48形気動車(花嫁のれん) 最終確認時期:2016年10月

各地の特色や名物名産を反映した臨時列車やイベント列車について、当サイトでは地域ジョイフルトレイン(地域ジョイトレ)と呼んでいます。

JR東日本ではおおむね快速ですが、これが九州では分不相応な設備でも特急になるケースが多いですね。四国は特急と快速ながら、グリーン車扱いでバランスを取っている模様。JR西日本は地域やアクセス性で特急だったり快速だったり、カネ周りの設定も多様化し、なかなか興味深い。

さて本題。新幹線開通で勢いに乗りまくりの北陸、2つの地域ジョイトレがありまして、目下ワンサイド勝ち組モードの金沢口には「花嫁のれん」。赤いと言うより「紅い」方かもね。土日を中心とした運行で、指定券入手難が続いてる様子。

専用車両による2両1組、一部の差異に目をつぶれば、連結面を中心として点対照的なデザインをしています。

車体をキャンバスに見立て、連結部分の乗降ドアエリアには金箔細工模様をイメージした黄色のデコレートがなされています。

レタリング文字ベタベタ目潰しな食傷デザインと一線を画した細かさは、近くで見ても楽しめますが、一方では少し離れて見ても全体的な風合いが楽しめるのではないでしょうか。細工模様のなかにチラチラするカラーが活きてます。

片側も、赤・黄・黒を中心とした配色は、非常に強い印象を与える組み合わせの例に出そうなくらいです。また、遠目には沿線の緑と相まって引き立つ中心色とも解釈できまして、考えられてるなぁ、と思うところ多々。

2号車側面には車体中央の窓なし区画を使って、マークと色模様がデザインされています。

1号車からのぞいてみてみましょう。1号車は半個室によるお座敷を意識した区割りになっており、乗車時はツアー枠が半分程度を占めているような状態です。個室と言っても、配席自体は乗合で、人数分で埋まらない場合に余席は他の人に割り当てられます。

通路は日本庭園の飛び石をイメージしたカーペット敷き、各区画は縦格子をイメージした簡素な仕切により、通路から隔てられています。通路照明は上を流れる雲のように、間接照明でセッティングされています。

運転席へ向けて、通路は配席の関係で2回クランクしています。天井スピーカーのフサギ板が無機質に目立ってますね、同系色で隠した方がイメージは保てそうですが。

最初のクランク部分。1号車ではある意味、ここが一番見通しが効く場所。

左−左奥−右の順に、それぞれ扇絵の間−鉄線の間−笹の間と並べられています。

それでも、普通の視界というか見通し方だと、タテ撮りの方が通常の見え方になるでしょう。

それでは、撮れた範囲で各席の見物。

運転席直後にある、どん詰まり4人掛「青の間」。ドアを潰した影響で、窓配置が少々独特です。

以降紹介する画像のような固定ボックス席は、ボックス間ピッチ(壁面間)が基本2050〜2150mm、各座面横幅が概ね1人分500mm+肘掛、通路側に大型荷物置場で1セットと大ぶりになっています。リクライニング機能こそありませんが、座面〜ランバーまでは、近鉄「伊勢志摩ライナー」ボックス席にはわずかに及ばずも、しっかりした座り心地になります。センタアームレストが仕込みで入っていれば最高だったのに、的な惜しさは残りますが…。

間のデザインは、頭上壁面が不老不死と邪気払の意味を込めた菊水文様になっていることに拠ります。

次が、春をイメージした「桜梅の間」。車内に入ってすぐの4人掛個室が該当します。

タネ車の関係で、ええ、まぁ、窓が不揃いなのはしょうがないんでしょうかね…。

タテで座席背面を中心に撮ってみると、座面後端からランバー部分の立ち上がり角度がソファとまで言いませんが、腰を落ち着けられるような角度取りになっていることが見て取れます。

