土佐くろしお鉄道9640形 最終確認時期:2003年4月

JR線を挟んで路線が分かれる鉄道会社と言えば、最近まで三陸鉄道(南・北リアス線)がその典型例でしたが、土佐くろしお鉄道についても宿毛までの中村・宿毛線と、御免から奈半利までのごめん・なはり線の2線となり、県の東西で分かれる格好になっています。

ごめん・なはり線で活躍しているのは9640形気動車、形式名はどう見ても「9640=くろしお」なんでしょうね。

さて、この派手な塗色は言わずと知れたタイガース応援列車ですが、この年、この球団がどうなったかは誰もが知るところとなりました。

車内にもこのように、チームフラッグ・選手の写真などが貼り出されていました。

早速の座席ですが、一般車は転換クロスシートをベースにしたセミクロスシートとなっています。このクロスシート、あちこちで見慣れたそれと雰囲気が異なるように見えるのは正常です。

ソデ体や座面は一般的な転換クロスシートですが、背ズリが通常のものよりランバーサポートのバケット1ブロック分高くなっています。お陰で、着座するとスッポリと体が隠れてしまいます。逆に言えば、ドアから入った時にどの席が埋まっているか…まず判りませんね。

さて、この背ズリのお陰でシートピッチではやむ無しの1015mm、この半端な数値にゆとりとも悲哀ともつかない思いをしています。さりげなく、カーテンは横引となっており、ささやかながら一般車両としては奢った印象を受けます。

肝心の座り心地ですが、背ズリ…体に合いません。本来的に背中が当たるところに後頭部が来るわけですから合うわけがありません。何かしっくり来ないのはいたずらに1ブロック伸ばしながらも形状がおざなりになったためとしか思えません。

さてもう1種類、展望デッキを持った特別車両が在籍しています。形式こそ9640形ですが、外見は全く異なっています。このお顔だけ見ても、クジラがイメージになっていることが判ります。

ちょっとナナメから見るとこんな感じ。海側がオープンデッキになっているのがよく判ります。この側面、なかなかイラスト山盛りで見るだけでも楽しめます。

特別車両の車内はこんな感じ。海側は転換クロスシート、山側に引き出し式のベンチシートが揃っています。

室内灯も単なる蛍光灯ではなく、簡単ながら装飾の付いた白熱灯です。転換クロスシートは1段高くなっており、さらに海側の展望デッキとの目線の棲み分けを行っています。

さて、そのベンチシートですが、混雑時はこのように折りたたんで立席スペースと化します。

山側も、終点間際以外はそう悲観するほど眺めが望めないわけではないのですが、やはり太平洋側の眺めを思うと、限りなく救済席の様相を呈しています。

座席を引き出す時は、座面裏の取手を掴み引き上げます。そうしてから、手前にストンと倒せば座面が出てきます。こうすることで、勝手にバタバタ倒れてこないようにしているわけですね。

転換クロスシートは、すおう色のモケットが鮮やかではありますが、座席自体は全国どこでも(?)おなじみのタイプです。少々細かいツッコミを入れると、ソデ体の形があまり見ないスタイルです。ここだけはオリジナルっぽい気がします。

モケット、詰物ともに新しい車両だったせいもあるのでしょうが、しっかりした起毛で滑りのないホールディングをしていました。

この車両ご自慢設備の1つ、展望デッキへ出て行きます。

乗ってみると判りますが、走行中はかなりの風圧を受けます。快速運転時を中心に一部区間では危険防止のため立入りが制限されます。トンネルなどはシャレ抜きで覚悟しないとかなり凄いことになるかもしれません。

運転台後ろです。ここ最近の気動車でかなり共通化された設計になっており、比較的広々と開放感を感じるスペースになっています。

車両選択に戻る>>
座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(一般車)2不詳1015mm
普通(特別車)2不詳910mm