213系電車(La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)仕様) 最終確認時期:2016年11月

かつては四国への玄関口、今は直島・豊島・犬島と、瀬戸内のゲージツ立地を目指す三島へのアクセスで再起をかける宇野駅、どん詰まりに佇むはリニューアルされた213…かと思ったら、ちょっと雰囲気違いの車両が居ます。

こんなところに京成パンダが居るのかと密やかな驚嘆を秘めて近づけば、"旅支度をする特別な時間を楽しむ「旅の道具箱」"と触れ込む「ラ・マル」車両なんですね。いや、211系譲りのブラックフェイスにアクの強いライト周りの隈取りとか、スゲぇな、と。

土休日・岡山〜宇野間を主に、時期によって高松・琴平や尾道まで顔を出す運用が予定されてます。

車体側面も、ドアや窓が白と黒を基調としたもので、213系のステンレスイメージを知る側からすれば結構驚きます。

なかなか気忙しいロゴの羅列あたり、モノクロームながらミトーカ車の面持ち。ああ、そうか、岡山が基軸だもんね(違)。

編成中央側にあるドアは、カバンを見立てたデザインになっています。後述しますが、ドア脇に大形荷物用のボックスが備え付けられています。

ドア上の脇には、この車両がグリーン車扱いであるという意思表示が密やかに札差で表示されています。グリーン車指定席ということで「18きっぷ」利用者お断りという判りやすい図式。でかでかとグリーンマークを貼らない辺り、ちょっとカワイイ。

運転席側のドアは自転車を図案化した通りで、台数と条件は限られますが、自転車をそのまま置くことができるようになっています。というか、運行予定を見ると、自転車を解体等せずそのまま持ち込める局面の方が少ないのは、駅設備側のインフラ問題なのか…。

しかし、マークが見れば見るほどどこぞの「orz」に空目してしまうのは、きっと脳が汚れてるんだと思うんです、うん。

岡山側の2号車から先の全景紹介。

車内は2人掛リクライニングシートと、1人掛のカウンターシートが通路を挟んで設置されており、2号車の場合は宇野・高松方面向きで左側(C,D席側)がリクライニングシートになります。

岡山から見て下り側先頭が1号車。座席配置が2号車と編成単位で見れば、細かい部分を除いて概ね点対称になっています。

で、もういっちょ2号車。照明ですが、ベースとしての直接照明は変わりませんが、下に板を入れ、間接照明にしています。

改造前の普通車当時、吊手の関係でドア付近を中心にパイプが立っていたのですが、それらも撤去されたことで、視覚的に開放的な室内になっています。

さて、肝心の座席ですが、2人掛席は実測値1015〜1020mmピッチでJTC45295というJR西日本テクノスの独自付番座席が設置されています。

見た目はモケットによる表地の風合いや色の違いを除けば、683系4000番代電車や189系気動車に設置されているWRK253と同一のものになっています。JTCの付番を行うのは、近しい3セク車両(京都丹後鉄道・智頭急行)のようなタイプであることが基本だっただけに、今後の付番情勢で目を離せない先例となりました。

座り心地ですが、WRK253の評価と変わらずで、座面のペケ具合とかヘッドレストからランバーへのカーブの不自然さはそのままとなっており、正直、着座し続けるにはストレスの溜まるモノとなっています。特に背ズリについてはヘッドレストに向けて高重心な作りとなっており、リクライニング復帰時の挙動に雑さが残ります。せめてもの慰めは、営業運転では途中駅で一定程度出歩けるダイヤが設定されているということでしょうか。

また、シートピッチがタネ車の910mmから大きく外れていることから、所々に眺望が冴えないハズレ席が存在します。そのほか、壁面にはイマドキの特急車ではデフォルトになったACコンセントが設置されています。

1号車岡山寄りには、車椅子からの乗り移りを想定したタイプの座席が設置されています。型番自体は、他の席と同じでJTC45295のまま。

両サイドのアームレストは可動式で、跳ね上げできるようになっています。そのほか、仕込みテーブルが無い影響もあるのか、アームレストが他席よりやや長めで、リクライニングボタンの設置位置も前方に寄っています。

全体的な見かけ上のバランスセンスとして、古くはD23、少し前のWRK202に繋がるフェティッシュな均整を取った風合いを感じます。全体の見栄えの問題で、センターアームレストの貧弱さがマイナス。

1人掛け席はバーカウンターっぽいものになっており、位置は固定されています。座面下のレバーによるロックで、座面のみ回転できるようになっています。

こちらも、テーブル前方、窓枠にACコンセントが設置されており、充電しながらの携帯端末利用ができるようになっています。

また1号車岡山側には、椅子の高さを低く抑えた席も設定されています。

ドアから客席を見た感じで撮ってみました。カウンター席の上は荷物棚が撤去され、代わりに本棚があり、書籍は自由に取って読むことができます。ここら辺の着想だけは、スッゲぇミトーカ車っぽい。

2号車高松側には売店コーナーがあり、グッズや沿線のお菓子、ドリンクの販売が行われています。見るだけでも結構楽しい。

運転台後ろには、自転車置場といえば雑な言い方ですが、サイクルスペースがあり、解体輪行できるタイプの自転車であれば、事前に予約を入れて利用することができます。

ただし先述の通りで、利用できる向きや駅に色々制約があり、実際の利用には一工夫というか確認が必要です。画像ですでにセットされている自転車はスポンサードされたデモ機。

1号車連結面側には、沿線パンフや小物類がディスプレイされています。記念スタンプもここでどうぞ。

スタンプ台は、車両イメージに準えたカバン調の箱にコンパクトにまとめられています。

通路反対側には、車いす対応の大型トイレがあります。

ドア面にカバンのマークが入っていた脇には、このような大型荷物を収納できるトランクコーナーがあります。

多分に航空コンテナをイメージしている風合いも見え隠れしますが、さすがにそこまで殺風景ではないようです。

ドアは内装化粧板を貼り付けた半自動ボタンユニットのあるタイプ。ドア上の情報表示装置が追加設置された改造箇所に相当します。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
グリーン2JTC45295(JR西日本テクノス製)1015〜1020mm