京王5000系 最終確認時期:2018年10月

京王の2代目5000系、立体的な前面形状やメリハリのカラーリングなど、何とも挑戦的な印象があります。蛇足か余談か、京王で「5000」を背負う車両は当代の京王イメージを変える役割がある節目の車両という認識があるようです。

運用は後述の「京王ライナー」の他、地下鉄乗り入れも含め様々な種別や運用に入っているのを見掛けます。

乗った印象としては、京王が総じてというところもありますが、特に硬めセッティングに振り込んでいるようです。それでいて左右揺動などはあまり感じないところ、軌道と台車がしっかり合ってるんだなと感じます。

京王初のL/C対応車ということで、まずはロングシートモードから。

中吊り広告が排され、車両ビジョン装置による固定形の車内広告表示が行われており、見た目にスッキリしたように感じられます。車内の色調はブラウンを軸としたもので、外見に対してシックでメリハリが付いていますね。

ロングシートモードでは、背後の窓の上下高お構いなしでハイバック+ヘッドレスト付の座席が並ぶこととなり、なかなか迫力があります。

座席自体はクロスモードを念頭に2人掛けとなっており、座面・背面が1人分ハッキリと分離された上、左右いずれかにアームレストが設置されているという点で、このタイプのドア割車両における通常のロングシート定員より1名減ながら定員着席性はかなり高いモノとなっています。

関東の先行事例として東武50090系や西武40000系がありますが、それらに比してフレームの剛性がしっかりしており左右揺動や回転方向のガタ付きも全く見られない点については、先行のネガを良く潰してるなぁという印象を持ちます(経年したらどうなるかは…現段階では不明ですけどネ)。座面は出来るだけ広く取るためとして、ソデ体の内ぐりがギリギリまで凹んでおり、これで5mm程度稼いでいるというなかなか涙目な苦心が見え隠れ。

L/C関連は天龍工業と近鉄の共願品(特願平07-227138)や改良品(特願平08-268037)があり、L/Cという概念では20年以上経過したものですが、回転機序について天龍の円弧状のものではなく、楕円状に動く点に新規性を置いたことを特許として出願(特願2016-148757)されています。

車端部分はロングシートのみの固定席。アームレスト部分にコンセントが仕込まれてますが、使えるのは京王ライナー等のクロスモード主体運用時に限られるそうです。この部分はコイト電工ではなくシロキ製という話もありますが、座面や背ズリを引っ剥がすのはマズいので確認取れずです。

ロングシート部分は、横幅がクロス席部分より30〜40mm程度広くなっており、近鉄のシリーズ21に見られるドア脇の「らくらくシート」より広くなっています。西武40000系よりは遥かに上のレベルですが、やはりロングシートの方が座り心地が良い関係は健在。座面はムリなくすっぽりと収まりますし、ランバー部分は両脇処理にツメの甘さ、張り出し方にわざとらしさが見えるところが減点項目なのでしょうが、それらを含み込んでもかなり良い着座感を得られます。

惜しむらくは、両壁面側にアームレストを設けておいた方が良かったんじゃない?という気はします。ここだけは、企画段階のおマヌケ感が拭えません。

京王ライナーや、シーズン中の高尾山向け臨時列車等、クロスシートモードとなる車内全景では、背ズリのブラウンとヘッドレストのブラックが車両の中間ラインを占め、色的に迫力ある空間になります。

車内灯はLEDとなっており、京王ライナーとしての運用時は暖色系に変更されて雰囲気が少し変わります。

クロスシートモードでは、足下部分が機器構成上塞がってはいるものの、ピッチ1000mmのロマンスシートとなります。AC100Vコンセントは背ズリ下部のフレーム部分に2穴。座席回転は天龍工業製の座席と異なり、アームレスト後端のオレンジ色のレバーを引き起こすタイプです。アームレストが狭いこともあって造りが華奢なので、そう遠くないうちに破損部位が出るかも知れません。乗車時間は1時間も無いこと、清掃等のことを想定してか、ドリンクホルダーやテーブルの類は設置されていません。

背ズリは、ランバー部分まではそう悪いとは思いませんがショルダー高と形状にイマイチ感が残り、この辺のフレームが肩に当たるのは要改善項目では無いでしょうか。また、座面もフラットに寄りすぎており、もう少し全般的に角度が付いていても良かったんじゃないかな、と。

また、配色の偶然ではありますが、この横向きのカラー配置がJR東海のN700Sグリーン席のそれに似ていたりします。製造メーカーが同じという因果めいたこともあるのでしょうが…。

ヘッドレスト部分には、京王のロゴマークが型押しされています。気付いた人、何人居るのやら…。

車椅子・ベビーカー向けスペースも勿論完備、ランバークッションが取り付けられてますね。

ドア框部分には、車両ビジョンが設置されています。この辺は最近の車両のトレンドといったところ。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2不明(コイト電工製)1000mm