12系客車(「やまぐち」仕様) 最終確認時期:2008年8月

復活SL列車は全国数あれど、静岡の大井川鉄道と並び、ここを外しては語ることができないのが「SLやまぐち」号。2009年で復活30周年となるんですね。

メンテ部品欠乏の克服、阪神・淡路大震災では、検査中だったボイラーがスッ転んで一部損傷を受けるなど、数々の試練を乗り越えてきたその歴史は、他エリア動態保存運転のリーディングケースであり、沿線価値開発とともに地方線区活性化のビジネスモデルとも言えるのではないかと思います。安定かつ継続的な運転には、驚くほどのコストと人的資源が求められており、JR西日本の不断の努力は賞賛すべきものであると思っています。

大都市圏からの利用促進を図るため、お堅いイメージの国鉄にして、新幹線との接続ダイヤ構築や寝台特急との乗継を前提に、1カ月1日前の座席確約枠が設定されるなど「呼び込む」ための手当がなされたのは、今になって観光開発でも役立っているように思えます。

復活当初、基本カラーの12系客車でしたが、1988年に現在のレトロ調客車に改められました。大学時代、一回乗っているのですが、思うように座席撮影ができなかったので今回改めて乗ってみました。

車内は5つの時代やシチュエーションテーマをイメージに区分けされています。これは1号車の展望車風。ダブルルーフをイメージした天井の造形がパッと見て「おおっ」と思わせます。

4号車の明治風客車の全景です。木目の天井、ダークブラウンの色調で統一された車内のイメージが伝わってきます。この号車、割と団体枠が入りやすいようです。

それでは、車両ごとの座席を細かく見ていきましょう。

編成は津和野側から5→1号車の順で並んでおり、一般に下り方向最後尾がこの1号車となります。展望車風と名付けられた車内は、ハイバックに改造されたボックスシート、床面は赤いカーペットとなっており、全面的にモフッとしたモケットの風合いが味わえます。

背ズリのフレームをかなり厚めに設定してしまったためか、ランバーサポートの角度がほとんど無い状態、またアームレストも張り出しすぎで、座席居住性としてはいまいち歓迎できません。

編成の新山口側には展望ルームがあり、下りではここから山口県名物の黄色いガードレールを筆頭に沿線の眺めを楽しむことができます(殴)。

2号車は欧風客車をイメージしています。スーパーハイバックに改造されたボックスシート、ヘッドレスト頭上はステンドガラスがはめ込まれており、濃いワインレッドの壁面とブルー調の文様柄モケットが相まって重厚(というか濃厚?)な空間が味わえます。

アームレストの形状にやや好き嫌いが出るとは思いますが、この車両が私の中では居住性的にコクーンな感じがしてお気に入りです。

3号車は昭和風客車。元の座席フレームを活かしたことが判るハイバック改造ボックスシート、カーテンも引き下ろしの薄めで、旧型客車にも見られた2列車内灯、木目調の床面と全般的にこざっぱりとした風合いです。気取らないで乗れる感じがいかにも、と言えるでしょうか。

ちなみに、これら改造客車のボックス間ピッチはドーンと1755mm、一部車端部分が1760mmとかなり広めになっています。

4号車が明治風客車です。革張りの座席と統一された色調がポイントですが、ご存じの通り一般大衆階級が明治時代に使えた3等客車、譲って2等客車まで見ても、実際に革張りなどは殆ど見られません。鉄道博物館などの復元保存車に至っては畳敷き板張りですし、四国・多度津工場に復元保存されている2等客車も表地がモケットなんですね。あくまでも「雰囲気」ですから、あまりこの辺は突っ込まない方が良いのでしょう。

革張りで滑りやすいことが判っているのか、座布団の角度が、他号車の座席より少しきつめ(座布団の中央部の盛り上がりを押さえて、フラット気味にしている)に取られているようです。

5号車が大正風。つり下げ照明とダブルルーフ調の天井が印象的ですが、4号車同様に日よけがヨロイ戸なんですね。座席自体は昭和風客車の色違いといった感じですが、モケットの毛足がこちらの方が少し長いと思います。床板色がハッキリしているので色遣いとしてはこっちの方が良いかな?

ただ、照度がいささか足りない感じで、どうにもうすぼんやりと暗い印象を受けます。

5号車津和野側には、小展望エリアがあります。今回、この先に続く車両は…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通ボックス(通常区画)形式付番無1755mm
普通ボックス(一部車端)形式付番無1760mm