(懐)紀州鉄道600形 最終確認時期:2009年6月

和歌山の少し南、御坊の駅の脇っちょからトコトコ1両の列車が結構な頻発ダイヤで発着しています。紀州鉄道、2009年までその顔として活躍していたのが九州から転戦してきた600形です。

車内は木張りの床、白熱灯のレトロな見付に目が行きますが、セミクロスシートの配置は割とどこでも見受けられるフォーメーションです。

塗装部分が薄緑のクリーム色なのが、いかにもな風合いです。

クロスシートはちょっと狭めのボックス配置となっており、フレーム自体はかなり華奢になっています。背ズリ・座面とも、かなりヘタりが来ており、座り心地の点ではお世辞にも良い点を付けられません。

それでも、エンジン直上に位置する席に腰を掛け、窓を開けてノホホンとしてれば、これまた素敵な旅情ではありませんか。

ロングシート部分は、ドア脇の戸袋窓と運転席後ろ部分に設置されています。この部分だけ、吊革が備わっているのは登場当時の国鉄車両でもよく見られたデザインセンスです。この吊革が登場当時からあったものかは定かではありませんが…。

ロングシートの座面はクロスシートのそれより高めになっています。座面下の機器類の関係が主でしょうが、足を投げ出されないようにする配慮があったかどうかは定かではありません。

私は、時間の関係で昼の来訪となったのですが、夜に乗ると天井の白熱灯がアンバーな車内を演出します。

電球色の蛍光灯では感じられない、限られた空間での明と暗が交互するグラデーションを楽しむ機会は来るでしょうか。

ドアはプレスタイプのドアになっています。閉まり方、というかドアエンジンががヌルかったようで、国交省令的にアレでソレなドア開閉タイミングを見かけた人も少なくないかと…。

新潟鉄工製とする製造銘板。ひび割れつつもよく残っていました。

御坊から1駅、学門(駅)の入場券は、受験シーズンのご縁起グッズになっています。

車両は603番、604番は部品取り状態で途中駅の構内にコロンと置かれていましたね。

現役からは引退しましたが、現在、同車の保存活用については検討が進められているようです。

今後の展開が気になりますが、元祖ヤンデレ娘・安珍清姫伝説で知られる道成寺への道すがら、立ち寄るのも悪くありませんね。

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