京成(新)AE形 最終確認時期:2010年7月

京成として悲願にして宿願、成田への高速新線「成田スカイアクセス線」開通に合わせ、最高速度160km/hの専用特急車両が登場しました。初代に次ぐこと2回目の「AE形」登場です。

正直、この京成らしからぬ垢抜けっぷり、南海ラピートとはまた別のインパクトをもたらしてくれました。新幹線はともかく、首都圏近郊でお手軽に高速走行を実感できる意味でも、その存在感は大。

実際に乗り通してみたのですが、両終点間であればトータルで大凡15分短縮というのは、感覚的にかなりの短縮効果を出していると感じられました。何せ、成田湯川〜空港第2ビル間の猛然としたダッシュ、鎌倉・横浜方面から長駆してきたJR快速をゴール目前で悠々かつバッサリ抜き去るのですから、JR利用者へのデモンストレーション効果も凄まじいと思います。

後撃ち撮影では、運転席上のテールが点灯しているのが判ります。

この先頭部もかなりシャープでいい感じなのですが、真のポイントはノーズ下部の折り込み形状であると思います。ここの造形がキュッと引き締めたイメージに結びついていますネ。

上野駅ではタイミング次第でシティーライナーへと任を移されたAE100形と並ぶこともあります。ただ、今回のダイヤ改正で、ライナー列車の上野駅発着番線が、それまでの「基本2番・たまに1番」から「全番線にまんべんなく」となった為、こういう並びも列車を選びながら、となります。

8両編成にして、他の車両と少々外見が変わるのは中央の4・5号車。4号車はサービスコーナーとフリースペースの関係で、海側側面にアクセントとして丸い3連窓が見えます。

ドア下部脇には京成グループロゴと形式番号が金文字で入れられています。白地とKANSAIブルーの組み合わせで、車体全体はある程度「堅い」イメージがあるところに、アクセントの金文字で「確かなモノ」であるイメージと「他の車両とは違う」プレミアム感をを訴求する意図があるように感じられます。

…白・紺のヨコ直線イメージを途切れさせないという効果もありますからね。

5号車にはトイレ、洗面台が集中的に配置されています。そのため、車体の余白部分がちょうどデザインロゴを入れるのにピッタリ。

シャープな車体にして、あえて筆かすれな「S」のデザイン文字。結構目立ちますが、もう少し全体的に下気味にかつ一回り大きく描かれていても良かったかな、と思います。

成田空港駅で、真横から見るとこんな感じですからね。低重心を意識した車両もであるので、視覚バランスとしてちょっと下の白が勝ちすぎるかな、と。

さて、車内へ入っていきましょう。まずは先頭車の全景です。小田急VSEで知られたヴォールトタイプの天井は白を基調とした間接照明になっています。視覚的には、間接照明の部分と、荷物棚の張り出し形状が揃えられていることで、スッキリとした印象を受けることができます。

中間車両の車内全景。デッキ仕切壁と扉の形状が先頭車のそれと異なっていますね。近くで見ると、ちょっと障子じみた風合いを感じます…穴は開きませんよ。

上半分の白、下半分のブルーというコントラストは、外側と逆の取り合わせですが、視覚的には青系統を使いつつ、あまり浮ついた感覚を与えないようになっていると感じられます。

座席を見てみましょう。天龍工業製のYR257形座席を、1050mmと先代より10mmピッチを拡げて設置しています。パッと見でソリッドなシルエットであり、比較的シンプルなカテゴリに当てはめられる座席と言えます。

座面は新素材バネックスを敷き、ソリッドなシルエットにして底突き感がないようにと配慮されている由。座席表地も、多孔で蒸れづらいようになっています。

リクライニングは先代よりやや浅め、アームレストは短めに取られています。リクライニングは、サイドアームレスト先端のレバーで操作します。

車端部や壁面はこんな感じ。壁面は収納されているテーブルを手前に倒して使うようになっています。

カーテンは引き下ろし形となってますが、窓枠組み込みによるフリーストップタイプかと思いきや、ナイロンワイヤによるガイド方式を取ったラチェット固定になっています。これだと、固定位置の自由度が少し効きづらいく、操作にもクセがあるので、ちょっと…なんですね。清掃時のお手間事情が勝ってしまったか(笑)。

