近鉄2610系(L/Cカー) 最終確認時期:2003年6月

混雑激化に伴う(あるいは掃除お手抜・治安維持<殴>・その他諸々)通勤車両のオールロングシート化の流れはいつ頃からか?と考えてみると、これが結構悩ましい問題かも知れません。ただ、ロング優勢の象徴として、JR211系増備車がオールロングで出てきたということは挙げられます。

設えの割に詰め込みが効かない構造上、つい最近までクロスシートは守勢一方のイメージがありました。しかし、運用時間や沿線利用形態を考えると画一的なロングシートがマイナスに作用することも確かであり、設置位置の工夫などでかろうじて命脈を保った変則車両も少なくありません。

その中で、近鉄2610系で試験装備され、新製車でレギュラーとなった「デュアルシート」はロング・クロス共存の回答一形態として(いろんな意味で)驚きを以て迎えられました。

クロスシートモードの写真にて、天龍工業製のYM-051形座席です。限られたスペースの中でロングとクロスを共存させるため、座席各部のセッティングがそれまでの座席とはかなり異なっています。

上から見てみると、手摺りを組み込んだヘッドレスト。方々で「最近の近鉄座席は変だ」と言われますが、その象徴とも言える"お硬い"ヘッドレストです。尤も、その前に特急車「ACE」から怪しさはあったのですが…。とにかくクッション性0、ヘタに後へ仰け反ろうものならタンこぶは避けられません。

次に総じて薄目のバックレスト・ランバーサポート、多少の詰物は入っていますがこちらもモケットを当てただけ、と覚悟する必要があります。ランバー部分、こちらももう少し出っ張りがあって良かったと思います。座ると総じてかなり立ち上がった姿勢になります。クロスモードの際、前席に迫り出るのを防ぐ意味合いもあると思われます。

真ん中ブロックです。前項より続けると、極めて細身な肘掛も目に付きます。肘掛自体はそこそこ頑丈になっていますが、前後に短いのは乗り降りが頻繁にあると想定してのものと思われます。幅が狭いのは…ロング時に横幅を取りたくないからでしょうね。

さて、この機構は目新しいように見えますが、自動・手動の差こそあれ、同様の挙動をするものがJR213系グリーン席で見られました。それを自動化した、と言う部分では一定の評価があって然るべきですが…。

この座席のロングモード、あまり見かけませんが…私も1枚だけ撮ってあります。発掘したらこのコンテンツに追加しますので、暫くお待ちを。

ドア間最後尾列、こうして見ると…改造車故に仕方ないとはいえ、眺望的にナイスポジションがどこにもありません…。足下も回転・収納ユニットの関係で窓側は少々狭々しています。

そう考えると、窓側-通路側・最前列-最後列いずれのブロックも微妙にプラスマイナスがあり、差し引きでの居住性は嗜好の差こそあれ、おしなべて均一ということも言えます。そう考えると絶妙なバランス感覚といえます…勿論、偶然の産物以外何者でもないとは思いますが(笑)。

車端部はこのようにロングシート固定、座席は窓サイズどこ吹く風でハイバック仕様となっています。この辺、JR九州的割り切り…さて掃除ってどうするんでしょ?

この形式、長距離運用もあるためかトイレがあります。その部分はこんな感じ。JR113系的発想で、クロス部分がL/Cになっています。

トイレ脇、一番壁際の席は方向固定です。手前の2列については、デュアルモードではなくクロス機構のみ…。

ロングシート部分、JR209系も真っ青な巨大ソデ仕切がポイントです。上端がややナナメにカットされており、あて布がされてる当たりは気配りですね。

クロス部分の同様ブロック、高さ的に微妙に目隠し機能もありますが、2列分無いところからしてやはりロングモード時のもたれかかりを防ぐ意味合いの方が強いでしょう。

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普通2YM-051975mm