E3系電車 最終確認時期:2004年9月

山形新幹線で一定の評価(?)を得たミニ新幹線方式、とうとう秋田県にも進出です(すっかり定着しましたが)。次世代ミニ新幹線車両の標準形として設計された(らしき)E3系です。

同アングルで別カット、よく見るとヘッドライトの形が異なっています。こちら先行量産(試作)形のR1編成。勿論、このスタイルは1本しか居ないので、運用を掴めない限り遭遇が運任せの車両でもあります。人によっては「キョロちゃん」と言う人も居るとか居ないとか。

この形のライトでも、デザイン上の問題はなさそうですが、乗務員が乗り込む前のテールランプ確認をするのに難が出る(少し離れないと見えない)ので不評だそうです。

普通席は、車体幅も在来線レートの特急車両に倣い、2&2配列となっています。4列ごとに荷棚から天井に向かって一体的な支柱が伸びています。視覚上のアクセントではありますが、実用上は部分的に邪魔になるかも知れません。JR北海道の283系気動車グリーン席よろしく各座席毎に無いだけ救いと言えますが…。

蛍光灯は間接照明になっています。これが先行量産車では半間接照明となり、全景視認上の区別とも言えます。量産車でも車端部に限って半間接照明になっています。蛍光灯の配置関係で照度が多少落ちる補償のように思えます。

画像はかつて自由席区画だった部分(東京駅基準で前2両)のもの、青をベースとしたモケットと立ち客に対応した手摺りがポイントです。

登場当初より指定席区画の部分、基本的な設えは旧自由席区画に沿っていますが、手摺りがありません。

旧自由席部分は山形新幹線400系量産車に倣い、910mmピッチで座席が並んでいます。ヘッドレスト上端には立席客を想定した手摺りが取り付けられています。シート表地はブルーを基調としたスラッシュパターンと紺色にパターンが入った柄、見た目さわやかですね。パッと見は程良く清潔感が漂います。

座席の回転は、従来のペダル方式からアームレスト後端にあるレバーを引き上げて回転させる方式に変更されました。写真の自由席はシロキ工業が製造した試作車のものです。センターアームレストの先端、黒い合皮レザー部が下まで回り込むように張られているのが特徴です。座席回転レバーが大きめになっています。

細かいですが、座席下の座ブトン支持板がハッキリ見えます。そのほか、背中側の後部カバーから上にかけての背もたれが少々張り出している点、リクライニングボタン周辺のモケット処理が指定席と異なっているのが特徴と言えば特徴です。

量産車の旧自由席区画です。上の試作タイプと見比べると間違い探し大会ができる面白さです。ちなみに、写真はシロキ工業製造分となっています。ソデ体後端にある座席回転レバーの大きさに注目。

その目で見てみると、ザッと見た限りでも…

1・ソデ体モケットの貼位置/面積の相違
2・アームレスト先端のフサギ板の有無
3・背面テーブル色の相違
4・リクライニングボタン位置の相違
5・4と連動し、ソデ体内張モケット形状の相違
6・センターアームレスト形状の相違
(試作車の物が垂れているのは単にメンテ)

「こまち」用R編成については、「やまびこ」運用に併結されるケースがあります。そのため最近になって少し増備されています。R18編成以降の車両については、座席が従来のスタイルとは異なっています。E257系普通席をベースにした座面チルト機構併設回転油圧リクライニングシート(だから長い!)が設置されています。同系との大きな見かけ上の違いと言えば、モケットとソデ体形状と長さの違いの他、座面チルト機構のスイッチがボタンかレバーか、というものです。

ヘッドレストの後側には手摺りが設置され、大形テーブルは勿論のこと、カップホルダーも付いており、程度に応じてユーティリティを使い分けることができます。しかし、旧自由席区画はやはりシートピッチが910mm。後述の元来からの指定席区画との格差は厳然と付いています。これは後に自由席が復活する含みが残されていると言うことでしょうか?いや、単に余計に弄りたくないんでしょうね。

素人目にもその違いは判ることでしょう。その場合の不平等さ加減は堪ったモノではないと思うのですが…新造車にしてこの行状、何としましょう(笑)。噂の範囲ですが、この部分は団体利用に宛うケースが多いのだとか…念のため、窓口で席を取る時は14号車より東京側を指名するのが安全策かと。

試作車指定席部分です。手摺りが無くなり、シートピッチも980mmになっています。そのため、リクライニング角度が深くなっているのは山形新幹線に準じたところでしょう。

座席自体は自由席と殆ど差異がありませんが、強いて挙げればソデ体のモケットの貼り位置と面積に格差らしきものが見られます。こちら、小糸工業製となっています。シロキ工業製との大きな差異はソデ体後ろにある座席回転レバーの大きさです。

2002年12月から「こまち」は全車指定席になりましたが、従来の自由席と現在の指定席…割り当て違いでこれまた居住性にかなりの差が付いてしまいます。結構この会社って(向こう見ずに)思い切ったことするのね…アコモデーション的に。

試作車の車椅子対応部分、1人掛席です。

座席台座に見えるクリーム色のブツは車内清掃時の掃除機用コンセント…AC100Vにつき、ここをパソコン電源にするツワモノを時折見ますが、ここの給電状況は走行中の瞬間停電に見られるように存外不安定とのこと。そのため、JR的には一切の保証も補償もナシを前提に利用黙認状態になっているそうな…。

