100系電車(P/K編成) 最終確認時期:2010年2月

私の世代であれば、100系新幹線と言えば文字通りの「キング・オブ・新幹線」。

堂々ダブルデッカー車に、食堂・カフェテリア・グリーン個室…と、アコモデーションの歴史では間違いなくターニングポイントに位置する重要な車両だと思っています。真面目に「100系以前・以後」と言う尺度が付けられるくらいのインパクトだと考えています。

新形式のゾクゾク投入で、あれよあれよと「こだま」専業に。4連のP編成や6連のK編成ともなると、遠目には何とも可愛くなってます。見た目のシャープさから、佳人薄命のイメージを持っておりますが、いよいよその走行シーンが見られるのもカウントダウンとなってきたようです。見納め、乗り納めは計画的にお早めに。

16連対応ホームの前には、6連編成もなんとも所在なさ気に停車します。実際の山陽新幹線って、朝晩の通勤時間を除くと、「こだま」はこんな編成で充分用が足りちゃうんですよね。

それでは、車内に行ってみましょう。近郊形車両を中心として「西の広島・東の沼垂」とは、車両そのもののみならず、座席趣味としても危険きわまりないディープゾーンであり、底なし沼であるとは、以前別稿で記しました。

その法則は新幹線にも地味に及んでいるようで、現在の100系の座席種類たるや、軽く神経衰弱ができるくらいの様相を呈していると言っても過言ではありません。

まずは2&2の車内全景。座席カラーから奇数号車であることが判ります。

青系のカラーリングが偶数号車。以降、各座席のカラーで、大凡の撮影号車が何となくイメージしていただけるかと思います。

まずは、遭遇率と設置脚数ではおそらくトップであろう元「ウエストひかり」用のWRK202です。普通席向けの2&2配列座席ですが、JR東海の「こだま2&2シート」に用いられたR56/57/58とは雰囲気を異にしています。

シルエットからしていかにも「専用設計」然としたライン取り、アームレストとソデ体基部の長さバランス、背ズリの伸びやかなカーブなど、全般的にバランスの取れたデザインは、なかなかフェチゴコロを刺激する美人な座席であると思います。

座り心地は、今となってはフカフカすぎると言われるかも知れませんが、ググッと奢った詰物としっかりホールディングされるランバーから臀部周りなど、安心して座れる座席と言えると思います。

号車違いのWRK202。編成によっては九州ほどではないにせよ、メンテナンスがお手抜きさんになっており、センターアームレストがだらしなくなっていることもあります。

さて、また似たような座席が出てきましたが、こちらは元V編成「グランドひかり」階下普通席のWRK206。

上のWRK202と、座席のフレーム自体はまるっきり同じなのですが、よく見ると座席脚部の形状が異なっています。まさに「ウォーリーを○せ!」ばりの間違い探し大会ができそうです。

…ただし、アハ体験は各自工夫のこと。

同じく、号車違い。

100系のアコモデーションが凄いところは、この窓下の壁面。普通車といえど、布地を貼っているんですね。文字通り「おもてなしのアコモデーション」。

N700系が幾らガンバッテも、もう、今後の車両にこのようなセンスと行き届いた気配りが望めることはなさそうです。

所変わって、また変わり種座席。少々重厚なソデ体に、WRK202そっくりの座ブトンや背ズリ、そして背面テーブルに加えてインアームテーブルまで…。これがWRK201と呼ばれる「ウエストひかり」普通車の一部に設置されたものです。

趣味誌でも殆ど見かけることのない、ある意味「幻の座席」だったりします。撮ってる人はそれなりにいると思いますけど、どういう訳か媒体ではお見かけする機会がない…。

ソデ体は、小糸工業の既製モジュールみたいな物でして、こんなのとかこんなのとかこんなのにも使われていました。

車椅子での利用を想定して、1人掛席も設置されています。

全展開してみるとこんな感じ。窓から少々離れ気味に設置される一方で、独特のロンリーな雰囲気は地味に人気があるようです。

この1人掛席、座席台座を見ると、スキーでカーブを抜けるような脚形状に台座が造られていることに気づきます。ペダル自体は特に長さが不足するとは思えない状況なのですが、床面のフレームの関係なのでしょうか?

