京都丹後鉄道KTR8000形(丹後の海) 最終確認時期:2016年3月

色々ピンチと(公然に)囁かれていた北近畿タンゴ鉄道(KTR)が上下分離。車両営業部門が京都丹後鉄道(丹鉄)として再スタート。在来車のリニューアル等々テコ入れも進むところで…出てきた。例によって例のゴテゴテ装飾とアクの強さで定評あるミトーカイズム(笑)。

タンゴディスカバリー車をメタリック真っ青ベースにしちゃうんだから、もう見慣れたというか食傷というか毎度の事ですね。運行予定はウェブサイトで掲示されていますが、車両変更は茶飯事なので、在来車が来ても泣かない勇気が必要です。

実は当サイト、かの事業体某部門と少々因縁があったりしますが、それは中の人なら誰かしら憶えていることでしょう。

同車は今のところ第1編成と第2編成があります。まずは第1編成車内。最近、富士山のお膝元にも、天井から窓枠まで、もの凄いパーツレベルの生き写しが現れた気もしますが、生暖かく微笑みつつ黙って差し上げろ、的な。

もう1両の方、奥の方に車椅子対応席と対応仕切扉が見えますね。

天井や荷棚は、木を薄くしたシートを特殊な貼り合わせ方で取り付けた文字通りの木目調。天井は白樺、床はナラ材の由。手法的には九州で見慣れたというか、地味な食傷というか。

ライティングはミトーカあるあるの2段天井に間接照明+スポットライティングの組み合わせ。悪くないですよ、ええ。

普通席は登場当初のJTB4189形フレームを残しつつ彼方此方をリニューアル。ザッと見ただけで…
・背ズリ上端に手摺り設置
・アームレスト,背面,ソデ体通路側を木材シート化
・テーブル盤面の木製化
・センターアームレスト固定化
・座ブトン・背ズリの形状変更
・ヘッドレストに枕の設置
…と色々手を入れてますが、各部ジックリと見ていきましょう。

と言いつつ、まずは付帯設備周りを先に書いちゃいましょう。窓枠が木製フレーム化され、カーテンが引き下ろす簾に変更されています。

窓枠の張出量は思いの外大きく、第1編成は従来車より窓側席のアームレストが窮屈で使い物にならなくなっています。アームレストに仕込みテーブルがある同車にして、ワザワザ居住性を悪くさせるだけの目的の如く、特に転落防止の段彫りなどはされていないものの、ペットボトルを置ける幅は必要だったのでしょうか。

…多分、簾を仕込むスペースが欲しかったんだよね、ユニットで作り付けになるからさ…。理解しますよ、褒めないけど。

従来からあったフリースペースは、何となくバーカウンターっぽかったのが一転、談話サロン的な風合いに。運転席後ろや、大きな側窓には組子細工があしらわれています。

この角度で見ると判りますが、フリースペースを確保するため(というか、ミトーカ規格の既存ソファを入れるため?)1列4人分の座席が撤去されており、窓割の違和感が少々残ります。

ソファのクッションは、彼方此方で見られるあまりフィッティング性を感じないアレ。折り畳みテーブルも、見慣れたモンですよね。

第2編成に行ってみましょう。いきなり通路側にそそり立つ手摺りの取付位置と張出量が違うよ…、と違和感が先に立つビジュアル。豊岡側は全体的に彩度が抑えられた色使いの席が多いなぁ、と感じます。

舞鶴側は、ビビッドな色が目に付くシート表地が目に付きます。第1編成だと、逆の傾向に配色されているようです。

さ、座席本体を細かく見てみましょう。第2編成では窓枠下端が切り欠かれて加工されており、肘がある程度潜り込めるようになっています。さすがに自分たちでも「これダメやん」くらいは気付いたか(笑)。ただ、オチがありまして肘をちゃんと入れると、その下に顔を出している金属フレームにヒヤッと当たります。寒い時期ならパチパチ君の刑。

