485系電車(秋田/新潟地区普通車) 最終確認時期:2015年06月

よく言えば全国から集結した歴戦の勇士、悪く言えば転配・理不尽の吹き溜まりと言った趣の上沼垂所属485系、最後まで3000番台化されない編成がチラリチラリ。

改造遍歴から組み替えの奇々怪々ぶり、運用のカオスさまで、そのバリエーションさは全国でも有数のディープさを誇っていたものと勝手に思っています。

連結器カバーからして、もう、ねぇ…(笑)。

サラリと1500番台も居ましたね。ヘッドライト・テールライトの形状が独特です。

少し手持ちを探していたら、こんなのが出てきたので貼ってみます。なお、撮影場所は新大阪。

車両の来歴云々は全くの無知なので、何がどうかよく判りませんが取りあえずDX編成指定席部分と言うことだけは判ります(笑)。

こちら上の編成のお尻になるボンネット側…居たねぇ、そういえばこんなのも。今に思えば、当時よく撮ってあったなぁ、と。

夜に見てみると、右下の「L」マークが、貼り足しで隠されていることがよく判ります。冷静に見ると、この車両の方は特急マークが無いところに「?」ですが、これは常磐線から流れてきた車両です。

編成ごとに微妙な違いがあって、乗る度にロシアンルーレットみたいなものでしたね。

3000番台のような画一感がないというのも、普通に乗る側からすればたまったモノじゃないかも知れませんが。

側面だけ見ても、これだもんね…。

秋田地区の過去帳入り車両として、3両編成のミニ特急「かもしか」も居ました。

ヘッドマークの動物がデザイン的に「エゾシカ」ではないか疑惑も多々、確かに現物の「かもしか」ってウシの仲間だし、角がちんちくりん気味ですからねぇ。

さぁ、座席屋にとっては文字通りの危険地帯、東北・日本海側の485系普通席地獄の始まり。まずは青森に居て、青函連絡「はつかり」だった国鉄色グループから…。

当時「はつかり」自由席だった一例。ワインレッドとライトグレーのコントラストも鮮やかな車内です。よく見ると仕切扉もさっくりと変更されています。

そのほか、空気清浄機の関係でしょうか?天井の出っ張りが妙に豪華絢爛です。話によると「あいづ」にはこのタイプの車両が回ったとか…あれ?グレード的には…(以下略)。

座席はR51BN改。いわゆる「簡易リクライニングシート」にストッパーを付け、「リクライニングシート」にランクアップ。ソデ体に小テーブルを設置して座席背面・座面形状を改良したものです。オリジナルよりはずっと重厚になりましたし、テーブルの増設でユーティリティもアップしましたが、終点まで座ると生まれの悪さがお尻に嘘を吐かせない正直仕様。

ソデ体設置のテーブルは、作り付けがいい加減で、水平がキチンと出ないものも結構な数存在しました。動作させる度にキュッキュとなかなか喧しく、安心感も…でして。

上沼垂の同改造タイプ・色違い席の全景です。乗車当時、こちらは指定席相当の号車に連結されていました。後述しますが、上沼垂扱いの車両・編成に限れば、座席タイプの法則性はあって無きが如し、自由席・指定席間の設備下克上上等な究極のロシアンルーレットです。

上と見比べても座席のモケット色が違うだけで、それ以外の機能的な部分に何ら違いはありません。

指定席区画です。グレーベースの落ち着いたモケット色になっています。それ以外は淡々と485系の車内です。

「はつかり」時代の指定席区画にあったR51BN改です。自由席区画と異なるのは、テーブルがソデ体設置ではなくR55・RS390シリーズを意識してのものか、背面に増設されています。このスタイルは、JR西日本の485/489系で初お目見えしています。その代わり、網袋は後部カバーに移設されてしまい、少々使いづらいのです。

それ以外にも、背面の厚みが自由席のものより厚めになりつつ、両サイドのアームレスト上への背ズリ張り出し部分、切り欠きの「間」が上のモノより大きく開けられています。

で、同タイプ改造の上沼垂の方。ちなみに、自由席に放り込まれていました(笑)。

座席もモケット以外の差違は見当たりません。この支離滅裂さを楽しめるようになったら業の深さも深刻且つ重症です(笑)。

「かもしか」編成の普通席です。改造手順としては、国鉄色自由席相当部分のR51BN改とさほど変わりません。座席モケット色が違うくらいです。

この種のテーブルは、回転寸法上、窓側席のものは利用できませんが、出す手順を間違えなければ座席回転動作に合わせ、引き出して利用することができます。でも、手順を誤るとアーム部分を損傷するので…やっぱりやめときましょうね(汗)。

