近鉄21000系 最終確認時期:2002年4月

JR783系と同じ年に登場、堂々のブルーリボン賞受賞車両。アーバンライナー21000系です。後継車両のnextも登場し、「plus」へのリニューアルも日程に上りましたが、ヨーロピアンテイストのフォルムとボディは今なお古さを感じないと思います。

アーバンライナーはレギュラーシートとDXシートの2種類があります。写真はレギュラーシートの初期形です。座面スライドが連動したリクライニングシートが1050mmピッチで取り付けられています。ソデ体や脚台に日本発条製らしい無骨な特徴が見え隠れしています。

リクライニングはアームレスト部にあるレバーを引き上げて行います。テーブルもソデ体に収納されています。その機構は新幹線0系で登場したW12のそれに起源を持つスタイルです。近鉄では極々一般的ですが、それ以外では伊豆急の元サロ車両以外では殆ど見られない極めてレアな意匠です。

後期グループのレギュラーシートです。前期グループとの決定的な違いはセンターアームレストの有無です。フットレストも健在、裏面反転で土足禁止面が出るオーソドックスなタイプです。しかし、座ってみてその圧迫感を感じないのにはヘッドレスト部分の切れ上がった形状が幸いしているといえますね。

リクライニング機構こそストッパーの付いた簡易リクライニングのそれですが、傾斜角度が非常に大きく、デフォルト状態の位置へ傾斜状態の座面をスライドさせてみると、その傾斜角度が実はかなりのモノであると実感できます。

DXシートです。私鉄で同一列車内の2クラス制は少数派です。今でこそ決して珍しくない1&2配列ですが、登場時の衝撃度は文字通り超弩級。統一されたデザインコードと内装化粧板の細部まで配慮された仕上げは今でも充分に通用します。

室内は間接照明が貫かれています。不足気味の照度については荷物棚下の蛍光灯、側窓間にはスポットで補助照明がカバーを付けられてまかなわれています。

それらを総合し、登場から15年を経た今もなお乗るたびに特別車両に乗るという緊張を孕んだ「ドキドキ感」を感じさせてくれる室内です。

DXシートの1人掛席です。フレーム形状やヘッドレスト部分の全体的な形状、背ズリからクッションに至るまでバケットが本格的に流行する寸前故、そのRの強さからやや古さを感じます。しかしながら、その重厚感は大したものではないでしょうか。

この座席はリクライニングレバーが独特で、テーブルが収納されているソデ体のアームレスト先端にあります。かなり大型のレバーで、手前に引くとロックが外れるようになっています。目立たず、それでいて機能性と操作性を損なわないファインな意匠といえます。

全展開状態です。シートピッチはレギュラーシートと同じ1050mmですが、リクライニング角度はほんのわずか傾斜量が大きくなっているようです。

フットレストは普通車とほぼ同等のものがシート台座に据え付けられています。テーブルはレギュラーシートに準じた構成になっています。乗車時間を考えるともっと大型のテーブルがあっても良いのですが、この頃、座面スライドが連動したシートの背面にテーブルを据え付けるのはちょっと厳しかったかも知れません(後日、JR485系の更新・リフレッシュなどで採用されている)。その他、オーディオユニットが装備され、登場当初からつい最近まではイヤホーンの貸し出しもありました。

車両端部にはこのようにフットレストが備え付けられています。バネで跳ね上げるようになっています。板面が他席のそれより大型となっています。

2人掛席です。特筆すべきは、その大型センターアームレスト。「隣人と奪い合う必要ない」この余裕が特別席では必須の条件といえます。デフレなグリーン席を乱発するどこかの会社に見習わせたい発想です。

肝心の座り心地ですが、座面はどうしても沈みすぎのきらいがあります。そのため、暫く座っていると尾てい骨が辛く感じる人が出るかも知れません。この席、実は奥深く座るより少し腰を前にずらして座る方が楽だと思っています。

DXシートの不満点というか疑問点は禁煙と喫煙の切り分けでしょうか…何故か号車が固定されて居らず、上りと下りで入れ違いになります。タバコは吸っていなくても座席ににおいが付いてしまえば苦手な人にとっては堪りません。これは嫌煙派にとってはかなり苦痛といえます。

後継車両では「ゆりかご形リクライニングシート」なる全く未聞の形状・機能を備えた車両が予定されており、当該車両も順次リニューアルに入る予定になっています。

アコモデーションでは節目に当たる名車を擁する近鉄の今後の展開には要注目でしょう。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
レギュラー2不詳1050mm
DX1不詳1050mm
DX2不詳1050mm