近鉄3220系 最終確認時期:2004年6月

近鉄新設計車両(シリーズ21)における京都市営地下鉄直通用車両バージョン。本来はもうちょっと違うカラーですが、何で撮影する時にこの京都-奈良特装車が来るんだろう…。

1両おきに京都と奈良のイメージを全面ペインティングした編成でございます。新幹線から乗り換える人はついつい近鉄特急に流れがちですが、数日じっくり京都・奈良という人であれば恐らく1回はお目に掛かるのでは無かろうかと…。

横もコレですからねぇ、京都ペインティングの方ですが。

早速車内へ。スッキリと開放的な車内の造りは、ドアそばの「風きり屏風」が東日本スタンダードと言わんばかりの今となっては、いかにも関西のオーソドックススタイルと言えるモノでしょう。

しかし、よく見ると吊革の高さが微妙に異なって配置されています。立ち位置や身長など、立席環境を総合的に配慮した結果と取れます。これをより人間的と見るか泥臭いと見るか…。

ロングシート部分です。座席の組付は新系列車両らしいカンチレバータイプとなっており、足もとスッキリ型ですね。奈良・京都両盆地でのヒーターの効きに不安を感じないわけではありませんが…え?どうせ地下車両だ?途中駅はどうせよと…。

座席自体は最近の近鉄らしいシート、すなわち「ハードに固め」と言わんばかりのクッション性です。後述の横幅と相まって、人間がポスッと座ると、テーブル上に置いた大福のような感じになるように思えます。

要は、腰回りのホールド性に期待するな、と。どうにも着座姿勢に対する食い合わせが悪いですねぇ、造ったの誰?怒らないから出てらっしゃい。

この座席での最も話題となるポイントは「幅」にあるでしょう。長いタイプでも6人掛、1人当たり485mmと超弩級の幅を確保しています。更に、両端の2席は立ち上がりに供せるようにアームレストが付けられた「らくらくシート」と呼ばれる事実上の優先席になっています。

ソレまでの関西的美徳として座った人の体格差などの諸条件で、微妙に8人掛・7人掛・6人掛といわば「動的割り当て」をしていた空気にあえて着席定員という風土を入れてみたコトになります。

座面バケットのエッジ部分が固めとなっており、視覚的にも人間は横4人分までの空間認知は可能なこともあり、この辺はスムースに浸透が進んだようです。ここは狙い通り?

車端の一部には車椅子スペースがセットされています。単に車椅子オリエンテッドなスペースではなく、吊革本数を他より多めに配置したり、握り手や壁とのクッション配置などに、立席利用を想定した設えとなっています。

この辺は「広く共用空間」と捉えた、極めて現実的で割り切った設計思想が見えています。良いことでは無かろうかと。

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