車端部には折りたたみテーブルが壁面に仕込まれている編成もありました。これ、側窓の関係でしたっけね。

2004年頃から、上沼垂編成のイメージに合わせたリフレッシュが施工され、座席は黒をベースとしたほぼ同様のカラーリングに統一されました。

背ズリの真ん中部分で、秋田・青森地区の伝統カラーパターンだよ、と訴えかけてきています。

新潟地区では比較的古くから見られていたパターン。「北越」などでよく見かけますが、そのほかの特急にも容赦なく突っ込まれているようです。

3000番台リニューアルを受けきっていないけど、地味にリフレッシュを受けているのが壁面の化粧板などから読み取れます。いっそ3000番台にしてしまえば良いのに…。

なお、座席は上の全景と同じですが通路のカラーが異なっていることで、別の車両ということが判りますね(笑)。

183系「あずさDX編成」の成功を受け、1985〜1990年代、各地で特急アコモデーションのデラックス化が進行したのは別稿で書いた通りです。かねてから特急街道の異名を持つ北陸・羽越特急車両が多く集う上沼垂所属の485系にも、183DX編成に倣った改造を行った編成が居ました。

荷棚や天井ルーバー、ハイデッキ構造に片鱗を見て取れる485系1500番台・1000番台がそれ。写真はクハの1503番です。引退まで3000番台化されず「北越」・「いなほ」などに就き、信号装置の関係か新井〜新潟間の快速「くびき野」に入っている車両がありました。当時の快速「くびき野」、設備もさることながら、スピードでも特急にひけを取らないダイヤでかなり乗りドク列車でしたね。

座席自体は、183系DX普通席に設置されたR55Eとほぼ同じ構造のR55Fです。相違点と言えば、座席脚台に設置されたバーレストがポイントでしょう。

ランバーからヘッドレスト下にかけての流麗なカーブ、台座・座面・背ズリの寸法比、ヘッドレスト形状のアクセントなど、特急向け普通席の中ではズバ抜けて均整の取れた、フェチゴコロをくすぐる美人デザインの座席だと思っています。

シートピッチはそれまでの910mmから970(モハは960)mmに拡大され、眺望に難の出る列があるのは183系DX編成と同じです。クハ1503番はモケットが変更されており、新潟地区の改座車両によくあるモケットの風合いと詰物となっています。乗り心地?ええ、必要充分にして納得なものであると思います。

縦撮りしてみました。荷棚下に読書灯(もちろん現役)があり、登場当初は大阪直通「雷鳥」や「白鳥」などの看板列車に良く投入されていました。

この座席を回転させる時は、両座席境目の座面下にあるレバー操作で行うモノになっています。通常の通路側ペダルにすると、ハイデッキなので操作に難が出ることと、脚が当たってしまう等の危険性が考慮されての由。

改造当時のモケットが座面下の基部に残るクハ1502番。白に黒と明確なコントラストであるのですが、対して床の緑がミスマッチです。登場当初の色遣いについても、全体的にトーンの薄い色でまとめているのですが、常時くすんでいるように思えますし、荷棚と座席色を合わせたところで視覚的連続性があるとはそれほど思えません。

尤も、これは183系DX編成で、ソデ体の塗色を安っぽくして登場してしまったことに遠因があるのかも知れません。

お次は、割と少数派になると思われますが、R55Aに改座されたタイプです。

常磐線から既にこれに改座改造されて転属してきたものが多数派で、元から上沼垂に配置されていた車両で、この改造を受けたタイプは少数派と観測されます。「疑わしきはR55にしとけ」と言う改座方程式(笑)の黎明期の逸品です。

転属車については、暫くの間、座席がそのまま残っているものもありました。

表地が張り替えられたのはこちら。ソデ体の色に転属当時のイメージを残していますし、よく見ると座面下のフレームに残されたモケットから、その来歴を辿るのも楽しみでありました。

リクライニングシートに改座されたグループはまだまだ続き、上のR55Aと似ていますがよく見るとひと味違う座席のグループが居ます。

なお、私は基本的に興味のフォーカスが座席オンリーなのですが、クーラーや荷棚形状、床敷物など、その差異を見ると存在そのものが実に神経衰弱なのが上沼垂の怖さ。

比肩するモノがあるとすれば、広島エリアの中距離車両(近年、急速に整理されてますが…)や北海道の183系気動車がそれでしょうか。

一見、R55系と似ているようでいて、ソデ体の形状がややソリッドで扁平気味、座面のクッションがかなり厚めなところに差異が見て取れるRS391のグループです。

九州では485系・783系改座において一大勢力を保つグループ(RS390)の系統座席ですが、東日本エリアでは、もともと青函連絡当時の「はつかり」で改座されたに留まっていた、地味にレア座席だったりもします。上沼垂所属でもごく少数がこのタイプに改座されていました。

