京阪5000系 最終確認時期:2009年3月

通勤電車における乗降時間短縮は、少子化が進む現代にあってもまだ課題として鉄道会社各社の開発テーマに残り続けています。ある会社はワイドドアで、ある会社は多扉で…と色々ありますが、輸送需要の逼迫した京阪電車では多扉車両をその解答として打ち出しましたが…。

持てるテクノロジを旅客サービスに振り向けちゃう京阪、やはり登場当時にしてあまりにも先進的な車両として登場したのが5000系ではないでしょうか?

18m級車両にして、5ドアを装備。データイムには中の扉2カ所を締め切って座席化しちゃう、ってんだから子供心に「スゲェ」と思わされたモノです。NHKやTBSにあった教育系番組でも通勤ラッシュを取り上げた回では、通勤電車の見本として半ばレギュラー的存在だったと記憶しています。

車内は比較的寒色系でまとめられた通勤電車にありがちなカラーリングです。でも、やっぱり車内灯にはカバーが掛けられてる辺り、関西の私鉄電車、って雰囲気全開です。

優先席は、背ズリが優先対象者のシルエットを象ったマークの染め抜きと共に色が変えられており、一目で判るようになっています。

一般席。座ブトンと背ズリの間に、ヒーターによる温熱が出てくるように設えられたスリットが仕込まれており、ビジュアル的に背ズリが少し寸足らずに見えてしまうのは仕方のないところ。実際は、上の方にもう少し寸があっても良いと思います。

座ブトン部分は後述の可動座席と仕様を揃えるためか判りませんが、やや薄めに思えます。

優先席も、基本的には一般席と同様です。

車端部形状は2種類あり、こちらは座席の存在する方。このソデ体が床近くまでどよーんと大きく張り出しているデザインって、特異なんだと思います。まぁ、関東では見ない形状というか何というか…。

そして、扉部分の座席。撮影時間帯は3ドア運用中だったので、5箇所中2カ所のドアが閉め切られ、このように天井に格納されていた座席がセットされています。遠目に何となく境目が判りますが、いえいえ、両脇のガイドレールなんか、かなりスマートな設えの部類だと思います。

設計・製造当時のことを思えば、通勤電車仕様とは言え、安全性やデザイン性に工夫が凝らされてるナァ、と思わされます。吊革部分は、バネ仕込みのクランクタイプになっており、スッキリとした見付になっています。

真正面から。一般席での温風が出るスリット部分はさすがになく、後ろにドアがチラリと見えています。

JR東日本では、205系の6ドアなど多扉がその後登場していますが、折り畳みタイプの採用もあり、一部形式を除くと座り心地が犠牲になっています。

こちらも天井への収納が折り畳みですし、座面部分は少々底突き感(というかフレームに支えられてる感)がします。ただ、一般席区画と座り比べても露骨な差になっていない辺りはさすが、と言ったところでしょうか。

ドア脇のガイドレール部分。指の挟み込みが起こりづらい工夫なのか、かなり細めのスリットになっています。

天井部分、背ズリは一段高い部分に収納され、下から座面がドカンと持ち上がって収納されるようになっています。

車端部形状その2。車椅子スペースになっていますが、いささか狭すぎです。と言うか、車両を横から見ると、5ドアですから中央に3ドア目が来るようにして左右対称かと思いきや、ズレてるんですね…。

客用窓の関係なのでしょうか?少なくとも、座席については、着座定員が異なっているので、この部品点数の関係ではなさそうです。

ドアは一部区画でLEDによる情報表示装置がセットされています。寸法こそ計っていませんが、横幅が微妙に狭い気がするのは多扉設計の引き替えですかね?

まもなく出発です。

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