背面テーブルは盤面の取り替えだけで、特に耐荷重性を以前より付加しているものはありません。ついでを言えば、ドリンクホルダーが追加されていますね。

座面はミトーカリニューアルにしては思いの外の仕上がりだと思います。多分にベースがしっかりしてるから、というオチ。

問題にして、もの凄いペケにして、このパーツの担当者を小八時間位問い詰めたいのが背面。支払いを任せたくなるくらいバリバリなマジックテープによる可変枕を付けるのは好きにせい、と言ったところですが、直下段の張り出し量と形状がまるでアホ。

ここの無駄な張り出しのせいで、背面S字カーブが取れない上に、後頭部が枕に安楽接地できなくなっています。座面からしっかり奥に腰掛け、丁度、肩甲骨が当たる部分がコレなので、枕の価値を享受するには、アゴ引きの「気をつけ」以上、「仰け反り」姿勢を取らされることになります。

…ミトーカオリジンでデザインされた座席は悪い意味で何かやらかす、というお約束は今回も健在です。特急列車の一番コアな価値は迷うことなく座席なのですが、今回も酷ぇなぁ…と。

彼方此方の記事で、座り心地のレビューが出ないのはキチンと座ってないまま記事を書いてるか、気付いてて触れないようにしているか、でしょうネ。

車椅子対応席もガッツリとリニューアルされています。

全展開のお約束。

運転席直後の密かな人気スポット、1人掛席も健在です。ただここ、暫く経つと回転機構にガタが来てスゲェ揺れる席になっちゃうんですよね…。

さて、側面撮りでも何となく気付いていた人は居たと思いますが、アームレストは2種類あるんですネ。

こちらが細い方、いずれの車両でもデッキドアに近い側の3〜4列がこの形状となっています。

こちらが太い方。元々のデザインではコチラだったらしいのですが、造ってから、座席出入りがしづらいと気付いて細いのを造ったのだとか…って判った上でそのまま載せてるんかい!!!

モノの記事に拠ればミトーカ氏曰く好きな方を選んで座ってくれ、とのことらしいのですが、指定席だったらどーするねん。選択の余地無しになるべ。

個人的な解釈としては、デッキに近い側が細めアームレストで固められてるのは、普通列車運用にも入るこの車両として人の出入りが頻繁なことから、抜けやすさを考慮したのかな、と感じるところではあります。また、メンテするにも配置を固めて置いた方が都合が良いですしね。

デザイン的におマヌケというか、悲しいオチがありまして、フリースペースとの仕切になる暖簾、これのせいで、天井近くに設置されている電光掲示板が見えなくなってます。ええ、ワリと全席から(苦笑)。

停車駅情報とか、結構大事なことを表示しているので、見えないと一瞬狼狽えちゃいます。

第2編成のフリースペースは、基本的に第1編成と同様の取り回しですが、天井に見慣れぬ未確認物体がつり下がっておりまして…。

京都表具協同組合の協力により、難度の高い技法による金箔貼り曲面オブジェが取り付けられています。

ソファーなどは、第1編成と同じですが、窓枠の組子細工デザインが変更されています。

椅子が並ぶ側は、テーブル手前側に巨大な筒がドーンと立っています。これ、上端にライトが仕込まれていて、さっきのオブジェを照らすようになっています。

言うなれば、半固定ミラーボールならぬゴールドボーr...(自主規制)。

トイレや洗面台は、黒の壁紙を基調とし、洗面台の出入口にはミトーカあるあるの暖簾がぶら下がっています。

以前のグレーベースより汚れは目立ちづらいかも知れませんね、ええ。

通路は木目床と黒い壁面という高コントラスト。照明がスポットライトのみで、客席とは違った雰囲気を醸し出しています。

出入口もこれだもん、ステップがあるので、乗車時にはスッ転びませんように。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1不詳1050mm
普通2JTB41891050mm