787系電車(グリーン車) 最終確認時期:2002年2月

近々、九州新幹線の登場でこの姿からもビュッフェが抜かれ、相当に変化が予想される787系です。

私にとって、エクステリアはかなりな門外漢ですが、車体の下半分は影ではなくそのような色を付けて居るんですよね…。いや、絶妙なものです。

グリーン室内です。1&2配列の大型座席が並んでいます。ドアから入って仕切扉を抜けると一瞬、個室のメタリックブルーな印象からグレートーンに統一された室内に入ります。照明は間接照明が貫かれ、落ち着いた室内環境がそこにあります。

北海道の283系気動車のグリーン席と双璧をなすと言われるグリーン席です。JCASが自動車シートのノウハウを投入し、従来の鉄道用リクライニングシートに留まらないアーキテクチャを実現しています。

この座席も普通車同様に回転が重い座席ではあります。また回転ペダルが妙にひょろ長く、一見、なんとも頼りない構造になっています。

「つばめ」アーキテクチャとでも言えるのが、この「中折れリクライニング」でしょう。座席に座ると、左右にリクライニングボタンがありますが、片方は座席のランバー上だけが動くようになっているものです。今までありがちだった「リクライニングはしたい、でも頭だけは起こしておきたい」と言う贅沢な欲求に応えた逸品です。

その発想と利用感には率直にすばらしさを感じますが、いかんせん、この中折れ部分の処理が「そのまま」なせいで少々背中にゴツゴツっと当たってしまいます。仕方ないと言えば仕方ないのでしょうが、何とかならないモノでしょうか?

そして1人用席です。個室のある関係でこの1人席は3C〜6Cまでの4人だけとなります。一般に言われるフットレストを使って…となると向きに限らず最前列が犠牲となる上、台車位置から来る振動も考えると5Cが最もアタリ席ではなかろうかと思われます。

ハードウェアもさることながら、この列車の価値を高めているのは客室乗務員の常駐ときめ細かいサービスにあったと考えています。乗車券チェックに始まって、ウェルカムドリンク・毛布・雑誌・イヤホン貸し出し…と航空機で言うところのエコノミーとビジネスの中間を行く内容は日本の鉄道ではあまり見ないレベルです。

リクライニングさせてみました。昼行「つばめ」では客室乗務員が毛布を持ってきてくれますが、「ドリーム」運用の時は(私が乗ったときは)ハットラック荷物棚の中に毛布がセットしてありました。

シートピッチは1200mm、783系と同じピッチであり、それまでの九州のグリーン席にしては20mm程度狭くなっていますが、それでも必要充分のサイズになっています。ただしフットレストが上下動できず位置固定となっているので、脚を伸ばす時がちょっと大変です。フットレスト可動部を入れると価格が跳ね上がってしまいますが、理由についてはペダル上下のノウハウについてJCASが当時持っていたか?と考える方が早いのかも知れません。

「トップキャビン」と言われる区分室です。一般席と個室を設える試みは、かつての151系特急電車「パーラーカー」をイメージさせながらも、この部分については一般開放客室とはガラス仕切のみにして開放感をアップさせています。所定人数で利用する際に希望すると優先発行されますが、勿論、席番指定で希望すれば(グリーン料金を支払って)誰でも利用できます。

4人ボックス形状になっている側です。テーブルは固定式の大型が設えられており、普通車のセミコンパート席の様に一部が折り畳み可能となっています。床からの支柱といった見えづらい、でも遠目にはよく見える場所にもキチンと意匠が貫かれています。

かなりゆとりある席ですが、この区画については壁面までの寸法の関係で一般席よりリクライニング角度がやや犠牲になっています。グループで楽しむためのささやかな代償と言ったところでしょうか…。

こちらが2人用区画の席。大きい窓にゆったりとした座席、暮れゆく八代海を眺めながらお酒をかたむける…なんてオツな使い方じゃありませんか。

鉄道車内設備の場合、利用を想定しながらも存在が殆ど知られない悲しい機能が結構あります。2人用の席にはどういう訳か回転ペダルがあります。これを踏むと…写真のように通路側へ斜め向きに固定できます。これで擬似的に6人用の簡易個室になる、と言う想定です。しかし、これを使った人はまだ見たことも聞いたこともありませんねぇ…。

この壁の向こうにはいよいよグリーン個室があります。

扉を開けると、そこはまさにプライベートルーム。1人掛リクライニングシートと大型テーブル、そしてソファが設えられています。この空間、定員は最大4名ですが2名分の料金で利用することができます。九州のグリーン料金は安めですから結構使いではあるかも知れません。

ソファー部分です。クッションが2つに枕になりそうな可搬仕切クッションが1つあります。部屋の隅にあるバラは良いアクセントです。

グリーン個室の盲点、クローゼットです。内装・壁が同じように見えますが…出口脇のこの部分にはクローゼットが隠れています。そのため、個室内には上着を掛るハンガー・帽子掛のフックが見あたりません。その左下、入口扉すぐわきには荷物を入れるための窪みがあります。

後期投入された一部の座席はトップキャビンと同じ柄の座席が一般開放席にも使われています。いや、ただそれだけなんですけど…。

個室入口側から見た全景。個室まで入れて24名の為の空間、あまりに贅沢です。

強烈なデザインと、ややもするとアクが強い車両にもかかわらず(?)堂々のブルーリボン賞受賞車になっています。このマークはトップキャビン運転室側に貼り付けられています。

787系は「有明」増発に伴って更に増備されましたが、その車両は半室グリーン車となっています。そのため、トップキャビンも個室も端折られています。木目をベースとした落ち着いた配色が印象的です。

1人席。座席自体は従来の787系のそれと変わりません。せいぜい、オーディオユニットが無くなった位が違いでしょうか。足下のパイプカバーをみると、サービスコンセントが新たに付けられており、実は従来の車両にも増設して欲しいと願う今日この頃です。

こちらが2人掛席。新しいせいか、座席の座り心地が少々硬めかつ弾力的になった様な気がします。

普通車部分を抜けて、トイレの反対側には喫煙スペースが備えられています。今後、このような分煙スペースが増えてゆくことになるのでしょうね。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
グリーン1付番無し1200mm
グリーン2付番無し1200mm