近鉄26000系(さくらライナー・リニューアル車) 最終確認時期:2011年5月

「さくらライナー」も登場して早20年、もうリニューアルを迎えるお年頃なんですね。誰ですか、お肌の曲がり角なんて言ってる人は。イイじゃないですか、いつまでも若々しく見えるというのは、ええ。

冗句はさておき、運用キャッチも含め、比較的簡単お手軽で楽しめる南大阪・吉野線特急の看板列車。3号車に設定されたDXシートの有無で見れば良い、ということ。そして、シーズンを除けば橿原神宮前から南は貸切状態になってしまうことがあるのも、よくあること(かもしれない)。

普通席は美しい桜ピンクをイメージした座席表地になりました。パッと目に入る鮮やかさは素敵ですねぇ。

荷棚、照明周辺に大きな手は入っていないようです。

2人掛座席は天龍工業製のYR266、16600・22600系(Ace)で見られたYR258と同系統の座席ですが、若干違いが出ています。

1つめはヘッドレスト両脇の張り出しが抑え目になっていること、2つめは背面の網ポケット部分について背ズリ側を凹ませてスペースを確保していること、3つめとして「ゆりかご」の所以の意地か、座面後端のチルトが明瞭になっている点です。

それ以外のソデ体等では、少なくとも旅客側で意識できる差異は見られません。元々、1050mmピッチで登場しているので、改造というか改座は比較的簡単だったと思いを致すトコロ。窓側の肘周りの引っ掛かり感は如何ともしがたいところか…。

あ、敢えて言うなら座席表地がモケット感を強く感じられる点が言えるでしょう。前席下部にAC100Vコンセントが設置されているのも、目新しいと言えばそうなりますね。

1人掛席。車椅子からの乗り移りを考慮したモノだけに、あまり他社の同様区画と差別化しづらいかと思えば、近鉄は座席の回転軸を座面先端部分で回すようにしてピッチを大きめに取るようにしています。

これはこの形式に限った話ではなく、近鉄の特急車全般で見られるもの。故に、当日の指定ブロック解除を狙ってご指名する人も居るとか。

リクライニング角度なんかも、若干大きめに取られているようです。

座席部分の床面、木材調なんですね。通路部分はカーペットですけど。

このリニューアルから本形式も喫煙室以外は全域禁煙に。4号車阿部野橋側デッキ近くに喫煙室が設置されているのは16600系のそれに倣っているところ。

この形式のリニューアルで最大級の変化といえば、1つめは運転席後ろにドアデッキが追加され、展望風景がフリースペース化された点でしょう。

デッキ壁面には格子状の木の衝立が設置されています。吉野産の材を使っている由。

そして、近鉄特急の伝統宜しく車阪コーナーらしきものがあったのですが、ここを自販機コーナーとして割り切り設置。

これについては、乗車時間からして、現実解かと。

ストロボを焚かずに撮ってみるとこんな感じ。天井から壁面に掛けてのライティングは近鉄特急としてのこだわりを感じて頂けるかと。

DX席については、荷棚下照明のカバーに和紙を挟み込んで、雰囲気を和らげると共に和の風合いを演出しています。この手合いの演出の先鞭は、智頭急行「スーパーはくと」のリニューアル車両でしたね。

トコロ変わって3号車に設置されたDXシート。3アブレスト配置の上、荷棚には吉野産のヒノキを表に貼り込むなど、普通車とのビジュアル上の格差感を打ち出しています。

ストロボ焚かないとこんな感じ。仄暗さと言えば良いのか、落ち着いていると言えば良いのか…(正直、感覚的には前者)。

DX席はYR267、1人掛が基本の座席で、2人掛側はアーバンライナーでおなじみの2連装設置。通路に面する席には、ヘッドレスト部の掴み手が両側にあるモンですから、遠目には鬼っ子…。ヘッドレスト部分には上下にスライドできる枕が設置され、トータルで見ると1つ目小僧っぽくもあり…。

着席してアームレスト左側内側にはリクライニングボタン、右側の同ポジションにはAC100Vコンセントがあります。穴を開けるのに好都合だったのかも知れませんが、こんなトコロ、こんな向きに100Vコンセントねじ込まれても、使い勝手はすんごく悪いです。細身の人だって、アームレストの内側にはあまり出っ張りやゴツッとしたギミックは入れられたくないモノ。

イマドキ、PCの頭でっかちなコンセントは少数派にしても、携帯電話のそれですらここに差し込むと、座席としての快適性というか動線的な自由度が大きく殺されてしまいます。これはペケ。

1人掛席。元々、1050mmピッチで設定されていたので、窓などは大きく弄らなくても済んだ様子。アーバンライナーのそれと比べると、ややソリッドにして小振りな印象を受ける一方、ヘッドレスト部分の張り出しの大きさが際立って見えます。全般的にハンマーヘッド気味の頭でっかちさん。

ものの資料に拠れば、普通席より55mm横幅が拡大していると触れ込まれているようですが、座席そのものの横幅は座面部分実測で普通席より10mm広いだけ。あとの45mmって…まさか、2人掛側の間のあのスペースとか、塩沢○キばりの背ズリの扇に喰われてるとしたら…ちょっと数値記載としてはオーバートーク過ぎやしませんか、近鉄さん。

DX席については先述の通り、普通席より座面部分で+10mm程度広いだけなのですが、直結する背ズリのバケット形状が強めに誇張されており、背中のフッティングに「追い込まれ感」を持ち得ると思います。正直、普通席の方が気楽でしっかり座れるかも知れません。

床面の敷物はちょっとした木目調になっています。普通席のツルリとした感じではなく、凸凹感があり、滑り止めと防音を意識していますね。

もっと言えば1人掛側、早くも回転機構にガタが来ており着席するとグラグラ。メンテが悪いのか、装置の構造がヤワヤワさんなのか、ともあれ褒められません。

しかし、近鉄のDX席って、なんで1人ごとに完全独立させるんでしょうね…?その寸法をとるため、残るしわ寄せが座面のみならずアームレストなど、全域でワリを喰う形というのは、理不尽にして不可解であるとする持論は崩せません。

近々に出ると言われる新型観光特急車両でも、そんな感じなのですが、ここだけはそのセンスというか考え方について理解不能です。

車端部分には、耐荷重タイプの大形折りたたみテーブルが設置されています。コンセントは先述の通り、アームレスト内側にあるのですが…うーん。

近鉄特急の壁面芸術、デッキへの仕切り扉は吉野産の材を使った格子状の模様をあしらい、壁面には桜の立体的なモチーフが柔らかい光を発して設置されており、近鉄のお家芸というか美的センスだよねぇ、と素直に素敵感を味わえます。

そして、実にどうでも良いことかも知れませんが、荷棚部分の照明のスイッチは残ってました…客側でON/OFFできるし…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1不詳1050mm
普通2YR2661050mm
DX1YR2671050mm