カーテン下部の掴手の上端部分にクッションが無いため、上まで戻すたびに窓キセと衝突して「カコン!!」となかなか派手な音がします。なんともケミカルな鹿威しと言われればその通り(笑)…要改善ですね。

窓下の黒い部分は、前列背面にあるポケットの代償ですね。テーブル下の壁面には付けたくないからこうなった…と。

座席中央部の脚台にAC100Vコンセントがあります。特急クラスの普通席コンセントは、脚台や壁面下部に設置するケースと、窓枠下や背面テーブル直下に配置する二極分化が進行してますね。

この形式では所要時間がアレなので、その効用を実感する人は割と限られるかな〜とは思います。

シートバックテーブルは固定ラッチを外しても自重ではストンと降りてこない程度に脚部に引っかかりを持つタイプとなっております。

天板は薄いのですが、これでもアルミ製の耐荷重タイプだそうです。しかし、シルエットだけ見ると、従前のシートバックテーブル巨大化の中で、小さいと言えば小さい。

窓枠上、荷物棚との間に黒いスリットが見えます。これ、スライドできるようになっており、窓側の空調風量を調節できるようになっています。尤も、風量はささやかなので気休めと思った方が良いでしょう。

この機構は、JR東日本のE2系1000番台で初お目見えした形状ですね。JR東海・西日本のN700系でも同様の設備がありますが、窓上左右両側にチョコンと見え隠れする程度のものです。個人的には、かつてのスポット空調くらいのものが嬉しいのですが…。

5号車には車いす対応ブロックが設置されています。その前列席では、テーブルが使えなくなるので、窓枠に収納タイプのテーブルがセットされています。

床面のデザインドットがよく判る場所でもあります。

荷物棚は戸袋部分を応用するいつものタイプ。デッキ仕切扉より内側、客室内入ってすぐに左右2段が備えられています。下段はかなり大型のスーツケースでも置くことができるようになっています。

JR東日本のE259系は途中停車駅が多いせいもあってダイヤルロックになっていますが、こちらは特にそのようなこともなさそうです。ま、空港駅出たらスカイライナーとしては、次が事実上終点ですからネ。

デッキとの仕切扉部分には大型モニタがあり、停車駅案内やグループ広告、運行状況案内など様々な情報が表示されます。

ただ、イケてないのは荷物棚の監視カメラ。ヴォールト天井のカーブ感を損ねる形状と位置・色使いはあまり誉められません。上野側車端席から見ても視界に入ってくるので、実寸以上にジャム感を感じさせます。

4号車のサービスコーナー、自動販売機の反対側にはちょっと一息用のフリースペースがあります。定員3人程度ではあるのですが、実質的に車内での携帯電話はここで済ませろ、といった風合いです。

その反対側には清涼飲料の自動販売機。サントリー系ベンダーが入っているためか、品揃えにペ○シコーラののNEXが置かれているのは何ともシュール。

5号車成田側にはサニタリ設備が集中配置されています。これは、宗吾の車両基地にある抜き取り施設の関係もありますね。

男性小用,一般用、車いす対応大型と揃っています。画面右に洗面台もありますが、洗浄水用蛇口と石鹸用のノズルの間隔が詰まりすぎて、使いづらいと思われます。この辺、もうちょっと何とかならなかったのかな?

ドアは片扉、高速運転に備えるためか、ドアの開閉時、新幹線ほどではありませんがカチッと固定される挙動が見られます。ドア上にはお約束の監視カメラ。

このユニット、ドア両側の手摺りを見てみると、何となく光って見えます。そこで、ストロボを使わずにスローシャッターで撮ってみると…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2YR257(天龍工業製)1050mm
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