山陽新幹線の座席地獄、本番はここからです。今まででも充分泣けてくる違いでしたが、JR西日本による半ばヤケクソ的な「こだま」2&2座席政策に伴い、元々グリーン車で使われていた座席まで大動員が掛けられています。

ホームからも、その座席サイズの大きさの違いで判るのですが、車内に入ってみると、やっぱり圧迫感というか座席のシルエットが違います。

号車違いだけではなく、座席型番にも微妙な違いがあったりして、これもまたある意味で間違い探し大会ができるような車内となってしまいました。

これ座席型番違い。こうしてみると、背面形状の違いからピンと来る人も居るでしょう?

では一発目。G編成初期の10号車(平屋グリーン席)に設置されていたR35改です。

背面テーブルが無く、インアームテーブルを用いるタイプです。少々ハンマーじみたヘッドレスト形状や、切り立ち気味の背面形状にデザイン的な歴史を感じます。座席数自体が少なかったこともあり、この座席に換装された車両はかなり少ないようです。そう言う意味では、運試し的な使い方で楽しむのがよいかと。

座り心地ですが、かなりブカッと深い座り心地が楽しめます。

続いて、シートバックテーブルが設置されたR35A改(平屋席仕様)です。R35改と異なるのは全般的なシルエットの他、座面の詰物のバウンス感や背面のホールド感など、かなりの差違が見られます。型番こそ枝番的にAを付されていますが、実際の所は別物の座席に近いと思っています。

平屋席仕様と記したのは、後述の2階席仕様とは、若干背ズリの高さや重心などが異なっているためです。通路中央から見ると、ヘッドレストがスパッと切り立ち気味の形状をしています。この辺の微妙な違いが違いという何とも泣けてくる領域…。

こちらは、2階席仕様のR35A改。奇数号車のカラーパターンです。ソデ体のカラーが2階席仕様のソレになっています。先述の平屋席仕様の場合、ソデ体のレザーカラーが茶色系統なんですね。

偶数号車のR35A改。何となく丸いヘッドレスト周りの違いがおわかり頂ければ幸い。

0系「ウエストひかり」のグリーン席は、「グランドひかり」グリーン席と同形状のWRK239か、上記座席そっくりさんのR35Cが設置されていました。これが、そのR35C…見たところの差違は、R35A改の2階席仕様とあまり差が見られません。

さらに、「グランドひかり」のグリーン席であったWRK207改も設置されています。元々、1160mmのピッチでしつらえる重厚長大・巨大座席だっただけに、リクライニング角度の調整やフットレストの撤去をしてもなお、1040mmピッチではやはり狭々しく見えてしまいます。

「ウエストひかり」に使われたWRK239についても、一部使われていると見られますが、多くは381系「くろしお」系統の改座に用いられてしまっているようです。

1人掛のWRK103改。2列席がR35A/C改の場合でも、ここだけはこの座席が来るケースが多く、やはり人気があって割と埋まっているケースが多く見られます。

全展開するとこんな感じ。どっしりとした座り心地で、急がぬ旅なら断然オススメのプライベート空間と言えるでしょう。

一応、車椅子を据え付ける列も撮ってみたり。

編成が違う場合、ソデ体のカラーを他の座席のそれと合わせているケースもあります。そこまで手を入れなくてもいいのに…と思ってしまっては…イケマセンね(笑)。

でも、つくづく見てみると、このカラーリングって結構シブく行けてるかも。

さて、他の車内設備を少し見てみると…ドア脇には車内電話がキチンとあります。テレホンカード式で、カード図柄が「500系のぞみ」となっている辺りはさすがです。

100系の「凄いな」と子供心に思わされたのは、車両のつなぎ目(幌)が通路壁面パネルと同様の色や見た目の形状でカバーされており、境目が判りづらかった、と言う所もあったと思います。

客室と通路が隔てられているようで、実はあまり違和感なく移動できた感覚を覚えるのは、地味にして着実にその部分の研究がされていたことを示すものと思っています。

洗面台は、変わらず三面鏡です。水栓蛇口などの形状から、幾つかの種類・タイプがあるようですが、専門外なのでその辺は他のサイトへどうぞ。

ここは、元々車阪準備室や多目的室などだったところでしょうか?ガラーンとした空間が所在なさげです。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1型番不詳1040mm
普通2WRK2011040mm
普通2WRK2021040mm
普通2WRK2061040mm
普通2R35改1040mm
普通2R35A改1040mm
普通2R35C改1040mm
普通1WRK103改1040mm
普通2WRK207改1040mm