座面詰め物の関係で、ギュッと落ち着くほどではありませんが、コイルバネ台車による一定の振動をほどよく緩和してくれます。

桜梅の間の七尾側です。背面の衝立は各間ごとに変わるので、運行中、各席の旅客がお互いにのぞき込む光景がチラホラ。

念のため、窓側には配管カバーが残ってまして、窓側の足元は少々気ぜわしさが残ります。

撫子の間の壁面はこんな感じ。オールドコレクションからのチョイスになっています。

個人的には、2人旅ならこの席がもっとも「アタリ」じゃないかと思う「錦秋の間」。

車体中央に近く、割り当てられた窓の大きさと荷物置場による適度な隔絶感、2人分の向き合いボックスにして、同号車中最大のピッチ幅(2220mm)となっており、ゆったり感も漂う列車旅になるでしょう。

空間処理のあおりで作られちゃった感がなきにしもあらず、な3人個室の1つめが「笹の間」。1つの大テーブルを3人で囲むという配席的にはいささかシュールな区画。

ボックス席のような荷物置場が作れなかったことから、荷棚が窓上にセットされています。

もう1つが扇絵の間。

地味に芸の細かさが光るのは、テーブルのサイズと形状。当たり前かもしれないモノの、各「間」の設えに応じて大きさを変えたり、切り欠きによって出入り導線を確保したり。

ここら辺以降の座席は、2号車にも設置されている1人掛席を設置しています。1人分がはっきり明確になっていますが、背ズリが思いの外狭めで、着座中は緊張を強いられる感は…ちょっとどうなのかな、という思いはあります。

気づく、気づかないが半々だろう機能が、座面下にある回転レバー。各配置に応じ、30〜45度単位刻みで座席の向きが変えられるようになっています。クリック感、ロック感は目下良好ですが、時間が経ったらどうかなー。

「菊の間」の2人掛席。出入り余寸の関係で縦格子が浅め故、やや晒し席っぽさは残ります。

同様に「鉄線の間」こちらも「菊の間」と同様の設えになっています。

「鉄線の間」の壁面。座席のカラーパターンが良いアクセントになっています。

なお、座席自体の表地は住江織物によるインクジェットプリンティングで作成されたそうです。

デッキ方面への仕切扉は、桜梅の間の壁面がそのまま横出しされています。

トイレ知らせ灯は客室内側にあり、ちょっとカワイイ点灯マークとなっています。

天井部分、流水をイメージした半間接照明であることはご紹介済みですが、着席してうっかり光源(LEDですね)を見上げると、チラチラ目に入ってきます。

思うに、もう少し奥に引っ込めるなりして直接入らないようにしてもらっても良かったんじゃないかとは感じます。

さて、こちら金沢側にある2号車。

1号車が個室調の設えに対し、2号車は開放的な座席配置が特色になっています。車両中央にイベント等に備えたスペースがあり、これを挟んだ座席設置になっています。

天井の照明と床面通路を想定した流水模様のジュータン位置がリンクしているのも特色です。

車両中央には、大型モニタとイベントに備えたスペースがあり、伝統芸能の披露や沿線名産品の販売などが行われるときもあります。

壁面から天井にかけて、輪島塗で用いられるオールドコレクションの柄が象られていますね、サラリと。

その反対側に、窓向きにセットされた個別席があります。

マルス任せな予約で1人を入れると、最初はここが出されるような感じです(憶測)。ロンリーな乗車に厳しくも生暖かく対応してくれる同列車にして、救いの区画といえるでしょうか。

独特な造形の座席が1人掛で並ぶ様は、なんだか戦隊シリーズとかロボットアニメのオペレータ席っぽくもあり…。

運転台側には、4人・2人の利用を想定したボックス配置の区画があります。

4人掛のボックス相当になる区画です。ボックス間ピッチに相当する寸法は、各席で若干の差異はありますが、概ね1950〜2100mmの間で、タネ車の都合により適宜配置といったところ。

