209系電車(試作A編成) 最終確認時期:2007年1月

新系列車両との位置付けを背負い、今までの車両造りをひっくり返した形式として記録されるであろう209系。ご存じの通り(?)、量産を前提として901系の名で仕様が異なる3パターン(詳細仕様まで入れれば奇っ怪そのもの)の編成が居りました。後に209系900番台として、廃車直前まで走っておりましたとさ。

遠目には屋上のアンテナや、前面の6ドアステッカーの有無、クーラーカバーの独特の形状、一部車両の窓形状から見分けが付いたところです。画像は、元試作A編成の900番台ウラ90編成。

車内も今までの設計とは趣を異にしたコンセプトで造られています。基本的に4ドア通勤車両なので、動線的な造作が従来の車両と大きく異なる訳ではありませんが、細部についてはかなりの変化を見て取ることができます。

パッと見て、ドア脇の袖仕切の大きさに目が行ったことは記憶に新しいところです。化粧板は白いのですが、床面のグレーと天井照明がショボかったことから、あまりポジティブなコントラストではなかったというのが感想であり印象です。

ロングシート部分は座席の基部を壁面フックとしたカンチレバータイプに改められました。座席もバケット形状、ウレタン主体の硬め座席となっています。1人分の区画がハッキリし、スタンションポールを兼ねた仕切りポールで2-3-2人がハッキリ分かれた部分はちょっと未来志向。

座席の硬さについては、オフィスチェアを志向したものとされていますが、残念ながら、独特のピッチ状で感じられるヨーや、台車間距離の関係と剛性による奇妙な上下動…残念ながら褒められたモノではなかったとは微塵も感じませんでした。揺れる車内で固いオフィスチェアとか、ちょっと悪趣味なアンバランスにして発想が間違っていたとしか思えません。

試作車時代「通勤利用者がメインなら荷物は少なかろう」と思ったのか、A編成は窓上の荷物棚がドア横を除いて無かった状態でした。静岡電鉄1000系電車に通じる発想かもしれません。しかし、量産化改造時にやはり改められていますね。

この形式においてチョンボと言えば座面下のヒーターでしょう。床面をスッキリさせて将来、床面清掃をロボットで…と目論んだと言われていますが、ヒーター角度が悪く、また出力もかなり小さかったため、暖房がまるっきり効かなかったのは沿線利用者なら身に染みたことかと。私も通勤で使っていた時期がありまして、品川で当時205系だった山手線に本気で乗り換えたことがあるくらいです。

車端には優先席が設置されました。登場当初は、ランバーサポート部分がライトグレーで、従前のシルバーシートをイメージした座席でありましたが、この車両の車端って…揺れるんですよねぇ…。

そう言えば、試作編成については、車椅子スペースが設置されなかったですね。バリアフリー導入の過渡期ならでは(?)の車両とも言えました。

ドアはこの時期は空気シリンダタイプでした。後の量産車は電動によるスクリューモーターだとか、色々改良されてますね。ただ、見慣れた今になっても、ドアが閉まった状態でドアがキッチリ閉まらない状態なのは…。

運転台後ろには、いかにも、といった風合いの枠付き仕切り壁が設置されました。踏切事故などで乗務員が圧死しないよう、この部分がブチ抜けてくると伺ったことがありますが…う〜ん、不吉な事故は起こらなかったにしても、それって…ストレッチャー機能前提?

一応、記念で撮りました。

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