南海2200系「天空」 最終確認時期:2010年8月

世界遺産・高野山、お大師さまのお膝元まで向かうアクセス特急として「こうや」が知られたところですが、橋本から続く数多くのトンネルに急勾配、山岳鉄道の雰囲気バッチリな風景は、それ自体が観光資源でもあります。

2300系でその方向性がチラッと見えたようにも思えますが、既存車両を大改造し、橋本〜極楽橋間の専用列車「天空」として、土休日を中心に四季折々の輸送需要に応えています。車体カラーは木々の緑に根本大塔の朱をイメージしています。

ちなみに、反対側ってあまり撮った画像が無いですね…2200系のスタイルを良く残しています。2号車の一部分以外…。

極楽橋方向に右側がいわばメイン側。車両中央の大形三連窓の真ん中には、天空のロゴがどーんと出ています。

車両の客用ドアは、従来1両に2カ所(都合4カ所)だったのですが、列車として提供されるコンテンツ性格上と、全席指定制によって定員が少なくなっていることから1両に1カ所(都合2カ所)になっています。

この大きなガラスの内側は後述。

2号車の運転席側はこんな感じ。これも後述ですね。

極楽橋側の1号車車内全景。車端のボックス区画など、一部座席を除くとワンビュー座席と称される、メイン側に向けたロングシートに近い座席配置になっています。

通路は画像左側の座席列後背部がそれ。スロープ部分は明確な黄色になっており、年配の利用者も想定した造りになっています。

反対側の車端部から見るとこんな感じ。色配置を見てみると、床面は木目を活かした茶色、壁面は木目調の薄ベージュ、天井部分は明るい白の三層と軽やかな上昇志向的配置ですね。

少し座席に寄ってみると、手前の水色区画は座席部こそ木のフレームではありながら、脚部はいわゆるヒーター込みのロングシート構造になっています。

ピンク系のクッションが並ぶ奥の列は、1段高い配置になっており、細長〜くハイデッキ構造となって「前席の頭を延々眺める」というシュールな眺望を強いられることも無さそうです。ピンク列の方は、ヒーターボックスの上に別造りの座席部分がドカンと乗っかっているような形状になってますね。

この辺のヒーターボックス処理については、ちょっと粗雑というか、近鉄特急の座席脚台に一時期見られた殺風景感に通じるモノがあります。改造費用との兼ね合いでちょっとなおざりにされたかな?

「天空」のイメージからすれば、筆頭スポットであろう水色区画は、3人掛と2人掛で構成されてます。編成全体を通して、非常に座席配置のバリエーションが多いのが特徴でもあります。ある意味、フリーダムな配置とも。

この列車、全席指定制なのは先述の通りですが、予約が乗車前日までの専用ダイヤルに限定される上、団体締切がさらに早めになっているのは、座席配置が影響しているとも取れます。

予約番号と配席を見ても、法則性皆無な感触。橋本発では1→2号車の順で、1人〜多人数まで座席をバラけさせず、偏りが出ないように配席を工夫しているようです。裏を返すと、当日発売の空席埋め予約は容赦なしの配席の上、無茶な相席はさせない雰囲気なので、早め予約が無難。

ワンビュー席、メイン側の大窓は熱線遮断フィルム貼付によってカーテンをバッサリ廃止していますが、「裏側」は模様をあしらったカーテンが残っています。

窓枠をちょっと風情ある形にした区画もあり、殺風景さが薄れているのはさすが。

1号車、運転室助手席側直後はかぶりつきにもってこいのビューシートですが、元車両のフレームの関係で、そこから先の窓は少々狭め。

2列目もあります。よく見ると、座席部分がわずかにハイデッキ構造になっており、段差にはしっかり警告色のシートが貼られています。

メイン側と反対側には車椅子スペースが設置されています。前席後背部に見えるギンギラのキューブが固定装置の箱だとか。

車端部には4人ボックス形状の座席が2区画で都合8人が利用できるようになっています。テーブルは折り畳みできる大形固定タイプ。

で、だ。撮影時の右側2席、ランバーサポートが上下逆に設置されているのはご愛敬?

カーテンを閉めるとこんな感じ。車内放送で案内されますが、座席やカーテンにはちょっとした隠し絵的キャラが染め抜かれています。

この座席、一見すると座り心地適当で造ったあり合わせのトイシートに思われますが、座ってみると南海電鉄クオリティ。座面は少し固めに振られていますが、ガシッと来るホールド感にチャチさは感じられません。

車端方向から少し引き気味に撮ってみると、ドア部分を改造したイベントスペースが見えます。

アテンダントが沿線案内をする際、この場所に立ってやってますね。車内でオリジナルグッズを販売するときには陳列スペースにもなっています。

畳敷きのこちらも同様。手前脇の箱みたいなのは何だろ?と思ったのですが、あの中に放送機材とマイクが入っていました。

メイン側ドアの上には沿線案内、脇の状差しには「天空」案内用のパンフレットが入っています。

反対側のドア上には、列車がどれだけ急勾配を上っていくか示されています。さすが、急勾配路線を持つ鉄道会社で構成される「パーミル会」呼びかけ会社。

2号車全景。ワンビューシートの座席配置が少し異なっているのが判ります。1人モンでも帰り道では、ワンビュー席の指定を受けられるチャンスがありますね。

この角度で見ると、ワンビュー席のメイン側は窓前にテーブルがあり、カメラやちょっとした飲み物を置けるようになっている反面、通路後ろの列はその関係の設備が全くありません。

逆に、荷物棚はピンク色の列(後部東側列)に設置されており、穏やかに設備的なハンデがおあいこになるようになってたり…。

メイン側のボックス席。窓の大きさが異なっている上、足下にもスリット状に窓があり、なかなか上下で大迫力です。

さて、2号車橋本側には展望デッキがあります。好天時であればドアは大開放で、フィトンチッド大サービス状態。客室内とはオートクローズの仕切扉で区切られてます。

…撮影時は夏季、2010年は超猛暑で記録されたのですが、走行中なら涼しかろう…と行ってみたものの…暑かったですね。あ、花粉症持ちの人は、花粉シーズンに乗るのは色々危険かも。

反対側も同様の柵が設置されています。この区画はドアが残っており、夕立などの荒天時はドアを閉めた状態で運転するとのこと。

さぁ、最大50‰の山岳鉄道へ、ようこそ。

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