青森方面から上沼垂に転属し、さらにモケットが交換された全景です。上のソリッドな風合いとはまるで違う光景。これで同系統の座席と言い張るんだから、言葉の暴力って凄い(苦笑)。

「はつかり」現役当時の写真。指定席を中心にRS391に改座された車両が存在しました。R55よりしっかりしたフレームと高い背ズリ、また全般的に操作感の深さでしっかり体を預けられます。

この座席のデメリットとしては、向かい合わせにした際、リクライニングが衝突する角度になっていること。マナー云々はどうかと思いますが、個人的にはそのような場合、進行方向逆向きの側が一歩引くべきでしょうね。

新潟転属後、一部車輌は当時の新潟カラーリングへのモケット交換を受けています。

でも、程なくこちらのタイプに改められました。

夏期だと少々見てくれが暑苦しいのですが、座り心地がモフッとしてズボッとして、それでいて割とシッカリした着座感なので、私は密かにアタリ座席扱いしています。

閑話休題、木星と言えば太陽になり損ねた星、という異名があります。新潟にも、燦然と輝く3000番台になり損ねた車両というのが居たりします。

半室グリーンの普通席部分ですが、床から座席までは3000番台っぽい立ち上がりなのですが、窓から上が…あれれ。

1両全景だとこんなもん。別稿3000番台のそれと似た寄ったですね、荷棚がパイプの古いモノですが。

で、半室グリーンの普通席部分パート2、荷棚がリニューアルされてるタイプ。床敷も、少し時代がかったタイプから改められています。

座席自体は、3000番台のそれと全く同じなので、ねぇ。

改座前の座席はR55かRS391だな、というのが台座カバーの痕跡から読み取れます。

で、こっちにも居るのが、表地がソリッドな織り方のタイプ。

色こそ同じなんでしょうが、手触りも風合いもまるで違うもの、どういう発注というか納品をやってるのか非常に不思議です。

3000番台自体は、リニューアルとしてはかなり成功し、実際の利用者からもウケが良かったものと思いますが、利用可能年数がある程度見えていた1000番台で、ワザワザこれに改座する背景というのがどうにもよく判らんところです。

全座席これに改座というのなら、座席の発注コストと言う面で量産効果がある程度働くでしょうし、メンテナンスコストの面からも有利さはありますが、現実、最後まで全座席これにはならなかったというところが中途半端というか「?」な向きがあります。

強いて言うと、引き替えるように消えていったR51改を一掃したかったのかな、とも思えるのですが、現実には撤去された旧脚台のシルエットからはR55かRS391を交換したとしか読み取れないんですね…やはり不可解な引力が存在するのが上沼垂です。

で、ですね。ここにもヘソ曲がりがおりまして、ヘッドレスト上に手摺りが付いたタイプが居るんですよ、これ。

ある種の逆転現象で、このヘッドレスト上に手摺りが付いたものは、3000番台にも搭載されなかったタイプだよね、と。

このタイプの座席に関する最終形態は、よりによって3000番台から先祖返りして1000番台(会津方面・東武直通対応車も含め)で幕という、劇的な下克上的オチかもしれません。

よく見りゃ、窓側の壁仕込みテーブルも撤去されてるし…。

既に過去帳ですが、東京(新宿)〜新潟間の夜行列車として165系「ムーンライト」がありました。同形式の老朽化に伴って485系に変わったことで、観光シーズンを中心に、昼の出稼ぎ運用として会津若松まで延長運転が行われるようになりました。

ここに宛がわれたのが国鉄色となった編成、普通車は半ば専用リニューアルが施されており、3000番台普通席を軸にした2&2のオーソドックスな風合いです。化粧板などが交換されたためか、明るくなっています。

あまりにも誰も居ないから、逆向き全景まで撮ってしまった。

…ん?前後で仕切扉の窓ガラス形状が違う…だと…。

座席は485系3000番台でおなじみのJCAS製座面スライド機構併設回転リクライニングシートです。以前の座席がR26・27改だったことからバリューダウンは否めませんが。

