九州と言えば在来車がド派手な塗装で次々と出場してきたイメージがありますが、事実、その通りかも知れません。KAMOMEが"KAGOME"に見えてしまったことはありませんが…。しかし、そんな485系も頼みの日豊本線系統では小倉以南に封じ込められ、博多での出現回数は激減してしまいました。写真は在りし日の「ソニック」運用で入ってきた485系です。

全国的に「国鉄色」が流行った1999〜2001年、JR九州は何を思ったか413/485/DC58/DC66などに国鉄時代の塗色を施した編成を登場させました。しかし、貫通扉レールの名残の銀枠が無く、締まりを感じないその顔に妙に間が抜けてしまった今日この頃です。

さてそんな485系車内ですが、1両毎に違うといっても過言がないほどのリフレッシュが施されました。RS380と呼ばれる九州ではメジャーなタイプの座席です。185系気動車の中間車に装備されている座席と同系統の座席となっています。R55より全体的にがっしりしているのが最大の特徴でしょうか、実際、座り心地も硬め安定といった感じです。

こちらは同じく485系電車の別パターン。485系の普通席はシートピッチが910mm、座席脚台の部分はヒーターの関係でグリルカバーが被さっているので、足下は決して広いとは言えません。この辺はR55系統の方がまだ広く使えるのですが…。

在来線特急の華、グリーン席です。写真はクロ480が現役だった時代のもの、RS401の1人用席です。JR九州の座席型番呼称は変わっており、1人用も2人用も同一型番で呼んでいるようです。その代わり、ほんのわずかの違いで型番がコロコロ変わっています。しかし、今となっては主たる運用が狭められ、廃車も相当数出てしまったためにとうとう完全に把握できずじまいになってしまいました。

こちらがRS401の1人掛を全展開した状態です。乗車したとき、乗客は私だけになっており、ムーディーな照明の広々とした車内は何とも言えない雰囲気を醸し出していました。

これがRS401の2人用席。周辺のスリッパやら何やらが少々乱れているのは博多から長駆した「にちりん」を終点の南宮崎手前で撮ったためです。ゆとりの1&2配列に加え、国内線スーパーシートに匹敵する座席サイズは十分な居住性を実現していました。この系統の座席、サイドカバー下部の両端が切り欠かれている形状なのは、垂直に下ろす形状だと側壁にぶつかってしまうため…です。この辺はサロ183/189の従来車でも座席回転に備えて窪みが作られていたのと理屈は似ています。

そして、車端部は従来の2&2時代のフットレストが使えないために撤去となり、代わりに三角形のフットレストを兼ねたオットマンが据え付けられています。

JR九州は半室グリーン車を大量に作り出したことでも知られています。写真はそんな1両のRS379(1人用)です。先のRS401もそうですが、背もたれとアームレストの境目に黒いバーが見えます。これを手前に倒すと背ズリ腰部にセットされているランバーサポートが出るようになっています。個人的には長時間の着座を前提として、ランバーサポートは選択制にせず、デフォルトにした方が良かったのではないかと思っています。

これが全展開時の場合。シートピッチは堂々の1220mm。改造車の中では残念なことにJR東日本東北地区485系の1250mmに後一歩及ばずながら、その巨大な座席と相まって十分な空間と言えるでしょう。

そして、RS379の2人掛席。RS401との相違点を探すのは非常に難しいのです。

九州は比較的早くからグリーン席の超巨大化に熱心でした。昭和61年度改造グループでは、古い車両を中心に廃車進行中だった新幹線0系のグリーン席、R25を導入して1&2配列を実現しています。

ただし、半室かつ普通席との仕切は仕切なのか衝立なのか解らない程度の壁なので、遮音性などは全く期待できません。

R25改による1人掛座席です。肘掛に掛られたリネンカバー+枕部分の長めのリネン…雰囲気は昭和40年代の優等車両の風情そのままです。

ちょっと展開してみました。大型のサイドアームテーブルは新幹線グリーン時代の名残です。そのほか、デフォルトで枕があったりと、撤去当時の雰囲気をモケット以外はよく残しています。

2人掛です。センターアームレストは少々薄め、狭めですがどうせ隣は滅多に来ません(殴)、のんびりと宮崎までの道のりをこれで楽しむのも悪くはありません。事実、この撮影を終えて恍惚の表情を浮かべた私は、この座席でそのまま(略)。