西武10000系 最終確認時期:2004年2月

池袋・新宿から所沢を経て秩父・川越へ、支線も含めれば結構な営業キロになる西武鉄道ですが、小田急や東武のような鉄板の観光地が控えているわけでもなく、特急列車もリゾート向けというより通勤需要や日用需要を当て込んだ風合いを感じます。その割に、専用ホームがあったり、入口での特急券チェックがあったりとハイソでアーバンなギャップが堪りません。

先代5000系は富山地方鉄道で車体が(笑)活躍しています。その次、と言うことで登場した10000系ですが、このお顔とカーブにかつての京成AE形を思い起こされるのは私だけでしょうか?

最近の話ですが、増発に伴って5次車が投入されています。ヘッドマークがLEDに、パンタグラフがシングルアームになったり、喫煙車の排気ダクト形状が変わったりとしていますが、パッと見はあまり変わった点がありません。不都合があるわけでもなく、変える必要も無いのでしょうが…。

1〜4次車までの全景です。これと言って気になる点の無さ、と言うか素っ気なさは裏返しに汎用途の性格を表していると言えるでしょう。

喫煙車の場合は所々に空気清浄機がありますが、それでもなお濁った空気は「ガス室」と揶揄されるものと言えます。朝晩の通勤時間帯は、スモーカーの聖域となっているようです。

お座席はこちら、回転油圧リクライニングシートRS-517A(小糸工業製)です。シートピッチ1070mmと言う数値は異色です。私鉄普通席という括りで見れば、東武100系(スペーシア)に次いで長いですね。デザインこそオリジナルですが、座席の機能自体に取り立てて特色がある、と言うわけではありません。

ソデ体の形状が、JR北海道の785系電車・281系気動車などと似ていますが、成形素材が異なり、また前端下部の形状がわずかに異なりますが…似ています。

座面はごくごく最近の標準的なリクライニングシートの着座感ですが、背面ヘッドレスト部分、そのスイートスポットは狙い撃ちの如き幅となっています。ここに頭が合わないとちょっと悲惨かも知れません。

センターアームレストはJR東海373系などで取替が実施される前にセットされていた柔らかめの素材と同じ、近づいて見ると…部分的に劣化してボロボロ。

もう1枚同じカットですが「ウォーリーを探せ!」状態の差異があります。座席脚台部分、バーレストはJR東日本255系同様に可動式になっています。しかし、元々のシートピッチに余裕があるため、そう意識しないでも済みそうです。

リクライニング角度がそのシートピッチに比べるとおとなしいのですが、これは背中合わせになった場合でも、背ズリが干渉しない寸法になっていることから狙いは明らかです。

この座席の背面下部、背面テーブル脚の付け根部分にFRP成形とおぼしきカバーがセットされています。先代5000系の改座席(WR-271-4)も同様のカバーがありました。補強か、使われ方を判断してのモケット防汚対策か…。

そして、折り返しをスピーディーに行えるようにか、電動自動座席回転機構も持っています。そのため、座席の回転ペダル、少々特徴のある形になっています。一度ご覧あれ。

1号車には車椅子対応座席がセットされています。形式はRS-517A…全く違う形状で同じ型番を振ってしまう小糸工業ってステキです(笑)。いや、勿論クライアントの意向があるのかも知れませんが、これはさすがに…。

フレーム形状は、色の塗り分けこそ違いますが、JR北海道281系気動車普通席の1人掛席とそっくりです。アームレストの枠取りまで…。

全展開させるとこんな感じ。

デッキ部分はモノトーンベース、機能性重視と言えます。ドアに現在位置・進行方向などを記したステッカーがあるのはファインですね。

1号車のデッキ仕切扉部分。車椅子通行を念頭にした大形2枚ドアになっています。

1・7号車にはトイレと自販機設備があります。

んで、1号車にはさらにカード式電話、しかし飯能以西は利用できない…じゃ、携帯は…と見ると圏外区間がかなりありました。

さて、主に新宿線で活躍している5次車、外見上の差異は先程の通りですが、車内(と言うか座席)は大きく変化を遂げました。

こちらは1号車全景、デッキとの仕切扉は2枚両開きです。

これがその他の号車の全景、仕切扉は1枚。

座席は大きな変化がありました。パッと見がJR東日本の新系列特急車両やリニューアル車両に続々採用されているスタイルの座席、勿論(?)小糸工業製です。但し、座面スライド機構はありません。

先代5000系改座席(WR-271-4…R54そっくり)もそうでしたが、西武の特急座席は似通った時期の国鉄・JR座席と微妙に似せつつも趣味的に肝心なところ(笑)で独自仕様を咬ます、と言うマニア殺しな一面があります。勿論、メーカーが同じですから似通うのは普通ですが、それならいっそ、そっくり同じモノを入れれば安上がりとなるのに、と思うのですが…。

この座席についても、ソデ体の座面と接する部分はE257系普通席やリゾートしらかみ「ブナ」編成の1人掛席と似ていて微妙に異なっています。

こちらも座席脚台に可動式バーレストがくっついています。一般的に、有料特急クラスでは窓のカーテンは形状や機能の差こそあれ、各座席・列単位で調整できるようになっています。しかし、あえて2列1セットのフリーストップ大形引き下ろしカーテンを採用する辺り、ああ、会社のカラーだよなぁ〜とか思わせられます。なお、最下段まで引き下ろした後、窓キセの下端にさらに押しつけると今度は一気に上に戻ります。明らかに清掃関係のため…。

国鉄80系・181系気動車以降、殆ど見かけなかったのですが…。

そして1人掛席。

全展開時のもの。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(1〜4次車)1RS-517A(小糸工業製)1070mm
普通(1〜4次車)2RS-517A(小糸工業製)1070mm
普通(5次車)1不詳(小糸工業製)1070mm
普通(5次車)2不詳(小糸工業製)1070mm