くま川鉄道KT-100形「KUMA2」 最終確認時期:2011年6月

九州・人吉駅に直結隣接する人吉温泉駅から湯前まで、元の国鉄(JR九州)湯前線を引き取り運営される第三セクター鉄道。

「SL人吉」に接続して運行されるのが特装車「KUMA1・2」です。乗車日はKUMA2のみの単独運行でしたが…。

車体側面からして、誰がナニをやらかしたてこうなったかは、一目瞭然…。

あさぎり駅での交換待ち。タブレット閉塞方式が残る比較的珍しい路線です。

しかし、色がアレなので、ちょっと露出を変えるだけで緑の出方がまるっきり変わってくるんですネ。

反対側に在来塗色の車両が来ました。こうしてみると、使用前・使用後のイメージの違いが如実です。

人吉側から車内へ入ってみましょう。この形式はセミクロス配置のトイレ無し車両。

手前側のロングシートは後述するとして、目に付くのはクロスシート部分の大きなシェル状仕切板。

湯前側からはこんな感じ。排気ダクトが視覚に入る有無を除くと、クロスシートが非対称配置になっていることが伺えます。

クロスシート部分。SL人吉に通じるデザインコードで誂えられていますが、シートピッチが全く異なるので、別物みたいに見えることでしょう(良い意味で)。

ソデ体からヘッドレストにかけて、通路側にキッチリ立ち上がる木目を活かしたフレームと、内側に包み込むようなアームレスト部材が特色です。

座り心地ですが、ヘッドレストはイイ感じの出方なのですが、背ズリの立ち上がりが強く、腰部分への重量負担がダイレクトに来るところは惜しい。座面もこの辺を受け止め切れていない印象を持ちます。

で、ミトーカデザインパターンの1つ、折りたたみテーブルがこの所要時間と用途の車両で使われている辺りは…まぁ、氏の半ば意地(?)。

ロングシートとの境界部分、先述の通り、立派なバックシェルが設置されています。

比較的開放感の強い軽快気動車にして、これがあるお陰で適度なコクーン感を演出しています。個室とまで行きませんが、適度な空間の仕切り感が出て、良いアクセントであると言えます。

この人のデザイン、こういうところは秀逸というか「おっ」と思わされます。別稿でも触れましたが、普通席クラスを弄らせたら丁度良いギミック密度なんですね…グリーン席やジョイフルトレインだと、なんだかコケてる印象しか持てないんですが。

車内化粧板は、木目に近いカラーのフィルムで貼られており、色彩コントラストにおいては明るい木地に対する緑の葉っぱ、という良好な対比になっていると思います。

でもね…ロングシートは相変わらずのセンス(悪い意味で)。既存パターンデザインの組み合わせについては、少々食傷ですし、メンテナンス的にもちょっとどうかな、と思わされます。

あまり軌道状態が恵まれない上に、空気バネの軽快気動車…なかなかビヨンビヨンに揺れるところでこの背ズリとか、軽く酷い。

手前に引いてみると…どっかの和歌山で見掛ける造作が…。

ドア側から見てみると、一応1人分の仕切りがハッキリしてる上、2人掛でテーブルを間に入れたことで、寝転がりとかアグレッシブな使い方をしづらいようにしている配慮は見えるところ、さて、還元のほどは?

願わくば、座面のクッションはもう少ししっかり入れて欲しいと思います。座面と言うより、古典座布団形状なので、ちょっと腰骨のバランスが取りづらいと思います。

こちらも、そんなアーチ状の背ズリされても、いくら細かくても平面背ズリでこの縦状柵は厳しいと思います。ハマりどころが悪いとゴツッと当たるし…。

反対側のロングシート、バックシェルとの間に控えめなゴミ箱が自己主張しているのをさておくとして、これもどっかで見たソファタイプシート。ただ、座り心地はかなり薄め硬めなんだよなぁ。

頭上には沿線名所の写真が随所にパネル掲示されており、この辺はあまり見飽きないところ。

それでも、トータルで見ればなかなか面白い車内に変身したと思います。

座るとすれば、迷わず落ち着いたクロスシート区画の一択ですけどネ。

車両選択に戻る>>