mm
普通(あずさDX・指定席相当・先頭車)2R55E970mm
普通(あずさDX・指定席相当・中間車)2R55E960mm
普通(あさまDX・指定席相当・先頭車)2R55E(後期)970mm
普通(あさまDX・指定席相当・中間車)2R55E(後期)960mm
普通(あさまDX・指定席相当・先頭車)2R55H970mm
普通(あさまDX・指定席相当・中間車)2R55H960mm
普通(リフレッシュ・ノーマルデッキ)2R55H910mm