12系客車(ばんえつ物語仕様・グリーン車) 最終確認時期:2015年6月

「週末パス」による遠出旅行先の定番になった感のある新潟〜会津若松間の「ばんえつ物語」号、季節に合わせたヘッドマークや車内イベントなど、なかなかに芸の細かい趣向を凝らしています。編成単位でも各地のイベント出張運転で引っ張りだこの模様。

2013年、新潟側最後尾車両が突如グリーン指定席としてリニューアルデビュー。特徴ある展望ルームの造形も相まって、一躍話題の車両に。グリーン券は運用ごとに売切満席を連発と、営業成績にかなり貢献している様子。

車体は新規デザインの新製とあり、デザインや設計については、濃色をベースとして、かなりな自由度を以て行われたようです。天井部分の框にあるレリーフ照明なんか、なかなか小洒落ていますネ。

普通列車扱いながら、1&2の3アブレスト配置で座席定員は都合30名…とココまではどこぞの提灯記事のようにポジティブに書けるのですが、ここからが…ねぇ。

画像は、入線直後の状態ですが、ビジュアル的にパッと見ても、背ズリが仰け反ったように見えてしまいます。座るまではコメントしない、が私の信条ですが…いやぁ、この段階で心の中の不安アラートがワンワン鳴ってるんですよ。

なお各社の新車記事などで、広報担当が何をトチ狂ったか、広報用素材でリクライニングシートを全倒しした状態の車内全景を撮っているケースが見当たりますが、あれ、逆にショボく見えるので止めた方がイイよ、と。

座席は背面のウッドシェルが目立つ回転油圧リクライニングシートです。ウッドシェル上端は背ズリより上寄りに立っており、これが手摺りを兼ねてるようですが、掴み片次第ではヘタに手指を掛けると食い込んで痛い目に遭います。

そして座面と背ズリ、ともに造形が壊滅的に悪いと評せざるを得ません。

座面はヒップポイントが安定しない上、安着させるにも角度が足りないタイプ。背ズリは両縁がかなり立ってますが、どういうわけかボディホールディングに寄与していない意味無しの謎形状。加えてヘッドレストにかけて、後端が後ろ反りするよう象られているため、デフォルト段階でデキの悪い歯医者の診療台みたいな感じです。

全展開してみるとこんな感じ。テーブルはドリンクレベルを置く程度、味も素っ気も腕を快適に置かせる気もナッシンなアームレスト形状に見覚えがあるなぁ…と思っているのですが…これか。

背ズリはリクライニングすると今度はこれ、うっかり苦痛。人によっては気道後部をユルく圧迫されるような感じになると思います。息苦しいというか、血圧が上がりそうな駄席。

なんでそうなるかと言えば、リクライニングして上体が沈むのに、肘掛後端の高さは相対的に高くなるので、脇が上に押されて空いてしまうんですね、これダメ座席の指標で昔の書籍に記されてるレベル。

2人掛席。シートピッチは1150mmと特急・急行用グリーン席の標準値-10mm程度は確保されており、普通列車グリーン席とすれば特に不足感は感じられないのですが、東北方面の地域ジョイトレ群は普通席で1200mmピッチだけに…ね。

乗車時間からも、結構足下がダルく感じられるので、乗る時はスリッパとか靴脱いで居られるグッズを持ってくると良いかも。

トータルすると、このグリーン席は1度験せば終わりかなぁ、という印象以上の価値はありません。今後は普通席かな。あちらは堅実確実な12系ボックス席、ちゃんと座れば結構良い掛け心地なんですよ。

グリーン席は、デッキ・ドアの段階で検札があります。後述の展望ルームの関係もあり、グリーン券またはグリーン席の乗車記念証が無いと通れないようになってる点はマル。スタッフさん、ちょっと大変そうでしたネ。

展望デッキは会津若松行なら最後尾、新潟行なら機関車のテンダーが眼前という、どちらに転んでも迫力の眺めが楽しめます。

伝え聞いた話では、登場早々にガラスの一部が熱割れを起こしてしまったとか…今は対策されてる模様ですが、ちょっとドッキリしちゃいますね。

床面のベンチを兼ねたオブジェ、夕刻時間帯になると真価を発揮します。なかなかムードありますよ。

展望側からクルッと客席に目を転じると、関連グッズや機材が展示されています。時期によって、コチラもチョイチョイ変更されてるそうです。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
グリーン1不詳1150mm
グリーン2不詳1150mm