E4系電車(後期投入車) 最終確認時期:2006年6月

通勤仕様新幹線、E4系は増備も進みました。長期に渡って増備された車両の宿命か、アコモデーション面で変化も出ています。

写真は自由席2階部分の3人掛席ですが、両側席のヘッドレスト上端に黒い手すりのグリップがニョキッと見えています。特急車内に於ける手すりとは、振子車両など、どちらかと言えばマイノリティ的な特殊装備と思われた時期がありましたが、どっこい、今は様々な形が見つかります。

先頭車2階席の通路切り返し部分、自席の前は何もない空間となるちょっと開放的にして悲しい空間。航空機だとシートピッチが狭いので、この手合いの席は人気席(と言うか事前予約が難しい席)ですが、新幹線ですとテーブルは無いわ・コップ受けは足下だわと悲惨ずくめです。

最前列の2人掛席。下り方向では、2人掛になるので隠れ人気席っぽくなります。この後期増備車の座席、今までの主要座席メーカーではなく「川重コンポ(川重車両コンポ?)」なる会社が製造しています。変わってますねぇ。

さて、この座席はご周知の通りリクライニングのできない回転クロスシートです。今更狭いだのつまらないだの何だのといっても仕方ありません、事実ですから置いておきましょう。

ここでは、そのレベル低き空間だからこその少し歪んだ楽しみ方を模索してみたいと思います。初期投入車の全景画像を見るとおり、通路側の狭々した座席は詰め込み以上の価値を見いだせないワケですが、技術的な面から見ればその座席回転を支える秘密はここにあります。通路側ソデ体の内側がビョコンと凹んでおり、座席を円形回転させるためのスペースを捻り出しています。

その形状が結果的にヒップをかろうじてねじ込む形となっているのもまた皮肉であり、造形が生み出したシュールリアリズムであります。

指定席ブロックは2階席もきちんと(?)2&3配列の5アブレスト、ブルーを基調とした座席が鮮やかです。

自由席・自由席ともに階下席は2&3配列のリクライニングシートが並びます。車両バランスを取るため、2階席とは3人掛が左右で異なっています。そのため、ノーマルデッキのみの車両のノリでD・E席を取ると「!」となります。

階下席は明るい色をベースにする辺り、特有の暗さを少しでも和らげようとする姿勢が見えますね。

指定2階席2人掛席。基本的に初期投入車とあまり変わっていませんが…表地素材が少々硬めになっているように思えます。アームレストの後方長が伸びていますね、これは良いこと。

3人掛席、回転半径の犠牲で、またもや真ん中席は鋭角方向に倒れかかっています。必要は発明の母と申しますし、ニーズがあるから技術が生み出される側面も否定しませんが、なんか後ろ向きに技術が注ぎ込まれる姿に諦めの境地を見せられる思いです。

階下2人掛席。一見、座席の色違いだけ、と思えますが窓の高さはさすがに如何ともしがたいところです。逆に落ち着くためか、長距離通勤・常連ユーザーはさっさとここで寝込んでしまう人も居るとか…。

3人掛席。座席自体は2階席と変わらないのですが、相も変わらずの板同然のフォルムと安っぽい掛心地(フェイクな肉厚座布団に極薄背ズリ)と言うヴィジュアルとフィーリングの不協和音は何とも言えません。

車端部のテーブルですが、初期投入車のような1枚板を辞め、各席ごとに折りたたみの小テーブルが付くようになりました。1人当たりの盤面積が拡大し、プライバシー性も向上しています。

グリーン席に入ります。とかく見た目「だけ」は豪華一辺倒とされるこのE4のグリーン席、グリップは固くて黒くて太いですねぇ(違)。

ハイバックな背ズリは視界を遮ってプライバシー性を高める、という点では成功しています。さすがに、リクライニングされた後ろ側の人はなかなか…なのですが、こればかりはお互い様の範囲ですね。

さすがにグリーン席に至って、向かい合わせにして進行方向逆側席でフルリクライニングするとか、そう言う泣けてくる状況でなければ…。

座席はこれまた東洋シートのJT90-0-C01〜05までが並んでいます。どれがC01でどれがC05か、というのは中の人のみが知る話のようですが…。

飾りと荷物衝突のショックアブソーバ代わりと思われるゴムバンドによる装飾やちょっと寸が詰まったレッグレストなど、微妙なマイナーチェンジが図られています。

窓キセの枠もテーブル形状に出っ張りがあるとか、荷物棚下の化粧板の模様が若干違うとか、窓下の布貼りがちょっと良くなってるとか…いかにも投入しながら地味に手を入れていった形跡がありありです。

さて、この座席は座面がリクライニングに連動して角度変化することで知られています。機構的には労作であり、コレをして結構誉めている人も多いのですが、後期増備車をしてそうも言っていられなくなったように思えます。

初期投入車座面下はシートリクライナと連動し、座面を「く」の字に曲げるフレームがあり、そこに板を渡して座面を乗せていました。しかし、後期増備車では座った瞬間に臀部後方に違和感を感じるのです。そう、初期車にあった「板」感が無く、フレームがゴツッとぶつかってくる感じがします。もともと肉厚感が無く、タダでさえ座り心地については妥協の余地の範囲で評価をしているつもりなのですが、座布団後半(背ズリとの中間部分)の変な沈み方とゴツッとした感じは納得できません。

座面をひん剥くわけには行かないのですが、恐らく板が省略されてフレームだけで座面を支えるブリッジ構造に移行しているように思えます。悪い意味での「お手抜き」に幻滅。かかる「工夫」をして「テクノロジの悪ノリ」と言わざるを得ないのではないでしょうか。狐のシッポにしてはややお粗末な化け方であると言えます。ダメ。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(自由・2F)2不明980mm
普通(自由・指定・1階・階下)2不明980mm
普通(自由・指定・1階・階下)3不明980mm
普通(指定・2F)2不明980mm
普通(指定・2F)3不明980mm
グリーン1不明1160mm
グリーン(後期投入)2JT90-0-C01〜051160mm