185系電車(元・田町編成) 最終確認時期:2008年7月

「特急でも普通でも使える車両」と、今言おうモノなら刺されるようなうたい文句で登場したのが185系です。

中を取って、当時まだまだ現役だった急行に入れておけば良かったモノを、折からの財政難と共に、なまじ十の位に「8」を打ってしまったばかりに…。

普通車は、転換クロスシートW17が装備されていました。デッキの有無という問題「だけ」(いや、確かにそれ以外は…)で方や特急、方や快速(117系)というどうにもならない格差は、すでに地域差を超えてビックリな姿でした。

シートピッチ910mm、中途半端に盛り上がった座面と背面、着座ポイントが判然としない座ブトンは当初茶色が普通でしたが、後に写真のようなグレーをベースとしたドットパターンに張り替えられています。

なおR55I換装後、近江鉄道の700形「あかね」号に移植されて、いまも現役バリバリな個体が居たりします。

21世紀に入ろうか、という頃にリニューアルとして普通席でも改座が行われました。

当時、田町所属の編成においてはR55Iへと改座され、ようやくリクライニングシートと背面大型テーブルの恩恵に浴したものです。

施工過渡期、W17を設置していた未施工編成とリニューアル編成は、基本編成と付属編成で統一されて組まれておらず、新橋方から入ってくる姿を見て、自席がどちらか一喜一憂したモノです。

R55Iは枝番が示すとおり、R55シリーズでも後期のエディションに位置し、熟成を重ねた安定モデルと言えるタイプです。

座面・背面のクッション性は堅めに寄っています。ヘッドレストの張り出しがやや強めですが、夜行も絡む臨時快速ではそこそこ重宝されているように思えます。

別稿の元・新前橋編成のR55Hと比べ、脚台の蹴込みが無いことから、足元空間だけはW17譲りとなっています。

過去、所属していたサークル機関誌の関係でモノクロフィルムなのが難ですが、グリーン席はオリジナルがR27Bとなっていました。

これまた別稿の元・新前橋編成の方で示している、蘇芳色の段織モケットが表地だったのですが、リフレッシュの一環で表地がライトグレーベースのドットパターンに改められました。

ただ、当時の185系運用体系は、朝晩や日中の末端運用で普通列車があったため、大きな手を入れられることなく推移していたというのが実際のようです。良くも悪くも国鉄特急の基本形が最後まで残っていたとも言えます。

普通席の改座と同じタイミングにて、グリーン席も回転油圧リクライニングシートに改座されました。

シートの機能要素だけで見れば、センターアームレストが無く背面大型テーブルも無し。ソデ体からの仕込みテーブルと土足面のみの跳ね上げフットレストに改められています。形状的には255系普通席のシルエットがカブります。大きさは違いますが。

油圧リクライニングの代償にフットレストの機能性がマイナスになった、と言うことで、算術的に見ればR27Bから差し引きイコールという、凄く国鉄手法が漂う等式進化を経ています。

座面・背面そのものは、普通席よりクッション性が残されては居ますが、R27Bのそれとは異なりバウンス性はあまりありません。普通運用を兼ねるということや、251系との格差的な釣り合いというのも潜在的にはあったのかもしれません。キロ当たりのグリーン料金は251系と同じはずなのですが…。

さて、185系のグリーン席は田町・新前橋対比以外では没個性かと思えばさにあらず。床面カーペットに差異のあるものが存在します。床模様やカーペットの毛足の長さ、というかボリュームが異なるタイプです。

ひょっとすると、元・新前橋所属で後に田町へ転属し、改座されたグループに施工されたタイプかもしれませんが、あいにく、この頃は車番まで押さえておりませんでしたので、観測と状況に基づく推理以上の証拠はありません。

アームががっしりした造りになっていますが、特に重しがないと跳ね上がる片面方式になっています。貼ってある生地からして土足のみのようです。

アーム部分をよく見ると…グリーンマークが成形されています。葉っぱの縁の出方が少し小さめに見えるので、一見強度を保ちつつ材料を節約する手抜きに見えますがわざわざ成形されたものなんです。余談ですが、JR西日本283系のG席(WRK113/232)にも同様のパーツが使われています。

2席並べばこんなモン。

毛足の長いカーペットの方でも撮ってました。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2W17910mm
普通(改座後)2R55I910mm
グリーン(オリジナル)2R27B1160mm
グリーン(改座後)2形式付番無し(小糸工業製)1160mm