東武1800系(一般化改造) 最終確認時期:2004年3月

私は「りょうもう」と言うと、つい「急行りょうもう」と種別を列車名をセットにしてしまう世代の人間です。その象徴とも言えた1800系急行用車両は団体用途1本を残しつつも200系・250系による代替がなされました。一部車両については近郊化改造を経て佐野線・小泉線で活躍しています。

1800系の面影を良く残しつつも「よくぞそこまで」と言える芸の細かい改造を経て、東武が21世紀早々いきなり社名を賭けたシロモノを世に放ったとも言えます。かつての「りょうもう」を知っている人であれば、その姿を見たら間違いなく驚くことでしょう。

1両に扉は両面1つずつ、おおよそこれが普通列車用途かと思う出で立ちですが、乗降時間をシビアに考えなくても良いと言うのんびりとした裏返しかも知れません。

して、この車両はよりによって弱冷房車…意味あるような無いような(後述)。

さて、車内に入っていきます。急行時代の車内見付を可能な限り活かした改造になっています。

座席上には荷棚がある一方、デッキ・車端近くの立席想定スペースには天井に直接繋げる形で吊革が増設されています。窓の大きさとのアンバランスぶりはダリ・シュールレアレズムのインパクトを超えた、と一人勝手に納得させられる光景でした。

1800系の座席については大別して2種類ありました。これは初期投入車両から改造を行ったもの。回転クロスシートだったものですが、フットレストを撤去し向き合いのボックス形状として座席を固定しています。

窓側にはテーブル撤去後のネジ山が見えます。

一般席は黄緑ですが、優先席は非常に判りやすいシルバーのモケットで用意されています。

車端部に近い座席については一方向きで固定されており、ここに座ると「気分だけ急行列車」な趣の空間となります。現役急行時代、シートピッチは960mmもあり、リクライニング機能の有無さえ目をつぶればそれなりの居住性を持った設備でした。

一方では、設備的に日光・鬼怒川方面のDRCに頭を押さえつけられた中での最大限の背伸びの姿に国鉄に通じる種別と設備の連動したヒエラルキを感じます。そういえば、東武も車両の格を重んじる傾向が強いですね。格下げ運用はごく少数ですし…特急車に至っては格下げするならいっそ回送としてしまうような感じで。

現役時代、このタイプの座席であれば窓側に小テーブルがあり、座席後部カバーから2人掛分の幅を持ったプレートフットレストがセットされていました。しかし、こんな謎な区画であればいっそ座席を撤去してしまうか、ここもボックス区画にしても良かったように思えますが…何故このような一方向き区画ができたのでしょう?きっと、何かあったんでしょう(笑)。

立席スペースであり、乗降扉を潰した部分です。壁際に見えるグリルガードがなされた部分はヒーターです。

車両毎の仕切扉がありませんが、この向こうは弱冷房車…う〜ん、意味ねぇ。

さて、後期に投入されたタイプから改造した車内です。基本的な見付は同じですが、通路部分が色分けされている床材を使っていたことに気付かされます。

天井部分を見ると、蛍光灯はカバーもそのまま残り、空調の吹出口についてもちょっと古めのビルでよく見られる同心円状の吹出スリットが健在です。個人的にはここが萌えのポイントとも言えます。

ちょっとアングルを変えて撮ってみるとこんな感じ。座席が上記のタイプと異なるのが判ります。

こうしてみると、少し前の地方私鉄であれば間違いなく有料席になっていただろうクオリティが運賃のみで使えることに隔世の感を感じます。

後期タイプの座席です。全体的に流れるような丸みを持ったデザインから、角張ってユニット然とした座席になっていることが判ります。灰皿がアームレストにセットされるなど、合理的な一面も垣間見えます。

現役時代、この座席にはシートバックテーブルと各座席背面に個別で裏面反転可能なフットレストがセットされていました。現物は、300・350系車両に残されています。

このタイプの座席にもご多分に漏れず優先席区画があります。

そして、一方向きの区画も(笑)。

新しいタイプの座り心地ですが、横引ラインなどでちょっとバケットっぽく見えますがその実はちょっと(悪い意味で)固め基調の座り心地です。底突き感がある、と言えば正しいでしょうか。

急行用車両、原則として固定窓でした。改造後も、基本的に固定窓が守られており微妙に色つきのガラスがちょっと昔の高級車をイメージさせます。

一方で、換気用の昇降窓もあります。片方は戸袋窓、窓の右半分が上昇窓になっています。

車端、かつてここがデッキだった光景その1、扉は閉ざされながらもそのオーラを感じるたたずまいです。

その2、仕切扉時代の壁がそのまま残っているのは恐らくここに不可避の機器類(配電あるいはエア関連)があるためと思われますが…この後ろは空間故、何だかモノリスっぽくもあり…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2形式不詳960mm