阪急9300系 最終確認時期:2004年5月

一貫したマルーン塗色と、室内のさりげなく豪奢なイメージでファンの多い阪急、京都(河原町)〜大阪(梅田)間の京都線特急と言えば、2扉・転換クロスシートの6300系があまりにも有名です。

ここに、最新鋭の技術を盛り込んだ次世代優等種別向け車両として9300系が登場しました。まだ1本しか居なかった時は運用を掴むのが大変そうでしたが、京都線主要駅の事務室に尋ねると、その日の運用を教えてくれました。う〜ん、何と親切な。

3ドアのメリットか、朝晩は普通や急行などにも投入されています。

車両としては、3ドア転換クロスシート(但、セミクロス配置)になりこそすれ、木目調内装とグリーンのシートモケットのコントラストはしっかり受け継がれています。

車端部には、マホガニーベースの内装板がしっかり、大きな窓と足下まで窓のある貫通扉は開放感満点です。

この貫通扉、さりげなくセンサー式自動扉が奢られています。いくら優等車両向けとは言え、運賃のみの一般用途車両に注ぎ込むのは驚きです。しかし、慣れないとついその重い引き手にビックリしてしまうかも知れません(最初、気付かなかった>俺)。

シートはピッチ950mm、横幅も6300系より少し広げた転換クロスシートです。梅田駅ではエアによる一斉転換が見られます。6300系はここで「バシュ…ズトン」と重厚そのものなエア一斉転換をしていましたが、9300系は素材見直しのお陰か、シートがかなり軽く造られているようで、サクッと転換しています。手動転換させてみると、エアシリンダの音を間近で試せます。

足下はJR九州817系で知られた1本足形で、カバー形状もよく似ています。アームレストの内側はきちんとカバーが付いていますが、細部を除けば、この辺も基本構造は817系の流れを継いでいる感じです。ちょっとポイントが高いかな?と思います。窓側はアームレストが略され、大きく取られた窓の框が代用となるようです。

座り心地も、しっかり座るとランバーから肩胛骨下までで用足りてしまうフィッティングになっており、ヘッドレスト部分は役に立っているような居ないような…40分余の乗車時間でもそう苦になりません。

転換クロスの場合、ドア側の処理で鉄道会社のポリシーが分かれますが、9300系では固定式としています。そのため、どの方向でも車内4カ所(車端がボックスならさらに倍)でこのようなボックス席ができあがることになります。

その固定席部分、角度は転換席より少し立っているかな?と思えますが、大差ありません。

ドア側の処理は、JR西日本の3ドア転換クロス車によく見られる腰当てを付けたモノとなっています。

車端部はロングシートとクロスシートがあります。ロングシートの方を、こちらは跳ね上げ座席となっており、跳ね上げると車椅子用スペースに早変わりです。

こちら、一般的な固定ロングシート、壁掛片持ちにつき、座席下はヒーターが吊り下がっている以外はガランとしています。

5人掛で2-3に分かれているのは、反対側とのパターンマッチングと、定員着席を促す両面からのものと思われます。

荷物棚はこれまた薄造り1枚板をベースに、荷物を置いたことを下から見えるよう半透明の覗き窓が付いています。吊革は、天井高いところからタラリと下がっており、これは美観と機能的に意見が分かれるところであると感じます。

関西の私鉄車両は、一般向け車両でも蛍光灯にカバーが付いており、照度的な面を除けば丁寧な仕上げの印象を受けます。

この車両はさらにビックリ、JRであれば新幹線・特急車両で使われる半間接照明を採用しています。もう、なんて言って良いんでしょうね…スゴイよ、もう(イイ意味で)あきれてモノが色々言えます(笑)。

ドア、大きな窓です。

こちら、開口部分。ドア脇の手摺りが、JR九州817系・沖縄ゆいレールで見られる半円筒のカバーで兼ねられています。

ドア上両脇には、ランプがセットされています。ドア開閉時、チャイム音と共にこの部分が点滅し、ドアの開閉を知らせますが、光があまりにおしとやかです(笑)。

もう少しハッキリした光にするか、このランプカバー形状を改良して周りから見えるようにしても良いと思います。

車両選択に戻る>>
座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2不詳950mm