座席自体はある程度の角度に傾斜固定できるため、通路を挟んで向き合いになったり、個別に隣接ボックス側へある程度向けさせることも可能です。

こちらの区画は、荷物置場を窓上の荷棚にしていることから、その分が横幅に還元されている感はあります。

ただ、座席が肘掛け含めてややせせこましさを感じてしまうのが悲しいところ。

この角度で見ると、床ジュータン、テーブルや窓枠、それぞれなかなか強い個性の色なのですが、座席表地のカラーリングが中心線を持つような色配置をしてるんだな、という程度は気づきます。

金沢から乗ると、右側に配置される2人掛席です。先に紹介した4人掛とは配置がリンクしておらず、ボックス間の長さにして1/4〜1/3程度ズレています。ボックス間ピッチは1840mmが基本となり、運転席側の区画だけ約2100mmになっています。

タネ車の都合や、イベントスペースの兼ね合いの結果とも考えられるのですが、車内での食事に際し、係員のお尻が通路反対側に来ないようにしているという点もあるかと。

さて、2号車の全脚と1号車の一部区画に設置されているこの1人掛席、脚台が独特の形状をしており、座面下のレバーで回転を制御できるようになっています。

こう正面から見ると、かしこまった人のかしこまった席にありそうな造形をチラチラ感じるところです。特に背ズリとランバーのギャップとかネ。

座ブトン部分は、それなりに詰物の奢られたものですが、少々扁平にすぎるきらいが残ります。ただ、固定はシンプルそうで、試しちゃいませんが簡単にバコンと外れる感じ。

ランバーは本当に腸骨から腰椎部分に楔を差し込む程度の角度、背ズリはS字カーブガン無視のそそり立つ板でして、ええ、長い時間の着座は想定されていません。そういう意味では他線区への出張はないんだろうな、という程度。

座席を前後対照で撮ってみるとこんな感じ。背面の格子状になったバックシェル…とは言いがたいけどフレームが印象的です。

座席間ピッチは実測値で795mmでしたので、設計はおそらく800mm位でやってるんじゃないだろうかと思います。

ナナメにしてみるとこんな感じ。両席からナナメに膝つき合わせる固定も可能ですが、そんなのが似合うリア充はすべからく爆破対象ですね(違)。

2脚並べてナナメにしてみました。なんのこっちゃ(笑)。

1号車に戻りまして、デッキ部分には売店があります。グッズ、軽食はこちらで買うことになります。

いや、しかし、キンキラキンの純金箔装飾がすごい。金沢の「箔一」が担当した由、うん、この会社さんJR九州800系車両のアレも担当してますよね。

七尾に向かって右側にはショーケース。

サイクルヘルメットとか、結構ゴッツいのもありまして「誰が買うねん?」みたいなのも並んでます。車内では扱ってませんが…。

売店部分。グッズの種類が多くて、結構目移りできます。

仕方ないことではありますが、飲食系物販の基地も兼ねるので、係員の出入りが多いのは気ぜわしいでしょう。

ショーケースから右側にパンすると…。

輪島塗りをイメージした深紅のドア。

ご多分に漏れず、半自動時の開閉操作卓も付いています。

車端部も、見ての通り、一面輪島塗イメージのベースカラーに、細やかな細工模様が施されています。左床面の碧の使い方とかスゲぇ、と。

ものすごく残念で勿体ないのは、貫通扉が半端に開き固定になっていること。係員の出入りが多いこともあるし、現実的にはこのドア結構開閉が重いのである意味仕方ないかもしれませんが、この大質量な色とデザインは閉扉状態じゃないと半端感が強くなってしまいます。

ドアを軽量のモノにしたり、いっそ自動化するくらいの割り切りがあっても良かったのではないかと悔やまれます。

なので、2号車もこれ。やはり勿体ない。

トイレは、車いす対応の多目的タイプが2号車デッキに配置されています。

なにげに温水洗浄機能付になってます。既存車改良でこういう機能を後付けするの、大変だったろうに。

洗面台はトイレ脇、客室手前にあります。壁面どーんと金箔責め、みたいな。

この角度で撮ると、金箔壁面が一番楽しめるカットになるでしょうか。

洗面台自体はオーソドックスな設えとなってます。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(1号車)1不明800mm