783系電車(ハウステンボス編成・リフレッシュ) 最終確認時期:2016年12月

登場から早30年を迎えようとする車両も出ている同系列。

一部編成の廃車が行われたようですが、一方では増解結のフレキシビリティから何かと便利に使い回されている感のあるところ、なにやら座席に変化があったらしく、博多駅でじーっと待っていたら出くわしました。

該当はハウステンボス号向け編成となるCM24編成。ただし、運用の都合で門司港に居たり佐世保に居ることもあるので、捉まえるのはメンドクサイですね(笑)。

この系列は、普通席でもカーペット敷が堅持されている辺り、バブリーな頃の設えを良く残していたりします。

相当前からミトーカナイズされているところですが、さらに見てビックリ、背ズリ肩の部分に全国あちらこちらで見るようになった木製手摺りがコンニチハしています。

また、シート表地のカラーパターンも、やや大ぶりな物に改められているのが感じられます。

783系の普通席はフレーム別に3パターン、カラーパターンはもっと種々あるのですが、まずはオリジナルのR402KBタイプから。

画像編集ソフトなら透明部分のパターンを意味する様な格子模様の表地を基本として、背ズリはボタンがアクセントとして縫い付け配置され、マジックテープバリバリのヘッドレストが目立ちます。

木質化された背面テーブルに、観光バスでよく見られるカップホルダーと、開口容量からして実用性は無視した小物入れとなっています。カップホルダーは、上のリングと下のリングの傾斜角度が各席で揃っておらず、非常に粗雑な印象を拭えません。

カラーパターンの違う方にて。

座ブトン部分もボタンが並び、キルティングとまでは行きませんが、模様にアクセントが入ります。

座り心地ですが、元来がやや小ぶりな設計の座席であることを前提にしつつ、背ズリは北近畿タンゴ鉄道「丹後の海」のような悪劣リニューアルにはなされて居らず、少し薄くなった背ズリにヘッドレストの組み合わせが所期の効果を生んでいるものと感じられました。

が、座ブトン、オマエは許さん。ヒップポイントが無く、ただ端から端まで固いアンコを詰めただけのクズ仕様。座ブトン中央部が無駄に盛り上がりながらも、総合的にはただ平ぺったんで鬱血感に苛まれること待ったなし。

485系から移設されて来たRS392も、これまた何ともカラフルなリニューアルをされています。

上記R402KBもそうですが、アームレストには意味も無く木質パネルを貼り付けて、無用な嵩高化がなされています。この僅かな差が、肘掛けの高さの違和感になってしまうので、良い物とは思えません。

コチラの座ブトン形状、元のスタイルを堅持していますが、やはりアンコの詰め方を替えたのか、お尻周りでグッと締め込む様なこの座席特有にして最大の持ち味が薄れてしまったのは、あまり良い方向の改造には思えません。

最近のミトーカリニューアル、座席については良い改造例がまるで見当たりませんね。この区画に限れば、座席表地とカーテンに連続性があって感心したのですが、それだけ。

パターンが、先のR402KBと同じ表地で、色が違っているものもありました。

さて、RS392に類似したフレームの座席が一部に存在します。目印は、アームレストとソデ体の間に妙な詰物ブロックがある奴。

この1人掛席、指定席になる1号車B室のデッキ側にありますね。通常、指定を取ることができないケースが多いのですが、座り心地の特異点、編成のオアシスみたいな奴。

凄いの、ココだけ座面形状と背ズリとガッシリ相まって腰回りから背中までパーフェクトに填まり込む様な座り心地なの、瞬間最大風速的にJR四国の2000系気動車グリーン席よりも凄いわ〜と。特に車椅子対応席でもないのに、なんでここが窓口やMVで指定できないの、って位凄い。

自由席に宛がわれがちな4号車の方は生憎試せていませんが、いや、ココ以外は座席的に劣化していると言っても過言では無い位…なんでココだけ?同室の他の席は超絶酷いのに…。

座席のリフレッシュによって、普通席の配列上、最大の変化と言えばこの荷物置場。

これのお陰で、他の編成は座席があるのに指定できない場所が増えてしまったと言う…まぁ、仕方ないよね。

ハウステンボス号、終点のそこが経営的なテコ入れとインバウンドの恩恵か、土日などは慢性的に混み合う列車となった上、大きなキャリーケースやスーツケースを持ち込む客が増えたことからこうなった訳でして…。

正面から見ると、2段で荷物固定用のベルトもセットされています。

787系のような拷問パイプにはなってないので、多い日もここなら安心して…座ってはいけません。今日日、そんな日は無慈悲なケースの陳列大会となるので…。

1号車、早岐・ハウステンボス側にあるのがグリーン室。4列12席の小さい空間です。デッキ仕切扉などはグレーベースだったのですが、木目調のシートでやや明るめになりました。

