381系電車(くろしお・スーパーくろしお) 最終確認時期:2008年11月

関東から見ると、熊野詣を含め、南紀とはたいそうな長旅のイメージになるのですが、京阪神から見ると、比較的お手軽なレジャーエリアと見られてますね。最近は、白浜のアドベンチャーランドのパンダさんにも人気が集まり、近日中にパンダを模した改座席が登場するとのアナウンスも行われています。

そんな、南紀方面へのアクセス特急といえば381系による「くろしお・スーパーくろしお」が主力となっています。

こちら、パノラマグリーン車を先頭とした眺め、左後方に見えるキヤさんはたまたまの珍客でございますね。尤も、名古屋から見れば新宮まではJR東海も営業エリアとしており、なるほど納得。

ノーマルの「くろしお」は、グリーン車がパノラマ仕様になっていない、と言う差違となっています。

普通車全景です。上り(大阪行)において、先頭車を除き、基本的にこのような眺めとなります。平ぺったい天井、全体にシャコタン気味な眺めとなるこの形式の特徴そのままです。

先頭車のみ、空調ダクトの関係で、1人席が手前に来るように見えるようになります。

普通席は、シートピッチを1000mmに拡大し、リクライニング角度の拡大や背面テーブルを追加設置するなど改良されたR52BN改となっています。

以前は、「くろしお」と「スーパーくろしお」で普通席のピッチ差などがあった時期もありましたが、今は車両の組み替えなどで不具合が出ないよう、スーパー仕様に統一されています。

シートリネンが薄いピンク色の区画は「女性専用席(レディースシート)」の扱いとなっています。

空調ダクトなどが、構造上で避けられない同車では、シートピッチ拡大によって座席回転に支障が出る列について、1人掛席としています。

大阪方先頭車であれば11番、それ以外の車両であれば基本的に6番が、その対応席となっています(サロ改造車両については、12,10番が1人掛)。

全展開の構図。1人掛といっても、位置を通路側に固定しており、いわれるほどお買い得感がある席とも思えません。むしろ、その後列席の窓側席の方が足を伸ばせてユッタリしているのではなかろうかと穏やかに思います。

1997年当時の381系「くろしお」普通席の1枚。ピッチ910mm時代のもので、ちょっと狭々した印象は拭えませんね。

JR西日本の在来線特急グリーン車は、どこかのデフレグリーン席とは一線を画した1&2の3アブレスト配置が基本となっています。パノラマ仕様のグリーン車内、1&2の大型座席がズラリと並ぶ様はなかなか壮観です。

スーパーくろしお編成の1人掛席は、新規設計品のWRK121が搭載されました。2人掛との見付を揃えるための新規製造なのですから、エライっちゃぁ偉い。

全展開状態です。「くろしお・スーパーくろしお」の場合、海に面する側が1人掛席となっており、この辺は少々不平等かもしれませんね(笑)。

ただ紀勢本線では、海側≒常時日射なので、それがアタリかハズレかと問われるとこれまた微妙ではあります。

2人掛席はWRK239となっており、山陽新幹線0系における「ウエストひかり」グリーン席の座席を移植してきております。見た目が新幹線100系「グランドひかり(旧V編成)」のWRK207と酷似していますが、一応別物です。

デッキ寄りの山側1列のみ、入口通路の関係で1人席となっています。フットレストが少々コンパクトになっているのがポイント。

フットレストを展開してみると、床のカーペットと同色になっております。これは、この席だけ土足禁止というサインなのでしょうか?おそらく、改造施工時の生地指定ミスだとは思いますが…。

さらに後列については、仕切り扉に面する席の前に衝立があり、内側には跳上収納式のフットレストが備え付けられています。

もう少しズームインしてみると、フットレスト支柱にグリーンマークの意匠が象られているのが判ります。これ、JR東日本185系グリーン車(田町所属車)のグリーン席に備わっているフットレストにもありますので、一度お探しの程。

まぁ、これが小糸工業のアソビゴコロって奴ですね(笑)。

フットレスト同士を向けてみるとこんな感じ。

で、フットレストを展開してみたら…あら、展開後も土足禁止扱いだわ。ちょっと気の毒なポジションになります。この辺もこれJR東日本185系のそれと同じ。

運転台直後のブロックです。窓側はフットレストがありますが、通路側は運転台からの通路の関係でフットレストがありません。変わりに三角形のオットマンが据え付けられています。

しかし、布地を見ての通りで土足禁止オンリーというちょっと厳しい条件が付けられます(笑)。

こちら、ノーマルの「くろしお」グリーン車内。天井の造形がパノラマ仕様と異なり、登場当時のまま(=普通車と同じ)になっていますね。乗務員室のドン詰まり感もあります。

目立った変化があるとすれば、荷物棚が681・683系で見られるタイプに取り替えられています。

さて、普通車から改造したグリーン車故、空調ダクトの呪縛が座席配置にも影響を及ぼしています。パッと見た瞬間で違和感ありありのこの空間がポイントです。

年のため記しておくと、1人掛席は新規設計品のWRK119およびWRK120、2人掛席はWRK238となります。

後ろから見るとこんな感じ。前席フットレストに届かないので、途中に巨大オットマン(土足禁止)が鎮座しています。

改造車であること、ダクトの関係でやむなく生み出されてしまった空間であるとはいえ、結果的にシートピッチが1560mmと、営業車両ではダントツの広さとなります。色々な意味で型破りですね。この空間は、新宮行きであれば6番、大阪方面行きであれば5番を指定すると味わえます(笑)。ただ、おおよそ落ち着かないと思いますヨ、たぶん。

何事にもオチはありまして、この配置のあおりで前後列が微妙に1160mmピッチから外れてしまっていると言うワリを喰った格好になります。

ダクトに影響されて、1人掛席となる4番席はこの通り。グリーン席なので、窓側にギリギリまで寄り付けられています。そのため、通路側の席の人はこれまた巨大オットマンのお世話になることに…。

で、この1人掛席だけフットレストが上下式ではなく、例の跳ね上げ式となっています。これがWRK119と120として型番分けされた所以だとか…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(くろしお・スーパーくろしお)1R52BN改1000mm
普通(くろしお・スーパーくろしお)2R52BN改1000mm
グリーン(くろしお)1WRK119,1201140,1150mm
1160,1560mm
グリーン(くろしお)2WRK2381160mm
グリーン(スーパーくろしお)1WRK1211160mm
グリーン(スーパーくろしお)2WRK2391160mm