南海50000系(ラピート) 最終確認時期:2010年11月

関東の国際玄関・成田へは京成・JRと鉄道では2線乗り入れています。関西では、南海・JRとやはりこちらも2線乗り入れています。関東では存在感のNEXと、実際のコストパフォーマンスの京成というイメージがあります。

空港へのアプローチ方法と線路の使い方など、現実的で柔軟な一面を見せる関西空港アクセスですが、車両はといえば超弩級のインパクトでその存在感を圧倒的にしているのが、デザインコンセプト「レトロ&フューチャー」の南海50000系「ラピート」と言えます。一度見たら誰も忘れませんな、こりゃ。

レギュラー席の全景です。ラピートブルーと呼ばれる外のディーパスな塗色と近未来的なデザインと打って変わって(?)、室内は白を基調とした上半分と木目イメージな下半分の対比が鮮やかです。

室内は荷棚がハットラックになったこともありますが、全体的に丸みを用いたデザインが貫かれており、スマートに見えます。天井が高く見える…といえば確かにその通りです。

普通席は一見華奢に見えますが、これでも座席幅465mmと新幹線の「B席」に匹敵するゆとりサイズです。ピッチ1030mmと、対抗する「はるか」より60mm稼いでおり、窮屈さは感じられません。

リクライニング量も30分余を過ごすには何らか不足有りません。テーブルはインアームの小型タイプ、根元部分の強度に不安を感じますが、パッと見で折れたものが見当たらないのは余り使われていないせい?

座席台座が今はやりの片持ち壁掛・1本足ではありませんが、そのような"小細工"も必要ない、と言う意思表示とも取れます(自動回転機構のせい、という声も聞こえますが…笑)。

バリアフリー対応として、このように車椅子専用ブロックも備えられています。

3号車デッキには、清涼飲料水の自動販売機があります。尤も、なんば駅でも関西空港駅でも自動販売機が沢山ある上、乗車時間もアレなので実のところはあまり使われていないようです。どちらかと言えば、立体的な宣伝広告スペースの意味合いが強かったりして。

それでは、スーパーシートへ入っていきます。入口デッキ部分ですが、かつて運行開始当初はここにドリンクバーとして、持出自由なドリンクが詰められたジュースクーラーがありました。

しかし、関東でもNEXがそうであったように不逞の輩による予想外の持ち出しが横行、結局取りやめに。その代わり、スーパーシート料金は値下げされました。

九州でも885系「かもめ」がやはりグリーン席部分にフリードリンクコーナーを設けていましたが、今は車販スタッフへの申告制に。日本ではこのような文化は根付きませんねぇ。

勿論、クールと言っても電球色ですから、乗ってみると実際は結構暖かなイメージではあります。

デッキにはこのように電話コーナーも。携帯電話の普及した今となってはあまり使われて居なさそうですが…。

デッキと客室内の色遣いの違いはこの辺で見て取ることができます。温かいイメージの客室内と、クールでメタリックなデッキ部分というテーマを感じ取れます。

荷物置場もガッチリ3段、但しスライドバーは最下段のみですね。「はるか」は最下段と中段にスライドバーがあります。

この荷物置場ですが、NEX・京成スカイライナーと同様に客室内配置(つまり荷物置場とデッキは仕切扉で分離されている)となっています。他方、「はるか」は荷物置場を客室外配置としています。途中停車駅での不安面を考慮すると、これはやはり客室内配置の方が安心感があるように思えます。

客室とデッキを仕切る扉です。このデザインセンス、TV番組のセットにも通じるものがあるかと…。

始発・終着では仕切扉はずっと開いています。走り出して暫くすると閉まります。

荷物置場で上を見ると…やはりと言うか当然と言うか…ブルーリボン賞の記念プレートです。

スーパーシートへ入ります。1&2配列となっているのが判ります。

荷物棚は大型のハットラック、デザイン全体との関係か、フタの形状が少々ガチャガチャしているように見えます。質感も少々安っぽい感じがするのは…。

工夫されているのは、壁面側に仕込まれた蛍光灯の照明光を、庫内にも透過するようにしており、荷物の出し忘れを減らす実益も兼ねています。

1人掛席です。シートピッチ1200mm、横幅485mmと新幹線グリーン席のそれに迫るワイドサイズ席ですね。

レギュラー席も併せてとなりますが、この窓のカーテン、引き下ろし用のツマミ形状にもう一工夫が欲しかったように思えます。引き下ろし部があまりに狭々しくも雑把と言うか…。

実のところ、下までピチッと行かないのは個人的にあまりイイ感じを持っていません。

全展開するとこんな感じ。テーブルはこちらもそう大きくはありません。

2人席、ジャガー柄のシート表地が何とも言えないトーンを醸し出します。200円のプラスでこの余裕を買うのも決して悪くはありません。

スーパーシート車内。魚の背骨を思わせるデザインを見上げるとこんな感じ。中央の照明がやや弱い分を壁面の仕込み照明で補っている感じです。

それでも、実際の車内はかなりほの暗いと思います。

さて、そろそろインフルエンザも気になり出した2010年秋のこと。所用で関西空港から「ラピート」に乗ったら…スーパーシートの見慣れた見付にちょっと変化が出ました。

ハットラックの荷物棚の扉と扉の間、よく見るとなんか規則正しく凹んでいます。

かつて、喫煙車にはしばしば(効果の程は甚だ怪しかったモノの)空気清浄機があったのですが、元から禁煙車だらけのラピートにして、何をやっているかと思えば…。

…ははぁ、プラズマクラスターの現車実験ですか。

この時は「ラピート」故、国際線からの利用客を意識しての設置かと思っていたのですが、2011年1月の報道で、同年秋登場予定の新型特急車両のための試験設置的要素が強い設置と知った次第。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
レギュラー2不詳(小糸工業製)1030mm
スーパー1不詳(小糸工業製)1200mm
スーパー2不詳(小糸工業製)1200mm