現金輸送車・マニ30(1) 最終確認時期:2004年9月

公然の秘密、と言う言葉があります。一部では至極大っぴらに、その他大多数では文字通り「へぇ」な存在だったのが日本銀行私有貨車・現金輸送車マニ30と言えるでしょうか?

中高生時代、ちょっと足を伸ばせば隅田川貨物ターミナルがあった環境だったので、南千住駅から見下ろして鎮座するはやけに窓の少ない荷物車…おまけに冷房まで載ってます。当時の私は車両形式の知識は皆無(特に客貨車)に等しく、遠目に素でマニ50かと勘違いしてた位です。

大学に入って悪い先輩達(殴)にその存在を教えられ、あのターミナルに居た2両がその一部だったことに気付いた次第。実際に運用されているのを見たのも1回きりです。運用範囲は日本銀行支店の最寄地(但し、レールで結ばれていること)と言うことを考えると釧路から鹿児島まで、かなりの広範囲・長距離に及ぶことが判ります。

一般人にも謎多き車両ですが、現金輸送方法の変化(と検査期限切れも?)に伴って役割を終え、廃車決定。日本銀行文化事業の一環として、実物展示と相成りました。交通博物館は勿論、全国の鉄道系・交通系博物館施設に打診があり、小樽交通記念館が手を上げ、整備の上、2004年7月から展示と相成りました。

撮影当日、特別のお許しとご厚意にて発電機を回して頂くことができました、テールランプも美しく点灯しています。

一般的にはここに貫通扉があるのですが、マニ30は両脇部分が現金を積み込む荷物室であるが故(?)、テールランプ以外は全く何もない文字通りの「のっぺらぼう」。この無機質な無愛想さが、逆にキュートとも言えます。

ホームに面した側を撮ってみました。両脇にガバンと開いてるのが現金を収納する荷物室、真ん中が日本銀行・警備関係者の乗る居住スペースです。

よく見ると車両中央にトイレという結構贅沢な造り方とも言えますね…いや、必然的にこうなってしまったんでしょうけど。

トイレ窓上近辺、塗装が剥がれている部分がありますが、これは2004年屈指の大形台風18号の影響で、ホーム反対側の客車屋根が一部吹き飛び、この場所にガツン…となってしまった次第。哀れ、近日補修と言うことでした。補修後の画像は本コンテンツ「After」に。

荷物室をナナメから。見れば見るほど何も無い連結面、そして差し込む札の知れない札受け、隅田川貨物ターミナル所属を示す「東スミ」の文字。

ちょっと反対側を撮ってみるとよく解る荷物室扉の大きさ。よく見ると扉の上にフックが3カ所、天幕張り用ですかね?扉脇にはあえて「荷物」…随分高価な荷物ではあります。

台車はコイルバネ、左脇には車軸連動の発電機も見えていますね。

小樽に来たのは12号車、話によれば比較的渡道経験の多い北海道にゆかりある車両だとか。

この窓ガラス、一般車両より図抜けて厚く、実に18mm(!)。うっすらと青く見える(と言うか青い)のは、このガラスが防弾ガラスであろうと言うところに起因するのではないでしょうか?

窓開け自体は一般車両と同じようなノブを使いますが、大の大人でも開けるにはもの凄く苦労します(ノブが折れるか、と思う位)。窓自体はレール歪みなど特にないのですが、本質的に滅茶苦茶重いです(というか、車両検査以外で開ける局面ってのは実用上、無いような気も…)。

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