何より大きな変化と言えば、1列ごとにカラーパターンや表地素材が異なって、なんとも視覚的に忙しない空間になっている点。

ナナメから見ればこんなもの。最近のロングシートのように、途中でカラーやパターンを変えている手法を列単位にしたらこうなる、という解が出てくる解釈でしょうか。

機能面については1人掛席でチェックしてみることに。

まず、大きな違いと言えば、フットレストが撤去されていること。1200mmピッチの席で、これはかなりダルな感じを受けます。

そりゃぁ、ある程度理解しますよ。JR九州が総じてこう言うギミックのメンテナンス下手クソで、ロクに補修しないまま放り込んでるケースが多いこととか、従来の和タイプ両面フットレストに理解が示されなさそうな外国人が多いことから、いっそ取ってしまえ的な向きもあることは…でもね、普通席ではバータイプがR402KBでは存置されているし、これは褒められないなぁ。

また、ランバー部分にあったボリューム調節レバーも撤去されています(ただ、これも車両により早々に撤去されたケースがあるので一概には言えませんが)。あれはあった方が良かったのに。今の状態では、腰椎部分の重みがダイレクトに腰からお尻に落ち込んでくる前提となっており、いわゆるS字カーブを描かせない悪姿勢を強いています。

加えて、ソデ体において背ズリとの接合部分、外面と同じ塗装で仕上げる指示があったのだろうと思うのですが、塗り残しがあり、画像のようにチラッと地の板面色(それも、外面側からの色が塗り残し然として残っている)が見えてしまっています。こう言う見える場所でブザマな手抜きが見つかるのは、工程管理・品質管理としてはアウトではないでしょうか。

テーブルは、背面大形のものとインアームテーブルが残されています。艶々のいわゆるピアノブラックで、安っぽい反射がグリーン席っぽくなくて萎えちゃうなー、と。

インアームテーブルは、まずアームレストカバーの蝶番部分、明瞭なクリック感があり、パタッと閉じられるよう少し改められています。よく見れば、こちらはドリンクホルダーが撤去されてますね。

ソデ体内部について、インアームテーブルを収納する部分の造作、特に金具のスペース調整や、クッション省略など、滅茶苦茶なまでの手抜きをしており、テーブルが収納される度にゴツゴツ当たるのでしょう。盤面や端部、コーティングのみならず板面まで相当数にひび割れが見られました。

見苦しい上、このヒビ割れは乗客手指に創傷の危険性が高く、全力で対処願いたい部分です。

2人掛席、シートバックの以前TVがあった部分の窪み、再活用してますねぇ。

大形センターアームレストは健在ですが、塗り直しではなく、以前のパーツの上にカバーを被せる形でリフレッシュとしています。このカバーが問題児でして、下端部分がそのまま裾になっており、下面へ回り込む様な加工にはなっていません。

この裾部仕上げがイマイチで、指でなぞるとかなりバリ残り感が強くなっています。うっかり手を入れていたり、女性のスカートやワンピース形状の服、上着の裾が潜り込んだ時、引き抜くと引っ掛かってちぎれたり、手指が怪我をする可能性が高い形状と判断します。改造手法としては、残念ですが安直にして雑、と言うグリーン席らしからぬ評価しかできません。

さて、このカラフルグリーン席ですが、今後出てくる各種列車のカラーリング検討やファブリックを現車確認するため、という話がなきにしもあらず。

ブルー系が鮮やかな3列目ですが、2017年登場の「やませみ・かわせみ」っぽいカラーと通じるのは気のせいでしょうか。

ねぇ、で、そう考えるとコチラは「やませみ」側かなぁ、と思ってみたり。

ただね、これ、ストロボをブッ放してるからこう見えるけど、783系の運転席背後になるグリーン席部分は間接照明なので、夜なんか滅茶苦茶暗いので、そこまで色模様は楽しめないと思うヨ。

あと、2〜3列目の表地は堅めでかなり滑りやすい生地だと思います。スーツだと、ツルツル感が凄いことになるかも。

最前列は、DXグリーン席でもお見かけした、いわゆるエジプト柄。お昼の下り方向なら特等席ですね。また、隅用のテーブルが取り替えられてます。

デッキドア脇には、昔は公衆電話エリアだったでしょうか、今は体の良い携帯通話コーナーのような場所も残ってます。

今回のリフレッシュ、客室内以外は殆ど手が入れられてないと言うところからして、何か別の狙いがあったんだろうな、と感じています。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(オリジナル)2R402KB960mm
普通(オリジナル)2不詳(RS392類似)960mm
普通(485系改座)2RS392960mm
グリーン(オリジナル)1不詳1200mm
グリーン(オリジナル)2不詳1200mm