逆の見方として、元々の列車格が「快速」だった訳で、間合いでもない「本務」でのこの提供座席は仕方ないと言えば仕方ない落としドコロと言えてしまうのでしょう。もうちょっと言え新潟地区での「らくらくホームトレイン」運用や、写真撮影時の様な快速「フェアーウェイ」運用とすれば…まぁ、ね。

私は編成番号の類、とんと頓着しませんが、どうやら2編成居たようですね。

で、ちょっくら色違い。全景の写真を撮った車両の座席はこちら。

通勤時間帯の女性専用車が議論盛んなわけですが、夜行列車・寝台列車では、比較的早くから女性専用ブロック・女性専用車が設定されていました。気持ちは解らないでもありません。

「ムーンライト」運用時の普通席1両は女性専用車として運用されていました。座席色が見ての通りで、それを暗示しています。ちなみに、新潟地区での「らくらくホームトレイン」時もこのブロックは女性専用車となります。

こちらも全景逆撮りしていたり。

なお、当該撮影は東北本線で臨時運行されていた時のもので、女性専用車設定が無い列車での撮影となります。念のため。

女性専用対応車の座席。座席表地以外は一般席と全く同じです。

同様の問題を、一般席も抱えているので言及すると、この座席は着座時に「ギシギシ」と非常に耳障りな音を発します。座席回転時や車両揺動時ではなく、普通の体格の人が普通に腰を掛ただけで音を立てます。

音の発生部位(座席下部・摺動部)から鑑みると、この辺を中心に問題点は幾つか考えられますが、どちらにせよJR・メーカー側に一義的な問題があるようにしか思えません。
 1・回転機構の強度不足。
 2・摺動部分への注油/グリス不足。
 3・フレーム部分の強度/剛性不足。
 4・座面バネ部分のセッティング/基本的な設計ミス。

これで夜行運用向け車両としていたのですから、鬼と言えば鬼です(苦笑)。

まだ、枕カバーが白かったときのもの。

こちらの方が撮影時期は古いモノなんですね。

勿論、その時点でも撮影は致しておりますよ、と。

「かもしか」編成にて、青森向きで普通指定席となる先頭車(クモハ)最前列にあった、一風変わった設備がこのベビーシート。

「たざわ」時代から設置されていたのですが、これまたとんと趣味誌でお見かけしない(過去、1度だけ鉄道ファン誌に出ていたことがある)隠れた設備。ディープが身上の鉄道ピクトリアル誌の485系特集などでも見掛けたことがないくらい(私の探し方が悪い、というのアリですが ^^;)。

見た感じは最近のトイレでよく見かけるベビーベッドですが、なぜここにあったのかは謎。ちなみに「たざわ」時代は、壁の埋め込みではなく支持脚まであったのですが、その後こんな感じに。

バタンと広げるとこんな感じ。ちゃんと転落防止用の柵が折りたたまれている辺り、本格的です。

秋田だけかと思ったら、新潟にも居た。全てという訳ではありませんが、新潟向きの先頭車に備わっている車両がありました。

この区画は基本的に座席回転不可なのですが、どういうわけか回転できる席もあったりで、上沼垂と書いてカオスと読ませる設備の象徴でもありました。

ベッドを展開してみれば、秋田のそれと同じですね。

半室がグリーン席なっている車両の一部には、デッキとの仕切扉が街中の商店にあるような自動ドアデザインになったものが見られます。

こう言う模様柄が刻まれた全面窓タイプというのは、鉄道車両にしてはかなり珍しいかも…。

女性専用車部分のデッキ仕切扉、夜行・ホームライナー運用時は女性専用車になる旨の案内ステッカーが貼られ、化粧板もピンク系統になっています。

ちょっと引いて見ると、トイレ出口部分(写真左上)には非常用ブザーに連動すると思われる赤色灯が…(驚)。

それ以外の車両では、洗面台もデッキ仕切扉もホワイトを基調とした明るく清潔感のあるポジションとなっています。

割と古い車両ではよく見掛けた1/4カットの円筒形給水器。

リニューアルされた車両では、壁に埋め込まれるようになりました。

多分に3000番台のそれですが、こちらでご紹介。

コチラの洗面台は1000番台。

座席もそうですが、トイレも洗面台もバリエーションがあまりに多く、正直、あまりタッチできてない(笑)。

これは3000番台の電話室。壁面がパンチングメタルによる装飾壁となっています。

洗面台、シックなカラーリングで纏められていますね

車両選択に戻る>>
座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2R51BN改910mm
普通(改座車)2R55A910mm
普通(DX車)2R55F960(先頭車970)mm
普通(改座車)2RS391910mm
普通2形式不詳(JCAS製)910mm