小田急10000形 最終確認時期:2004年3月

LSEの後、小田急が登場させたロマンスカーは展望席を除くと全ての区画がダブルデッカーとなった10000形です。その姿をしてスリッパの異名を得た時期もあったとか無かったとか…(今、スリッパと言うとJR東日本のE4を思い浮かべる人が多いらしい)。

入口は伝統の折戸、その向こうにはハイデッキへ通じる階段があります。登場当時、ハイデッカーや2階建てが流行った時期でもあり、小田急としてもNSEやLSEのような低重心設計が現実のスピードやダイヤにあまり還元されていないと見たか、腰高なハイデッキにシフトしてきました、とも思えます。

しかし、このギリギリの寸法で造られたオールハイデッキ構造が、その後の交通バリアフリー法的にはあまり好ましくない状態になってしまっているのも事実です。LSEは車椅子スペースや対応トイレの改造などで暫く長生きしそうな予感全開ですが、こちらは…?

室内全景です。写真はリフレッシュを受けたタイプなので、少々見付が異なるかも知れません。座席色はアクアブルーとチェリーピンクのモケット張りの座席をランダムに配置していましたが、リフレッシュを受けた時点でいずれかの色調に統一されているようです。

LSEイメージを引っ張っていますが、天井周りはスッキリしています。荷棚も下から荷物の有無が判るような透明なものになりました。

展望部分、照明周りの雰囲気はLSEと同じですが、座席は最前列に向けて次第に低くなる映画館のような傾斜配置になっています。

右手前に見えるのが乗務員室への出入りハシゴ、名鉄が外から出入りするのと比べると何とも対照的です。

ちなみに、国鉄・JRで展望席タイプの場合はいずれか片方が出入り台兼車掌業務スペースとして埋められています。小田急や名鉄は一般ブロックからもスルーで眺めが見えるようになっていると言えば…そうなっていますね。

座席は970mmで回転シート(ロマンスシート)が設置されています。登場した1987年頃と言えば、「回転リクライニングシートにあらずば特急座席にあらず」的な一大ムーブメントの起こっている頃でもあります。

新幹線100系の登場を契機とした、アコモデーションインフレまっただ中にして、あえて回転シートにしたのは座席重量辺りが問題になったのでしょうか…。一説ではリクライニング角度確保の関係とも言われていますが、LSEやJR183系DX編成程度なら問題ないわけでして…。

壁面収納の大型テーブルの他、T17〜21よろしく背面折りたたみテーブルが付いてしまいました。テーブル関係のユーティリティは改善されましたが、座席本体はちょっと…ね。

座面はLSEにも増してズドンと落ち込むような着座感(底突きと言うより底抜けと言った方が近い)であり、座席周辺のフレーム設計に疑問を感じざるを得ません。シートを体に預ける、と言うよりフレームに嵌め込むと言った感じです。私はあまり良いモノとは思っていません。

この車両にも車内販売コーナーは健在です。「はこね」などの看板列車では車内販売を利用することが可能です。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2不明970mm