BEC819系電車 最終確認時期:2016年12月

九州というより、日本屈指の工業港湾区域となる若松地区。駅舎も激変期だった折尾駅を軸に、若松線の往復運用で注目を集めた蓄電池電車BEC819系。

そのつぶらなお目々に宿るのは、気動車を駆逐する狂気か、それとも…。

愛称から入っちゃうのがJR九州の性か、「DUAL ENERGY CHARGE TRAIN」からそこそこテキトーに文字を抜いて「DENCHA」。ああ、そうね、そんなフレーズ、昔どっかのゲームのプライズ賞品で…(略)。

パンタグラフがないクハ側。マークやロゴの後ろは、後述しますが車いす対応ブロックなり。

車内は、いずれ紹介しますが白缶と揶揄される817系2000番台をデザインベースに、305系のパーツコードを踏襲した全景です。内壁が白いので、蛍光灯の本数に比して明るい…と感じると思ったら早計。

特徴的なまでにデカい側窓が、濃厚なまでのUVカットタイプなもんだから、ドン暗い印象を与えます。カーテンがないので、白昼・走行中だとそこそこ陽光が差し込みますが、色付きガラスみたいなモンだし…青空が青くなかったという…。

さて座席は、座ブトンとショルダーからヘッドレスト(戸袋部分)にかけて同色表地が貼られた、カーブ加工済のプライウッドフレーム。

形状こそ、理想的なように見えるカーブですが、およそ座席ではありません。ましてやベンチにも満たない。文字通りの駄席。せっかくのハイバックを丸ごとスポイル。

背ズリ、肝心のランバー部分がここまで木地むき出しで硬質だと背中全面がスベって安定しません。そもそも、ランバーと座面の硬さ配分については、おおよそ3:2程度というのが目安としてありますが、それは適切な形状を前提とした話。

詰物感とバウンス感を勘違いしているこの座面では、揺れる車内で座席に安着できず、摩擦が期待できないウッドフレームで、上半身が振り回される状態になります。通勤車といえど、一定程度の利用時間を想定しなければならないのは言わずもがな。それでも、どこかに理想的な着座姿勢や位置があるのか、色々座り位置を変えてみたりしましたが、どこにもスイートスポットがないのが結論。

デザイナーの著書と言行不一致な座席を振りまくのは、もはや害悪。悪いのはデザイナーですか、メーカーですか、OKを出したJR九州でしょうか?

なので、あとは美術館的にモケットパターンのバリエーションを楽しむだけ。

2両で、複数のパターンがあるので、この辺は色々眺めてみると、ああ、ミトーカ風味だね、と。

戸袋窓部分のヘッドレストは、マジックテープバリバリがお楽しみいただけます。特急座席のそれより、変化の妙味はありませんが。

ソデ仕切は、ロゴやメッシュパターンなどが入れられたもの。ノックすると、ポリカーボネートっぽさはあり。

ただね、垂直ソデ仕切はロングシートで結構アダなので、最近の新車ではやらないんですけどね…この辺はコストに負けた、という解釈で良いのかな。それでも、お財布事情が厳しいとされるJR四国ですら、7200系化工事で早々にこのタイプの仕切を止めましたよね。あっちは、おそらくもっと低コストなパーツにできた、という怪我の功名的な面も否定できませんが。

JR東日本EV-E801系などでも、これがアダになってるんだから悪事例の教科書入りだと思いますけどネ。

クハのトイレと反対側は、車いすやベビーカーの優先スペース。足元の滑り止めパターンと、カラー枠が象徴的ですが、同行者を想定したらしき壁面の仕込みジャンプシートは健在なのね。

トイレは、最近の九州系新系列電車で見かける台形状で車いす対応のボックスタイプ。

303系や305系より車体幅があり、車端からドアまでのスパンに余裕があるためか、圧迫感はさほどないように思えます。

ドア上は、恒例のメリーゴーランド形配置になった手すり。山手線内の路線図みたい、という声もチラホラ。

さて、床面には305系電車よろしく、2次元バーコードモドキな模様がギッシリ…ただ、所々にアタリ的にDENCHAロゴがコンニチハしてるので、探してみるのも面白いかも。

クモハの連結面側は、通路両側に機器室があり、ドア向きに情報表示装置があります。ここで、その時点の給電状況や走行状態、停車駅案内を見せてくれたりします。

また、この部分直近のドアはパンタグラフの影響で低屋根となり、ドア框のモニタ装置が無いことから、その機能の代償ともなっています。

ドアは半自動対応の開閉ボタンが付いたものが基本形。ドア框には、情報表示用のモニタがついてますね。

また、窓下にはあそBOYのキャラクターKUROが様々なポーズで描かれています。

運転台後ろ、框にモニタ装置がありませんね。広告枠がチラチラしてますが、入っていないのが悲しいところ。

モニタは互い違いに設置されているようです。

こっちはパンタ下のドア。天井が低くなっているので、框にはドアコックのほか、何も設置されていません。

で、そのパンタ部分の境目。こうしてみると実に判りやすい。

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