量産車指定席部分です。シロキ工業製ですが、座席的な違いはほとんど無く、センターアームレストの合皮の巻き方が異なっているくらいです。この形式・座席はセンターアームレストが垂れ下がった座席をしばしば見かけます。ちゃんとメンテはして頂きたい物なのですが…。

山形新幹線が新庄延伸した際に増備投入されたE3系「つばさ」仕様編成については、車内が秋田新幹線仕様と投入時期が異なるくらいの違いしかありません。細かく見ると足下の床板の表面成形と反射率が異なっています。おそらく、清掃時に汚れが速やかに取れるようなコーティングがなされているモノと(勝手に)見ています。自動回転機構が省略されています。

車椅子対応ブロックです。今度は上り(東京)向きになっている状態で見てみます。

この2列目、この向きではテーブルが使えないのでさてどうするか、と言えば、このようにインアームテーブルが仕込まれており、こちらを使えるようになっています。と言うことは、逆向きではインアームテーブルもシートバックテーブルも使えるちょっとしたボーナス席。

元来からの指定席区画です。基本的に上記の旧自由席と同じ座席ですが、シートピッチが980mmとなっており、その上何故だかフットレストが付いています。こちらに指定されれば、普通席としては一安心といえるでしょう。但し、それまでの自由席・指定席区画に見られたリクライニング角度の格差は見られません。

前者共々シロキ工業製と言うことが影響しているのかも知れませんが、フットレスト板面から接続金具にかけてのカーブはC-R66・68の血を感じるフォルムです。ただし、同座席のようなストッパーは特になく、足を離すと勝手に復帰するタイプです。

グリーン車の通路部分、トイレ・車販スペース・多目的室と色々詰め込んでいるため、結構な長さがあります。見方を変えれば、普通席とを隔てる緩衝地帯とも取れます…トイレは共用ですが(笑)。

照明は少なめなので、全般的に暗いです。JR東日本の最近の傾向ですね。暗いのと落ち着いているのは全く違う概念であることは言うまでもないのですが。

グリーン席の全景です。400系でそのころのグリーン席の標準だった1&2配列だったのが、何を間違えたか2&2配列に退化しています。フル規格車両のE2やE4も2&2…こちらはまだ笑って済みますが…。

グリーン料金はいずれも乗車キロ数に対応します。勿論、座席幅やセンターアームレストまで包含した1人辺りの占有空間は全く異なります。着席数の確保とは、会社側の一方的な言い分であって、グリーン席にそれを求めるのは甚だ筋違いであると共に、自ら商品価値を堕しているのは確かなところです。

「こまち」編成2人掛席です。全体的に黒をベースカラーとした色遣いが印象的です。ヘッドレストは最近のグリーン席では標準装備の感もあるピローがイイアクセントになっています。

テーブルはインアームテーブルとシートバックテーブルが両方ともあります。この辺はユーティリティを良く想定しつつも比較的多角的な利用を想定しているように思えます。付帯設備としてのユーティリティは読書灯となっています。

私としては、窓側席が端に寄りすぎているためにアームレストの利用に難が出ることが大いに不満です。何でグリーン席でこんな不愉快をしなければならないのでしょうかね(嘲)。

R18編成以降の増備車では、グリーン席も若干のモデルチェンジをしています。全景で見るとまずはヘッドレスト上の手摺り、最近のバリアフリー対応の一環で取り付けられた物です…実態は…いや、この列車そこそこ揺れますからねぇ(笑)。

座席ですが、微妙に細かいところがモデルチェンジされています。以前の座席と比較すると…

1・手摺り追加
2・座席台座の形状変更および色変更
3・シートバックテーブルの形状変更
4・背面厚みの変更(テーブル分)
5・センターアームレスト取り付け部の形状変更
6・フットレストのアーム形状変更
7・背面バンドのポケット化
8・インアームテーブル形状変更
9・ペダル回転化に伴うソデ体後端形状変更

地味〜に、リクライニング角度も変わってますね…設定次第で2〜3度くらい平気でズレますが…。

1人掛席です。この1人席、2&2配列のグリーン席内では人気ブロックの1つですが、マルス上では発売がブロックされています。下りはE2系グリーン席と同様の条件に基づき(時刻表に解答が載っている)発券規制が解除されますが、上りは調整席相当のブロック扱いのようです。

理由は寡聞ではありますが、この座席は回転機構の関係で少し窓から離れてセッティングされています、そのためフットレストの利用に問題が出ることも取り沙汰されており…(以下自主規制)。

お約束の全展開状態。ちなみに、この座席はシロキ工業製なのですが、その座席型番が素敵ですズバリ「E3」…。え〜と、おおよそギャグの範疇は超えていません。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(試作・自由)2不明(シロキ工業製)910mm
普通(試作・指定)2不明(小糸工業製)980mm
普通(量産・自由)2不明(小糸工業・シロキ工業製)910mm
普通(量産・指定)2不明(小糸工業・シロキ工業製)980mm
普通(R18以降・自由)2不明(シロキ工業製)910mm
普通(R18以降・指定)2不明(シロキ工業製)980mm
グリーン1不明(小糸工業製)1160mm
グリーン2不明(小糸工業製)1160mm
グリーン(R18以降)1E3(シロキ工業製)1160mm
グリーン(R18以降)2E3(シロキ工業製)1160mm