E351系電車(量産先行車) 最終確認時期:2017年12月

183系DX編成が「あずさ」の中核編成として活躍していた傍ら、1993年末に突如デビューしたのがE351系です。

「スーパーあずさ」としてのデビューは遅れること1年、1994年末でした。振子機能を活かして中央本線を疾駆するはず…でしたが、機構的にも保線的にもトラブルに泣かされ続けたようです。個人的には笹子トンネル内のバカ走り時の振動に不安を感じていた今日この頃です。

普通席は、日本発条(日本リクライニングシート)製の回転油圧リクライニングシート。自動車シート工法に基づく一体表皮成形によって継目のない美しい表地を見せます。座席自体も低重心に振った作りで、感覚的にホームより一段低く下りるような感じがします。量産車との差違は、脚台下、蹴込みが設けられているものの、ヒーター部分がカバーされている点です。

シートピッチは183系DX編成の先頭車指定席に倣って970mm。デフォルトで適度な傾斜角が付いており、無理にリクライニングしなくても良いように思えました。アームレストは窓枠にツラを合わせた(やや低め)水平形状のもので、インアームテーブルがセットされています。振り子車両だから、ということもあるのでしょうが、この頃のJR東日本の特急座席としては珍しく折りたたみ式のドリンクホルダーが取り付けられていました。

両サイドのアームレストや、センターアームレスト、会社問わずこの頃の各車両で割と素材が共通していたところもありますが、末期は劣化して角部分を中心にかなりボロボロになってましたね。

背面部分、登場当初はゴムバンドになっていましたが、テーブル周りがやや貧弱だったのと相まって評判が悪かったようで、量産化改造時に網袋に取り替えられました。

デッキはこの頃の流行りで、グレーを基調としてモノトーンな仕上げになっています。

グリーン席は255系電車に続いて2&2の4アブレスト配置で登場。登場当初はブラウンを基調としたカラーリングでしたが、後に量産車に合わせたパープル基調のものに改められています。車両中央がパーテーションとなり、しばらくの間は新宿側半室が喫煙席として使用されていました。

DX編成が1&2の3アブレストで盛業中だったこともあり、先祖返り的な配置はイイ意味で拡大基調だったアコモデーションに竿を差す感のある印象しかなかったかな、と。

量産先行車のデッキから車内へのアプローチ部分、登場当初は自動改札機の様な装置が設置されていました。これは今の車掌が持つハンディ端末の走りのような実験的装置で、マルス発券された磁気指定券を通すと荷棚下の蛍光灯が連動して点灯し、その席の車内改札が省略される…という目論見とされていました。しかし、当時はまだ磁気券以外の発券も多く、照明の明滅による美観上の問題もあり、いつの間にか消えてしまった黒歴史的なお話になってしまいました。

今は、通信機能を使った車掌用端末で指定席の発券状況、利用券種(割引等)等も判るようになったシステムで管理していますね。

座席は普通車と同様に、日本発条製の回転油圧リクライングシート。ガス圧が高めなのかケーブル配置が良かったのか、リクライニングレスポンスが良くて、復帰時はなかなか勢いよく戻る(良い意味で)珍しい挙動でした。

背面がフラットに見えるのですが、ランバーは割と張り出しており、座面の程よい角度とピローが相まって、全般的にしっかり背中を預けられる形状だったと思います。また、寒冷地向け列車として255系などとの差違を出したかったのか、シートヒーターが客席単位で入切できるよう、リクライニングボタンの反対側にスイッチがありました。

惜しむらくは、4列配置で犠牲になった全体的な横幅、割を食ったアームレストのショボさ、フットレストが土足面なのか土禁面なのか判らんカラーリングの敷物になっているくらい(…って言う割に多いな)。

端部席の構図。壁に隅用の固定テーブルが設置されており、手が届くかどうかは別にして小物置場が他席より多めです。ただ、これは窓側の半円月状の框が設置されていない代償なので、まぁ、そんなもん、みたいな。

センターアームレストからニョキッと出ているのは通路側席用のドリンクホルダー。窓側席は框部分にホルダー相当のセットがありますので、自ずからそういう解釈になります。

松本側の13A,D席は車いす利用を想定した1人掛席。

例によって例のごとく、特定のタイミングで指定ブロックが解除され、一般の人でも運が良ければ指定できるスポットでした。特に上り方向では最後尾列になることから割と指名買いが多かったような…。

183系DX編成のグリーン席を知った側からすれば、何となくプライバシー感が残るのがこの席だけだったというのもありますね。

車いす席の部分は、その仕様上、窓側から少し離れて設置されており、前席のフットレストがイマイチ使いづらい(加えて下り方向では、12B,C席は晒し者状態になる)のが難点と言えば難点です。

座席とは直接絡みませんが、E351系で印象的なのは台車から繋がっているパンタ台でしょうか。

カーブで併走する列車からこの部分を見ていると、生々しくグラグラ揺れて架線に追従していくメカメカしさにココロときめいたものです。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1不明970mm
普通2不明970mm
グリーン1不明1160mm
グリーン2不明1160mm